【ネタバレ有り】クリムゾンの迷宮 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:貴志祐介 平成15年2月25日に角川書店から出版
クリムゾンの迷宮の主要登場人物
藤木
失業中の40代の男性 目覚めると岩だらけの見知らぬ場所にいた 謎のサバイバルゲームに巻き込まれることになる
蒼(アイ)
売れない漫画家をやっているスレンダーな美女 藤木と協力してサバイバルゲームに挑む
妹尾(せのお)
多重債務を背負う大柄の男 温厚な性格をしているが、極限状態のサバイバルで凶暴性が剥き出しになる
楢本(ならもと)
フリーターの男 物語中盤で食人鬼となる
鶴見(つるみ)
出稼ぎ労働に従事している中年男性 物語中盤で食人鬼になる
クリムゾンの迷宮 の簡単なあらすじ
ここがどこかわからない..火星のような風景の場所で目覚めた藤本。傍らにはゲーム機のような端末が置いてあり、何者かが仕組んだサバイバルゲームの中に放り込まれます。参加者は藤本を含めた9人の男女、出会った当初は協力して状況を切り抜けようと友好的でしたが、このゲームの本質は自分が生き残るためには他人を皆殺しにしないといけないという冷酷なモノで、極限状態のサバイバルは参加者の醜い心を剥き出しにさせます。そして..ゲームの仕組みによって、食人鬼が誕生してしまい..命がけの鬼ごっこが繰り広げられます。
クリムゾンの迷宮 の起承転結
【起】クリムゾンの迷宮 のあらすじ①
藤木は火星を想像させる、一面深紅色の岩石地帯で目を覚まします。
ここがどこだかわからず、戸惑う藤木の前に蒼という女性が現れ、藤木と同じく蒼も自分がどうしてここにいるのかわかりません。
傍らにゲーム機のような端末が置いてあり、自分たちが何者かが仕組んだゲームの中に放り込まれたことを知ります。
藤木達以外のゲームの参加者と出会い、参加者たちは協力してこの状況を切り抜けようということになります。
各々の端末に指示が表示され、ゲームを有利に進めるためのアイテム..「サバイバル用品」..「護身用の武器」..「食料品」..そして「情報」を得るための4つのルートが表示され、参加者たちはアイテムを得るために2人一組になって探索することになります。
2人一組になって、4つのルートの中の選んだルートを探索することになります。
藤木は蒼と行動を共にし、「情報」を得るために探索を開始します。
無事にチェックポイントにたどり着いた2人は「情報」を得ることに成功します。
ここがオーストラリアの国立公園だということがわかり、助けを呼びに行くことは困難であるという現実に打ちのめされます。
他には食べることができる植物..動物を取るための罠の作り方..そしてゲームのアイテム一覧表が提示されました。
各々が得たアイテムを持ち寄って参加者たちは物々交換を行いますが、先ほど得たアイテム一覧表よりもアイテムの数が明らかに少なく、参加者同士での騙し合いが始まっていることに藤木は愕然とするのでした。
【承】クリムゾンの迷宮 のあらすじ②
チェックポイントを巡る内に藤木はこの状況がかつてプレイしたことがある「火星の迷宮」というゲームの状況に酷似していることに気が付きます。
このサバイバルゲームを作ったものが、「火星の迷宮」を参考にしてシチュエーションを整えていると悟った藤木は、行動を一歩間違えると即、死につながると肝に命じ、慎重に行動をします。
道中に妹尾と遭遇し、物々交換を行いますが、温厚だった妹尾は豹変し、粗暴な乱暴者に成り果てていました。
更に探索を進めると、このゲームの目的がスナッフビデオを撮影することだという事実にたどり着き、さらに最初のチェックポイントで「食料」を手にした人間たちに訪れる恐ろしい真実が告げられます。
「食料」の中には強力な食欲亢進剤が含まれており、それを食べた人間は極度の空腹に苛まされ、人格が破たんし、人肉を食す「食人鬼」に成り果ててしまうという恐ろしいモノでした。
「食料」を食べた楢本と鶴見は食人鬼と化し、参加者たちを惨殺して食べるというおぞましい凶行に走ります。
食人鬼と化した2人は乱暴者の妹尾をも殺害し、その肉を食べてしまいました。
オーストラリアの国立公園の中で、食人鬼との逃走劇が繰り広げられることになります。
【転】クリムゾンの迷宮 のあらすじ③
食人鬼たちとの逃走劇を繰り広げる中で、藤木と蒼は死を強く意識し、急速に関係を縮めて男と女の仲になります。
食人鬼は参加者を次々と殺害し、生き残っているのは食人鬼の2人と、藤木と蒼だけになってしまいます。
食人鬼の常軌を逸した奇行に怯えながら逃走を続け、戦いの末に鶴見を殺害することに成功しました。
もう一人の食人鬼..楢本の魔の手が迫る中、藤木は意を決してゲームの舞台から逃走を試みます。
岩をよじのぼり、広大な大地へと逃げ出しますが、狂気に支配された楢本は藤木達を食い殺すために、2人の後を追跡してきます。
途中で善良なアボリジニに保護されますが、何者かが放ったスナイパーライフルの凶弾によってアボリジニは殺されてしまいました。
「食人鬼」楢本との死の鬼ごっこが再び始まります。
迷宮のような大自然の中を知恵を振り絞って逃げ回りますが、遂に食人鬼に追いつかれてしまいます。
しかし、藤木は機転を利かせて、毒蛇の大群を唆して、楢本を殺害することに成功します。
しかし、藤木も毒蛇に噛まれてしまい、猛毒に犯されて倒れてしまいました。
【結】クリムゾンの迷宮 のあらすじ④
藤木は無事日本に帰ることができ、電車に乗って温泉を目指していました。
旅の目的はゲームで疲弊した体を癒すためです。
毒から回復した藤木が目を覚ましたのは日本の病院でした。
医者たちは何も答えてくれずに、藤木が家に帰ると家の中には何者かが置いて行った、500万円がありました。
謎に包まれていて、はっきりとしたことは藤木にはわかりませんが蒼がゲームを主催した側の人間で、自分は蒼によって命を助けられたのだと藤木は悟ります。
藤木はその500万円を元手にして知り合いの探偵を雇い、あのゲームを企画した人間たちの素上を探ります。
あのゲームで制作されたと思われるスナッフビデオの出所を探りますが、それらしき品は見つかりませんでした。
藤木はゲーム内での蒼の行動に思いを馳せます。
なぜ蒼は自分を助けたのか..なぜ蒼は自分と関係を持ったのか..なぜ蒼は自分とパートナーを組むことにしたのか..遂には蒼の目が義眼で、その義眼の中にゲームを録画するビデオカメラが仕組まれていたのだという妄想にまで至りますが..しかし、いくら考えたところで所詮は想像の域を出ておらず、事件の真相は未だに謎の中です。
蒼は今どこにいるのだろうか..今知りたいことはそれだけだ..と藤木の蒼への思いが綴られてこの物語は幕を閉じます。
クリムゾンの迷宮 を読んだ読書感想
目が覚めたら謎の岩石地帯にいて、そこで生き残りをかけたデス・ゲームを行うというのが本作の趣旨ですが、読んでいてかなり引き込まれた作品でした。
作中で登場した食人鬼の存在がこの物語の恐怖を一段と加速させています。
食べただけで、普通の人間を食人鬼に変貌させてしまうという恐ろしくも、理不尽なアイテムによって登場人物たちは地獄の釜の底を死に物狂いで逃げ回ることになり、食う側と食われる側の心情や駆け引きが巧みに表現されています。
火星のような風景の謎の舞台を探索するというミステリアスながらもホラーな雰囲気..参加者たちを翻弄するゲームの謎..極限のサバイバルによって化けの皮が剥がされる人間の醜い本性..そして、おぞましい食人鬼に肉を狙われる恐怖..この一冊には人を惹きつける魅力がたっぷりと詰まっています。
ホラーでミステリアスな作品が好きという人におすすめする一冊です。
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