【ネタバレ有り】オレたち花のバブル組 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:池井戸潤 2008年6月にダイヤモンド社から出版
オレたち花のバブル組の主要登場人物
半沢直樹(はんざわなおき)
半沢シリーズの主人公。東京中央銀行の営業第二部次長。
近藤直弼(こんどうなおすけ)
半沢の同期でタミヤ電機に総務部長として出向中。
渡真利忍(とまりしのぶ)
半沢の同期で東京中央銀行融資部企画グループ調査役。
黒崎駿一(くろさきしゅんいち)
金融庁の主任検査官。銀行を嫌悪しており、破綻に追い込むほど厳しく検査することで有名。
大和田(おおわだ)
東京中央銀行常務執行役。かつてはタミヤ電機や伊勢島ホテルの面倒を見ていた。
オレたち花のバブル組 の簡単なあらすじ
伊勢島ホテルを担当する時枝の元へ専務の羽根と財務部長の原田が急遽訪ねてきて巨額損失が出ると申し出ます。折しも東京中央銀行では、黒字化を前提に二百億円の融資を実行したばかりでしたが、黒字どころか大幅赤字になります。ライバルの白水銀行は先に気づいて融資を見送っており、時枝は頭の中が真っ白になりました。これに対して羽根専務は身勝手な態度で自分たちには責任は無いので上手く銀行内をまとめておけと言い捨て去っていきます。
オレたち花のバブル組 の起承転結
【起】オレたち花のバブル組 のあらすじ①
半沢は巨額の運用損失を出した伊勢島ホテルについて担当しろとの頭取命令を受け、時枝から引き継ぎを兼ねて羽根専務を訪ねます。
金融庁検査が近く、もし分類されると全ての融資が行えなくなることから協力を求めますが羽根は社長の湯浅と銀行の大和田常務との間で話をさせてもらうとだけ答え非協力的でした。
銀行では大和田の根回しがあり、半沢の上司内藤から融資回収は待てと言われます。
半沢は納得出来ませんが、合併した銀行内では旧所属による派閥争いがあり頭取の行内融和を進めたいという思いがありました。
半沢の同期近藤は中堅電機メーカーのタミヤ電機に出向していましたが、社長の田宮は銀行から来た用心棒と呼び金を引き出す道具程度にしか考えていませんでした。
かつて大和田常務が京橋支店にいた時はどんどん融資してくれていたと言われ、一方で近藤は銀行の京橋支店担当者古里からはなかなか融資が引き出せずにいました。
実は古橋は旧Tであり、旧Sの近藤を虐めているだけで、こういった銀行内の派閥争いも田宮は入れ知恵されて知っています。
近藤はかつてうつ病を患った時と同じ感覚を持ち始めていました。
近藤から相談を受けた同期の渡真利が調べると、京橋支店では稟議登録すらされておらず、タミヤ電機への融資は全く検討されていませんでした。
渡真利から担当者名を聞くと半沢はかつて伊勢島ホテルの担当もしていた男で、損失を見逃した犯人だと顔をしかめます。
近藤は銀行嫌いの部下野田が不在の間に経理資料を調べていると、数字に違和感を覚えます。
タミヤ電機には何か秘密があると感じ、長い間忘れていた闘争心が蘇ってきます。
近藤は裏帳簿を見つけ、タミヤ電機の粉飾の事実を掴みます。
田宮と野田を責め、経営再建の為の計画作りを行わなければ銀行にバラすと脅します。
田宮は自宅でこっそりとある男に電話で相談し、あの件だけはバレないように動いて欲しいと頼み込みます。
【承】オレたち花のバブル組 のあらすじ②
半沢は伊勢島ホテルの湯浅社長を訪ねると、湯浅は十年程前の半沢の名刺を見せ、頭取に担当を半沢にして、欲しいと頼んだのは自分だと告げます。
湯浅はかつて大東京ホテルにおり、経営再建の際に半沢だけが協力してくれ苦境を乗り切った経験から、今回も必ず頼りに出来ると信じていました。
湯浅の再建案は既に効果が出始めており、半沢も賛成ですが羽根のミスによる運用損失が厳しく、損失を埋めて金融庁検査を乗り切らなければ銀行からの融資が出来なくなると考えます。
半沢は渡真利の紹介で白水銀行の板東と会い、元伊勢島ホテルの経理担当戸越に聞いてみろと言われます。
半沢は戸越から運用損失の件を事前に東京中央銀行にも報告したと聞き、それを古里に確認しても知らないと言い張ります。
半沢は戸越に頼んで古里を居酒屋に呼び出してもらい、損失報告の話を始めると古里は支店長にも報告したが握り潰すように指示されたと話し出します。
証拠が出た所で半沢は近藤と共に姿を現し、言い逃れできない状況に古里を追い込んで報告時の資料を半沢に渡すことと近藤の為の稟議書を書くことを約束させます。
いよいよ金融庁検査が始まると、検査官の黒崎はオネエ言葉で銀行員を罵倒し始めます。
伊勢島ホテルの件では、IT開発の為に百億以上投資しているナルセンが破産寸前だと指摘され、半沢は苦境に立たされます。
半沢は戸越にナルセンについて聞くと、実は反社会的勢力と繋がりがあると分かり、ナルセンを買収して投資回収する案は使えないと判明します。
それを知らない大和田と羽根は湯浅に社長の椅子を捨てるなら、銀行からの融資を使ってナルセン買収が可能だと示唆します。
湯浅も社長辞任で伊勢島ホテルが救われるならと受け入れかけますが、半沢は湯浅にアメリカの最大手ホテルチェーンのフォスター資本を受け入れるよう提案します。
【転】オレたち花のバブル組 のあらすじ③
近藤はタミヤ電機の秘密を探るため、過去の経理資料を漁り怪しげな貸出金を見つけます。
貸先はラファイエットというアパレル会社で無担保で三千万円も貸していました。
さらには社内の誰もこの事を知らず、田宮自身が処理していたと分かります。
田宮に聞いても勝手な事はするなと言われるだけなので、近藤は直接ラファイエットを訪ねて代表の棚橋貴子に会って金はいつ返すのかと問います。
棚橋は田宮から個人的に借りてるので田宮に聞けと失言をし、近藤は益々疑いを深めます。
さらに調べて東京中央銀行からの融資をそのまま転貸していたことも分かり、何か裏事情がありそうだと分かります。
近藤は若い頃に抜擢されてやる気に充ちていた頃を思い出し、タミヤ電機を何とか改革しようと戦うことを決めます。
半沢は2度目の黒崎との戦いで、ナルセンの破綻はまだ正式には決まっておらずそれに伴い赤字化するなどと考えるのは無意味だと攻撃します。
黒崎は仮定で考えてナルセン破綻後に伊勢島ホテルはどうするつもりなのかと問い、ナルセンを買収するという策はダメだと先に半沢の答えを封じようとしますが、半沢は買収など考えておらず、黒崎はどこかから情報を仕入れているなと推測します。
黒崎は部下に命じて半沢の自宅まで捜索させますが、半沢はこれを予測しており資料など一切自宅には置いていませんでした。
実は記者から黒崎の噂を聞いており、黒崎は伊勢島ホテルの分類でなく東京中央銀行に恨みがあり叩き潰そうとしているのではないかと言うことでした。
半沢は最後の金融庁との戦いを前に行内の敵と戦います。
大和田常務、岸川業務統括部長、福山融資部次長といった旧Tの面々が事前検討の場に現れ、福山が金融庁代わりに半沢を攻めようとします。
しかし、半沢は逆に福山を馬鹿だとこき下ろし、伊勢島ホテルの運用損失を握り潰した犯人はいずれ見つけて処分してやると大和田の目を見ながら啖呵を切ります。
【結】オレたち花のバブル組 のあらすじ④
最後の黒崎との面談には銀行側は中野渡頭取を初めとする上層部がズラりと並びました。
黒崎は先日破産したナルセンを武器に余裕を漂わせながら半沢を攻め立てます。
銀行側は敗北を悟りますが、半沢は一人落ち着いており、伊勢島ホテルはフォスター傘下に入るため何も問題は無いと言い切ります。
黒崎は追い詰められ、最後の悪あがきとして頭取含めて少し付き合って欲しいと言い、皆で地下二階へと移動します。
ボイラー室にあったダンボールを黒崎は勝ち誇って開けますが、中には宴会用の備品が入っていただけで、黒崎の期待した疎開資料など一切ありませんでした。
近藤は棚橋の自宅を訪れてみますが、調べた住所には大和田という表札がありました。
近藤は半沢に連絡して裏を取り、共に翌日京橋支店へと向かいます。
貝瀬は簡単に口を割り、大和田の指示で伊勢島ホテルの損失隠しを行なったと証言します。
タミヤ電機への融資転貸については古里が証言し、当時の岸川支店長が指示していました。
近藤は田宮に田宮も大和田に騙されていたのだから銀行への報告書作成に協力するよう依頼します。
田宮は慌てて大和田に相談しますが金も返して貰えそうに無く、証言して近藤が報告書にまとめます。
大和田は岸川と共に近藤と直接接触し、近藤に銀行の望むポストを準備する代わりに報告書を出さないで欲しいと持ちかけます。
近藤は同期の顔がチラつくものの、家族の生活と自分のやりたい仕事を考えるとあまりに魅力的な申し出である為、受け入れることにします。
近藤は半沢に謝りますが、半沢は自分のことは自分でケリをつけるから何も問題は無いと近藤の栄転を祝福します。
記者からのタレコミで半沢は黒崎の婚約者の父親が岸川だと知り、この事実を伏せておく代わりに取締役会での証言をさせます。
取締役会では、半沢は大和田の不正を報告し、大和田も反論するものの岸川の証言により半沢の完全勝利で幕を閉じます。
オレたち花のバブル組 を読んだ読書感想
半沢シリーズ第2作目であり、半沢と同期の近藤が主に活躍します。
近藤は元々は能力の高い銀行員でしたが、将来を期待され抜擢された職場で思うように成果が出せず、パワハラを受ける毎日の中でうつ病になり休職した時期がありました。
これにより出世コースからは外れ、タミヤ電機へと出向、給料も下がってしまい辛い日々を過ごすこととなります。
しかし、タミヤ電機で不正を暴いていくうちに闘争本能が蘇ってきて、半沢と同じように正すべきものは正すという信念を思い出します。
近藤と半沢のそれぞれの戦いが進んでいくと、実は大ボスとして裏にいたのはどちらも大和田常務であり、最後は共闘することとなる辺りがストーリーの中の面白い所で上手く作られているなあと思います。
近藤はこの戦いの中で病気は完全に治りかつての力を取り戻しており、大和田の力により夢であった広報部へと異動することとなりますが、家族の事や自身の夢の事もある為仕方ないのだろうなと共感できます。
半沢の同期では渡真利が最も仲が良く、全作品通じてことある事に情報提供してくれますが、本作に関しては近藤の出番が非常に多くなっています。
渡真利からはバブル世代は団塊世代の尻拭いしかしていないので、何とか一泡吹かせてやれと半沢は叱咤激励されますが、半沢は特に世代どうこうと言うよりはやられたらやり返すが信条です。
単にやり返しているだけではあるものの、上司だろうが何だろうが真っ向から反論してしまう為、敵が多いのも事実です。
普通の人には出来ないことをやってのけるからこそ半沢シリーズは人気があるのだろうと思います。
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