シャイロックの子供たち(池井戸潤)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

シャイロックの子供たち(池井戸潤)

【ネタバレ有り】シャイロックの子供たち のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:池井戸潤 2006年1月に文藝春秋から出版

スポンサーリンク

シャイロックの子供たちの主要登場人物

古川一夫(ふるかわかずお)
自分の出世のため部下にきつくあたる羽田支店の副支店長。

西木雅博(にしきまさひろ)
三枚目だが部下からの信頼が厚い営業課の課長代理。

北川愛理(きたがわあいり)
100万紛失事件で濡れ衣を着せられる。

滝野真(たきのまこと)
羽田支店のエース。

シャイロックの子供たち の簡単なあらすじ

東京第一銀行羽田支店。出世を諦めないシャイロックたちは、ぎすぎすした空気の中融資の成績あげるため奮闘していました。その中でも強欲な副支店長古川は、部下たちにも厳しいあたりを続けていました。そんな空気のよくない支店内で100万円の現金が紛失する騒ぎになります。100万円はどこへ消え、そして誰の仕業なのか、それを追求しないままの支店ではさらなる問題が巻き起こるのでした。

シャイロックの子供たち の起承転結

【起】シャイロックの子供たち のあらすじ①

消えた100万円

東京第一銀行羽田支店の古川は、銀行の出世レースに意欲のある副支店長です。

支店の成績は古川はもちろん、支店長の九条にも影響します。

融資、投信の成績の良くない羽田支店。

目標達成しているのは業務課の滝川ぐらいで、この不景気ということもありなかなか融資はとれません。

その中で小山が今投信を売るのはお客様第一に反するのではといい、古川は殴ってしまいます。

小山が悪いとひかない古川ですが、小山は診断書を取り刑事事件にします。

古川は自分のミスを小山に押し付けた報告書をあげていたことがあり、小山は銀行にいても出世はできないだろうとふんでいたのでした。

事件は不起訴になり小山は銀行をやめます。

険悪な空気の中、行員のキャッシュボックスから現金100万円が紛失します。

家が苦しい北川愛理のカバンから帯封が見つかり、彼女に疑いがかかります。

しかし愛理の上司、西木はやっていないと言う彼女を信じます。

はっきりしたことはわからないまま、現金自体はでてきたという西木。

公に説明もなく愛理は納得できません。

事件はうやむやになりましたが、行員たちは愛理がやったものだと思い皮肉を言います。

そんな中でも半田麻紀のあたりはきついものでした。

言い争う二人に西木が割って入ります。

西木がおもちゃの指紋採取セットで帯封から指紋を取り犯人を見つけられると言うと、麻紀は帯封を愛理のカバンに入れたことを白状しました。

麻紀は愛理の恋人、三木の元カノだったのです。

しかし100万は実際には見つかっていませんでした。

100万を紛失したともなれば支店全体の評価が下がります。

支店長たちが役付たちをあつめて100万円を補填したのです。

麻紀も100万の行方は知りませんでした。

もし犯人が麻紀だとすれば、帯封のついた現金をそのまま愛理のカバンに入れればよかったはずです。

誰か他の人間が現金を取ったのだと西木は指紋を取り続けていました。

スポンサーリンク

【承】シャイロックの子供たち のあらすじ②

西木の失踪

ぎすぎすした羽田支店。

そんな中では支店のエース滝野と同世代、遠藤が心を壊して入院していまします。

その上西木が突然失踪してしまったのです。

西木は羽田支店では三枚目のような振る舞いをする出世を諦めた男でした。

銀行が嫌になった可能性はあるものの妻子がおり失踪は不可思議です。

そんな西木の穴を埋めるために竹本は仕事をこなしていました。

西木の仕事をしていると、竹本はこのまま出世街道から外されてしまうと懸念していました。

竹本から見ると西木は三枚目でしたが、部下たちからは評価されており、事件に巻き込まれたのではないかと心配の声があがっていましいた。

西木のロッカーの鍵は残されており、竹本はこっそりその中をチェックすることにします。

そこには紛失した100万の帯封や文庫本、通帳の表紙、ホチキスなどが袋に入れられ保管されていました。

それらの持ち主を当たっていくと彼らは紛失したと思っていたようです。

西木はみんなの指紋を集めていたのです。

竹本は愛理から例の100万の説明を受け納得します。

しばらくして例の帯封がなくなっていることに気がつきます。

竹本は犯人が近くにいて、西木は殺されてしまったのではないかとぞっとします。

広島行きの辞令が出た竹本は、黙ったまま支店を去るのでした。

その後、羽田支店に検査部から黒田がやってきます。

黒田は羽田支店の問題の多さから締め付けが厳しいのではないかと察するのでした。

西木のことを調べていると、紛失した100万円のことが目に入ります。

翌日に見つかったと言いますが、報告書を見れば怪しいことがわかります。

すぐに100万を支店の人間たちで補填したことはわかりました。

追求する黒田に、九条はかつての彼の罪をバラさないかわりにこのことを不問にしてほしいと頼みます。

首の皮一枚つながった羽田支店ですが、空気は悪くなる一方です。

【転】シャイロックの子供たち のあらすじ③

架空融資

融資課新人田端は、そんな銀行に呆れていました。

期待して入ったものの、良くない職場に転職活動を続けていました。

田端は事務を担当している江島工業に書類を届けることになりました。

直接の担当は滝野で、田端は江島工業に行くのは初めてでした。

しかし住所の場所に行ってみると、そこはオンボロアパートの一室でした。

電話をかけると中でなっている音がしますが、人の気配はしません。

書類の受け渡しを頼んできた愛理に聞くと、最近住所変更をしたようです。

不審に思いますが、担当の滝野に話すと社屋立て直しのための一時的なものだと言われます。

一方現在の羽田支店の融資目標は滝野によって達成されていました。

羽田支店の命運は滝野にかかっているとも言えます。

その融資先で名前が出た江島工業、その融資の件で滝野は嘘をついていました。

それに気がついた田端は不信に思います。

再度江島工業に行ってみる田端。

やはりそのボロアパートには江島工業の実態はないようです。

それを愛理に相談します。

滝野以外江島工業の社長には会ったこともありません。

そして西木が滝野の個人口座を調べていたことがわかります。

江島工業の約定書類をチェックしていた愛理は、それが偽物であることに気がつきました。

愛理と田端は再びアパートの一室を訪れ、そこに入っていた郵便を盗み見ます。

その名前は石本浩一となっています。

江島工業の社長は江島宗広です。

おそらく滝野はそれを知っていて架空融資をしているのではないかと考えます。

石本浩一を調べると、彼は赤坂リアルターという会社の経営者でした。

そこは倒産寸前の会社です。

赤坂支店にいた滝野と石本が知り合いで癒着しているのだろうと推測します。

田端は江島工業の書類が偽物であることを上司に報告します。

滝野は九条に呼び出されるのでした。

スポンサーリンク

【結】シャイロックの子供たち のあらすじ④

滝野の告白

滝野は銀行で出世をしなければならないと考えていました。

それは父の影響もありました。

銀行が昔と変わらず一流の象徴であると信じていた父。

その父に反発する気持ちもありましたが、銀行に入った滝野は出世したものだけが人として扱われると気がついてしまったのです。

銀行でいじめぬかれる人間として尊敬できる上司たちが次々と折れていくのを見てきました。

幸い滝野は銀行に評価されてきました。

赤坂支店で石本から謝礼をもらったのが全てのはじまりでした。

石本は不動産投資や同業者の案件を積極的に滝野に持ってきてくれました。

滝野はそのおかげで出世できたとも言えます。

しかし石本の会社が焦げ付き始めたのです。

すでに滝野は羽田支店に移っていました。

石本は江島工業という倒産はしたけれど、社長が逃げ回っており未だ存在はしている会社の実印などを持っていました。

その会社への融資を持ちかけられていたのです。

予定では石本の本業の不動産取引でその架空融資を清算できるはずでした。

しかしあてにしていた不動産取引は流れてしまったのです。

その江島工業へ融資した分の金利支払いを滝野が押し付けられました。

滝野はそのため銀行の100万に手をつけたのでした。

それを西木に知られたため、石本に話すと彼を殺すことになったと言います。

ただ滝野は現場にいなかったため、西木がどこに埋められているかは知らないのでした。

石本は現在も逃亡中です。

羽田支店は店舗責任を問われており、九条も古川も虫の息です。

その西木の家族へ私物やお見舞金を渡しに行った派遣社員の河野晴子は、銀行という組織に夫を殺された一人でした。

晴子は滝野が石本とつながっていた資料を赤坂支店に引き取りに行くことになります。

そのなかで晴子は西木と石本が繋がっていた資料をみつけてしまい、西木は生きているのではないかと気がつくのでした。

シャイロックの子供たち を読んだ読書感想

ある支店でおこった100万紛失事件を軸にした物語です。

その100万はどこへ行ってしまったのか、そしてその100万が紛失したことで何が起こるのか、そこから見えてくる支店の姿は銀行の本質をあぶり出します。

支店の姿を描くだめ、登場人物が非常に多い小説です。

支店の仕事にいかにたくさんの人が関わっているのかわかります。

そしてその群像劇だからこそ見えてくる他人の姿があります。

そのため登場人物は多いですが、読んでいて混乱しません。

同じ銀行員同士でお互いを見ていく世界で浮かびある彼らの姿は少しばかり特殊です。

銀行にはお金を扱うゆえの独特なルールが多く見られます。

また評価や出世は行員の世界では目に見えやすく厳しいものであるように描かれています。

横行するパワハラと縦社会、それに生き残るため耐える彼らは普通の人間です。

物語などで銀行員がでてくれば、それこそシャイロックのように強欲に描かれることが多いですが、彼らもまた一人一人生活があることが描かれています。

善良ではない人々の人間臭さを書かせたピカイチの池井戸潤ならではの作品です。

コメント