「悪の教典」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|貴志祐介

「悪の教典」

【ネタバレ有り】悪の教典 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:貴志祐介 2010年7月に文藝春秋から出版

悪の教典の主要登場人物

蓮実聖司(はすみせいじ)
本作の主人公で、高校教師。担当は英語で、爽やかなルックスで生徒達からの人望は厚いが、実はサイコキラーという裏の顔がある。

片桐怜花(かたぎりれいか)
生徒側の主人公。直感により危険を避ける能力が高い。蓮見と話す時いつも何故か緊張している。

安原美彌(やすはらみや)
相当な美少女で柴原教諭に弱みを握られセクハラされていたが蓮実に助けられ、蓮実と深い関係となる。

蓼沼将大(たでぬままさひろ)
不良で何度も停学になっている。ボクシングを学んでいる。

早水圭介(はやみけいすけ)
片桐怜花、夏越雄一郎と共に蓮実を疑う。蓮実の犯行を暴くために単独で学内を探索する。

悪の教典 の簡単なあらすじ

町田高校の英語教師蓮実聖司は爽やかなルックスと快活な話し方で生徒から絶大な人気を誇っています。特に女子の中では親衛隊もできるほど人気があり、他の教師とも良好な関係を築いています。しかし、蓮見には裏の顔があり、邪魔になった人物を躊躇わずにどんな方法をつかってでも排除するサイコパスでした。同僚を飲酒運転させたり、クレーマーな父兄を影で殺したりといったことを隠れて行っていきますが、徐々に疑いを持つ者も現れていきます。

悪の教典 の起承転結

【起】悪の教典 のあらすじ①

人気者英語教師の蓮実聖司

町田高校の英語教師蓮実聖司は爽やかなルックスと快活な話し方で生徒から絶大な人気を誇っています。

特に女子の中では親衛隊もできるほど人気があり、他の教師とも良好な関係を築いています。

蓮実は二年四組の担任を受け持っており、クラス替えの際には自分好みの女子生徒を集める一方でバランスを取るために問題児も引き受けていました。

蓮実は生活指導部の担当でもあり、学内で起きる様々な問題に対処していきます。

時には生徒を利用して生徒だけが使っている裏サイトを見たり、生徒からの相談や密告があったり、同僚と酒の席を利用したりと様々な手法で情報を集めます。

情報を利用しつつ、心理学を用いて自分に優位に働くように相手を誘導するなど、非常に上手く立ち回ります。

問題を解決する中で、柴原教諭に弱みを握られ肉体関係を迫られていた安原美彌を助けると美彌は蓮実にベタ惚れとなります。

しかし、中には蓮実に懐かない生徒もおり、片桐怜花は直感的に園田、柴原、釣井、蓮実の4人の教師に対して危険だと感じていました。

蓮実は久米という美術教師は前島雅彦という生徒と同棲愛のパートナーであるという事実を掴み活用法を考えます。

前島を虐めていた蓼沼という不良生徒は過去に何度も停学になるなど問題児中の問題児であり、蓮実は蓼沼を危険分子だと判断しネットで炎上させ学内で暴れる要因を作ります。

しかし、このネットの書き込みを見て清田梨奈という生徒の父親がクレームに来ます。

【承】悪の教典 のあらすじ②

露出する蓮実の異常性

清田の父親への対処を検討する蓮実は、最も強硬な殺すということから教頭に泣きつくという穏やかなものまでどれが良いか考え、清田の家に灯油を隠しておきます。

学校で避難訓練のあった日、騒ぎが起こり蓮実が駆けつけると蓼沼がカッターナイフを持って暴れていました。

蓼沼は蓮実に斬りかかりナイフが腹部をかすめます。

蓼沼は捕らえられ、退学処分となりました。

蓮実はこんなこともあろうかと防刃チョッキを着けていたため無傷で済みました。

後日、清田家に火のついたタバコ入りのゴミ袋を置き放火します。

清田父は焼死しましたが、母親は怪我をしただけで済み、梨奈はたまたま外泊していて無傷でした。

ある日、同僚の真田教諭に相談を持ち掛けられます。

どうも生徒と不謹慎な関係を持っている教師がいるとのタレコミがあったようで、蓮実は真田の性格上とことんまで追求すると確信し真田に学校を去ってもらうことにします。

深酒と薬で眠らせた後、蓮実は真田の愛車を駆り学校へと向かいます。

たまたま残業していた堂島教諭をついでに跳ね飛ばし、真田を運転席に座らせ止まっていた教頭の愛車レクサスに正面衝突させます。

翌日、泥酔した真田を放って帰ったのを咎められますが、教頭は蓮実の犯行だとは夢にも思っていません。

蓮実にとって残念だったのは、ついでに跳ね飛ばした堂島教諭が命に別状は無かったことでした。

堂島教諭が残業していたのは怪文書作成の為で、蓮実に対する嫌がらせのビラを撒こうとしていたと分かると、職員会議で依願退職させることに決まります。

真田も当然懲戒解雇となり、2人の教師が一度に学校を去ることとなります。

修学旅行後から、釣井教諭の動きが蓮実の弱みを握ろうとし蓮実の過去を嗅ぎ回り出したため、蓮実は釣井を自殺に見せかけて殺します。

【転】悪の教典 のあらすじ③

期末試験と文化祭準備

町田高校では、これまでも集団カンニングが行われており、前回は蓮実が事前に察知して防いでいました。

カンニングの首謀者早水は蓮実を疑っており、蓮実が学内に盗聴器を仕掛けていると予想し早水は盗聴波を探り、最も強くなる場所まで追っていくと屋上に出ます。

そこで蓮実が盗聴中だと予測し襲撃する準備をしますが、逆に不意打ちをくらい意識を失います。

蓮実は早水が探りを入れているのに気づいており、罠を張って待ち構えていました。

早水から仲間の情報を聞き出そうとしますが、早水も仲間が殺されるのは避けようと粘ります。

そこに誰かが同じフロアにやってきたため、蓮実はやむを得ず早水を殺し遺体を中庭に隠します。

早水が姿を消したことに不信感を抱く者もいますが、蓮実は上手く工作を行ないます。

そんな中、文化祭が近づいてきます。

夏休み明けの文化祭の準備の為に一日だけ学校に泊まることが許されており、その日は二年四組一クラスだけが泊まることになっていました。

皆楽しみつつ作業を行っており、退学になった蓼沼も仲間に呼び出されてやってきます。

蓮実は愛人となった美彌が様々なことに気づき始めてしまったために自殺に見せかけて殺そうとします。

しかしいつもならば何の躊躇いも無く犯行を行えるのですが、美彌に情が移ったのか上手く身体が動かずいくつか失敗します。

何とか屋上から落とすことには成功しますが、誰かに目撃されてしまったようで、階段を駆け降りていく足音が聞こえました。

屋上での蓮実を目撃していたのは永井という女子で、永井は美彌を落とすところまでは見ていなかったものの蓮実に疑いを持っていたため殺します。

他に疑いを持った生徒はいないか盗聴器で教室の会話を聞いていると、怜花と雄一郎が蓮実についてかなり詳しい話をしており既に警察に相談していると分かります。

蓮実は覚悟を決め、生徒を皆殺しにすることにします。

【結】悪の教典 のあらすじ④

学校での惨劇の果てに

武器として学校には猟銃があり、犯行を押し付けるために久米教諭を呼び出し拘束します。

蓮実はまず音楽室で男子2人、女子1人を殺害し、残り男子18、女子17人を卒業させるには長い道のりだなと感じます。

最大の脅威となる宿直の体育教師園田を殺そうとしますが、園田は右手にサスマタ、左手に楯を持ち蓮実の前に現れます。

蓮実は散弾銃を放ちますが、一撃で仕留められず反撃を受けます。

激しい格闘の末、何とか園田を仕留めますが蓮実はかなりのダメージを受けます。

次に蓮実は校内放送で不審者の侵入があり危険なため屋上へ逃げるよう生徒に伝えます。

生徒は3派に分かれて行動します。

まず降りてきた4名の男子を殺し、不意打ちを狙ってきた蓼沼も返り討ちにします。

ここからは障害も減り、ペースを上げ次々に生徒を殺していきます。

残り4人となった所で、生徒と淫行しようとして学校におり生徒に袋叩きにされた柴原を発見します。

アーチェリー部のエース高木は人影が見えると見事に一射で倒しますが、倒したのは囮にされた柴原でした。

その後も蓮実は生徒のトラップで危うい思いをしながらも最後の1人まで殺します。

最後に残った星田は自殺しており、担任としては残念に感じますがこれで全員殺したことになり蓮実は満足感を感じます。

最後に久米教諭を自殺に見せかけ殺害し蓮実の犯行は完璧に終わったはずでした。

後日の警察の聴取を受け、蓮実は自身のシナリオ通りに久米教諭に責任を押し付け警察も信じます。

しかし、死んだはずの夏越雄一郎と片桐怜花が現れ、蓮実が犯人だと証言します。

さらに蓮実の犯行時の音声も見つかり後がなくなると蓮実は精神異常者のふりをして極刑を免れようとします。

美彌も一命を取り留めていましたが、事件については何も語ろうとはしませんでした。

悪の教典 を読んだ読書感想

序盤は普通の学園モノかと思うくらいに穏やかにストーリーが進んでいきます。

随所におかしな行動が見えるものの、サイコパスという程異常ではありません。

少し自己中心的で自分の思い通りにならないことに対して、策略を用いるくらいの性格なのかなと言う程度でした。

最初におかしいなと感じるのは、清田梨奈の父親に対する対応で最も強硬な手段として殺すという選択肢を考えているところです。

できればやりたくないとしているものの当たり前のように殺すことを考えているのが普通の人とは異なる考え方だと感じます。

その後は、次々に犯行を重ねていきますが、頭が良くほとんど証拠を残しません。

何となく蓮実が怪しいと気づいた人間も基本は消されてしまいます。

警察も蓮実の前の赴任高校での事件時に疑ったものの犯行を暴くことができず敗北していました。

正に悪魔のような人物であり、おそらくは極刑も免れるのだろうなと思わせてくれます。

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