【ネタバレ有り】かがみの孤城 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:辻村深月 2017年5月にポプラ社から出版
かがみの孤城の主要登場人物
安西こころ(あんざいこころ)
主人公。中学一年。イジメが原因で不登校。
喜多嶋先生(きたじまたせんせい)
「心の教室」の先生。こころを気にかける。
オオカミさま(おおかみさま)
狼の面をつけた、謎の少女。
リオン(りおん)
お城の仲間。サッカーか好きで、イケメン。
()
かがみの孤城 の簡単なあらすじ
2018年、本屋大賞受賞作品です。こころは、クラスの中心である女子から些細な事で目をつけられイジメを受けるようになってしまいます。それ以来、学校に行こうとすると腹痛が起こり、不登校になります。そんなある日、部屋の鏡の中に吸い込まれたこころは、そこで自分と同じく学校に行けずにいる少年少女と出逢います。こころ達を招いた不思議な少女は、ここを願いが叶う城だと言うのでした。
かがみの孤城 の起承転結
【起】かがみの孤城 のあらすじ①
こころは中学校の一年生だが、イジメが原因で学校に通えずにいました。
お母さんと見学に行った「心の教室」にも、行くことが出来ません。
5月のある日、こころの部屋の鏡が光り輝き、中に引き込まれてしまいます。
気がつくと狼の面をつけ、ドレスを着た女の子が立っていました。
そしてそこは、立派な門構えの西洋風のお城が建っていました。
城には、自分の他に6人同じ年頃の子ども達がいました。
狼面の少女、オオカミさまは「この城は願いを叶える城だ。
この奥には、誰も入れない『願いの部屋』がある。
願いを叶えられるのは1人だけ。
城が開くのは毎日、日本時間の9時から17時。
期限は3月30日まで。
誰かが願いを叶えたら、その時点で城は閉じる。
もし17時を過ぎても城に残っていたら、狼に食われる」と言います。
そしてこころ達を「赤ずきんちゃん」と呼びました。
オオカミさまは一年近く顔をあわせるのだから自己紹介しろ、と言って姿を消します。
残された7人は自己紹介をしました。
ハキハキ話す女の子、中3のアキ。
趣味はサッカーのイケメン、中1のリオン。
メガネをかけ、可愛い声の女の子、中2のフウカ。
ゲームばかりしている男の子、中2のマサムネ。
不思議な雰囲気の男の子、中3のスバル。
ぽっちゃりして気が弱そうな男の子、中1のウレシノ。
そしてこころ。
どうして選ばれたのか心当たりはないと言い合いますが、本当はみんな気づいていました。
みんな学校に行っていない、と。
オオカミさまが現れ、城には各自の部屋も用意してあると言い、解散を告げます。
しばらくは城に行く事が出来なかったこころですが、覚悟を決めて向かうと、マサムネとスバルがゲームをしていました。
みんなマイペースで来る日も時間もバラバラだと聞き、緊張が解けます。
アキとフウカに、不登校の原因がイジメだと打ち明けると、よく耐えたと慰めれこころは涙します。
それがキッカケで女子3人は打ち解けました。
【承】かがみの孤城 のあらすじ②
9月、こころの家に「心の教室」の喜多嶋先生が訪ねてきます。
ずっとこころを気にかけ、「こころは毎日闘っている」という喜多島先生の言葉をとても嬉しく思うのでした。
10月、鍵を探すため全員で協力しようと決めると、オオカミさまが現れます。
「願いを叶えた時点で城での記憶を失う。
願いを叶えなければ、城は閉じるが記憶は継続する」と聞かされます。
アキは構わないと言いますが、他のみんなは城での記憶を失いたくないと言います。
11月、城に行くと制服を着てどこか様子のおかしいアキがいました。
全員、アキの制服を見て愕然とします。
みんな雪科第五中の生徒だったのです。
ハワイの学校に通っているリオンも、留学がなければ通う予定でした。
マサムネの提案でみんなは1日だけ学校へ行き、保健室で会う約束をします。
「自分達は助け合える」という言葉に胸を撃たれ、こころは学校へ行きます。
しかし、その日保健室には誰も来ませんでした。
約束した全員が保健室へ行ったが、誰とも会えなかったことが分かります。
マサムネは、自分達はそれぞれパラレルワールドに住んでいて、助け合うことはできないと推論します。
同じ地域に住んでいながら、食い違いがあるのはそのせいだと言います。
みんな愕然としますが、現れたオオカミさまがその仮定を全否定します。
「外で会えないとは言っていない」「鍵探しのヒントは十分出している」リオンが自分のベッドの下にある×印には意味があるか問うと、他のみんなもそれぞれ見つけていました。
机の下、洗面器の下、暖炉の中…。
しかしオオカミさまは答えませんでした。
最期の日が迫り、その日は全員でパーティをしようと決めます。
4月が迫り、こころは今後どうするか母と喜多島先生と話し合います。
美織達とはクラスを離すなど、配慮してもらえると知り、安心します。
パーティの買い出しに外出していたこころは、自分の部屋からガラスの割れる凄まじい音を聞きます。
【転】かがみの孤城 のあらすじ③
部屋へ戻ると鏡が割れ、破片からフウカ、マサムネ、スバル、リオン、ウレシノの声がしました。
助けて、こころアキがルールを破った17時を過ぎても城から帰らなかった、と。
みんなは家に戻っていましたが、再び引きずり込まれたのです。
部屋にいなかったこころだけが無事だったのです。
「赤ずきんじゃない」というリオンの声を最後に、何も聴こえなくなります。
願いの鍵を探し出すしか、みんなを助ける方法はないと、こころは決意します。
「赤ずきんじゃない」の言葉と、自分達が7人いることからこのゲームのモチーフが「7匹の子やぎ」だと気づきます。
そして×印は子やぎ達が隠れた場所にあり、オオカミさまが自分達を「赤ずきんちゃん」と呼ぶのはフェイクだったと気づきます。
鏡の破片から城へ入ると、こころは×印の場所を探します。
みんなはそれぞれ、×印の場所へ隠れたと確信します。
そして願いの鍵は最後まで見つからなかった子やぎの隠れ場所、大きな時計の中にある、と。
×印に触れるたび、みんなの過去を見ることができました。
こころはある確証を得る為、みんなの過去をを辿っていきます。
アキの部屋のクローゼットの×印に触れると、アキの記憶が見えました。
アキが制服で城に来たあの日、彼女は義父に襲われそうになっていたのでした。
みんなとなら助け合えると期待したものの、無理だと知ったアキは、ルールを破り、クローゼットに隠れたのです。
絶望するアキに誰かの声が届きます。
「逃げないで」「大丈夫、私達は助け合える」「私、アキの生きた、その先にいる」パラレルワールドではなく、それぞれ違う時代に生きているのだと、声は告げます。
こころは大時計を開き、鍵を手にします。
そして振り子の奥に見えた鍵穴に差し込み、願います。
「どうかアキを助けて。
ルール違反をなかったことにしてください」光が溢れたその中にアキを見つけたこころは、必死で手を伸ばします。
【結】かがみの孤城 のあらすじ④
願いが叶ったため、フウカ、スバル、マサムネ、ウレシノ、リオンが現れました。
こころに手を貸し、一緒にアキを引き戻すことが出来たのでした。
願いを叶えた事で、城での記憶は失いますが、みんなは改めて、本名で自己紹介をし、西暦何年を生きているのか教えあいます。
別れの時、2006年を生きるこころは1992年を生きるアキに言います。
「待ってるから、会いにきてね」アキはしっかりと頷くのでした。
みんなが帰ると、一人残ったリオンがオオカミさまを「姉ちゃん」と呼びます。
期限である3月30日は、リオンの姉の命日でした。
そして、この城は姉のドールハウスとそっくりです。
ここにいるオオカミさま仮の姿で、本体はまだ生きている頃の、病室で寝ている姉ではないかとリオンは問います。
最後の1年を使って、自分と同じ年になったリオンに会いに来てくれたのだろう、と。
何も答えないオオカミさまに、リオンは「みんなのこと、姉ちゃんのこと、覚えていたい」と願います。
オオカミさまは「善処する」と言うのでした。
2006年進級したこころは、不安の中で登校を決意します。
すると、「よお」と男の子に声をかけられます。
初めて会うはずなのに、不思議と知っているような気がして、戸惑うこころにリオンは「おはよう」と微笑みかけるのでした。
アキの本名は井上晶子ですが、結婚して姓が変わり『喜多島晶子』になっていました。
城での出来事は全く覚えていないアキですが、 誰かに強く腕を引かれ、助けられた記憶だけは残っていました。
腕の痛みを思い出すたび、今度は自分が腕を引く側になりたいと思います。
「心の教室」に、こころが訪ねてきます。
アキの心から「待ってたよ」と声がします。
部屋の壁にかけられた鏡が少し輝き、アキはそちらに目を振り返り、不思議に思います。
中学時代の自分とこころが、座っていた気がしたのでした。
かがみの孤城 を読んだ読書感想
ファンタジーと現実世界が上手く融合していて、とても面白かったです。
ファンタジーが苦手な人でも、楽しんで読めると思います。
何気ない生活や、日々の心情を書き方が丁寧なので、物語に引き込まれて読みました。
主人公の、少し気が弱いこころと、ラストでとんでもないことをしでかすアキ。
対照的な二人が魅力的でした。
城の仲間達は、7人いますがそれぞれ個性があってすんなり人物を思い描くことができました。
私が特に好きなのはアキで、自分勝手で脆くて、人間味があっていいです。
自分たちの世界に戻ったみんなの様子をもう少し覗いてみたかったので、そこだけ少し残念でした。
コメント