「言い寄る」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|田辺聖子

「言い寄る」

【ネタバレ有り】言い寄る のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:田辺聖子 2007年6月に講談社から出版

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言い寄るの主要登場人物

玉木乃里子(たまき のりこ)
三十一歳独身で、フリーのデザイナーとして働く傍ら、絵を描き個展を開くと全部売れるほどの盛況ぶりを見せる。長年、知り合いの五郎に想いを寄せている。

中谷剛(なかや ごう)
大企業の中谷鉄工の御曹司。色男を自負しており、実際女にモテモテ。乃里子を気に入りちょっかいを出す。

水野(みずの)
剛の別荘地で知り合った妻子持ちの中年男性。ひょんなことから肉体関係をもつようになる。

三浦五郎(みうら ごろう)
長年乃里子が片思いしているサラリーマン。妊娠した美々に快く戸籍を貸す。ハワイアンギターが趣味。

美々(みみ)
乃里子が以前勤めていた保険会社の同僚。子供を妊娠し、乃里子に相談する。

言い寄る の簡単なあらすじ

玉木乃里子は大阪で暮らす三十一歳独身で、フリーのデザイナーとして働く傍ら、絵を描き個展を開いたり、毎日仕事に追われ、忙しくも充実した毎日を送っています。長年、三浦五郎に片思いしていますが、のらりくらりかわされ恋人にはなれません。御曹司で色男の中谷剛や、大人の色気漂う水野との逢瀬を楽しんだりする乃里子ですが、本命の五郎には言い寄ることができず……。

言い寄る の起承転結

【起】言い寄る のあらすじ①

中谷剛

玉木乃里子は大阪で暮らす三十一歳独身で、フリーのデザイナーとして働く傍ら、絵を描き個展を開いたり、毎日仕事に追われ、忙しくも充実した毎日を送っています。

元同僚の美々から結婚を約束して付き合っていた男から一方的に捨てられたので、せめてお金をとりたいと相談され、話し合いの場に同席することになります。

美々の相手の男にも付添人がおり、なかなかの色男でした。

名前を中谷剛というその男は、乃里子を気に入り後日デートに誘ってきます。

美々が受け取るお金を剛が預かっているので、乃里子はお金を受け取りに会いに行きます。

話してみると剛は快活でおしゃべり上手、二人は馬が合いドライブを楽しみます。

剛が所有する六甲山の別荘まで案内された乃里子は、そこで剛と一夜を共にします。

剛は乃里子が考えるよりもはるかに金持ちで、本人もそれを否定せず、むしろありありとアピールしてきます。

まだ若く見た目も男らしく、加えて金持ちとくると女は放っておかず、剛は大阪中の女の子を相手に遊び歩いている女たらしでした。

自分には妻帯者だと説明していましたが実は独身で、たくさんの女の子を別荘に連れ込んでいること知った乃里子は馬鹿にされたような気持ちになります。

そんな中、美々が本当に妊娠してしまいます。

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【承】言い寄る のあらすじ②

五郎と水野

美々はお腹にいる赤ん坊の父親からは産むことを止められますが、産む決意は固く、乃里子のアドバイスも聞き入れません。

乃里子は美々の話をつい三浦五郎にしてしまいます。

人の良い五郎は未婚の母では赤ん坊が可哀そうだから、籍くらい貸してあげようかと提案してきますが、乃里子はそれをばっさり切り捨てます。

なぜなら乃里子はもう長い間、五郎に片思いしているからです。

五郎のお嫁さんになるのが乃里子の夢なので、五郎が戸籍を汚すことを良しとしません。

五郎と甘い関係になりたい乃里子ですが、五郎はその気はないのか、はたまた鈍いのか、乃里子の誘いに応じることはありません。

剛となら緊張せず楽しみながら事を済ませることができる乃里子ですが、本命の五郎相手には慎重になってしまうのでした。

剛からは相変わらず頻繁に連絡があり、割り切って付き合うことにした乃里子は連れていかれた淡路の別荘で、水野という中年男性と知り合います。

水野は剛の斜め向かいに別荘を持っており、剛に弄ばれ傷つく乃里子を優しく介抱し、二人は肉体関係を持ってしまいます。

若い剛との勢い任せのそれとは違い、じっくりと時間をかける水野のやり方にうっとりする乃里子。

剛には内緒で水野との逢瀬を楽しみます。

【転】言い寄る のあらすじ③

嫉妬

美々はいよいよお腹が膨れ目立つようになってきました。

戸籍を貸す相手を探しており、たまたま乃里子の家で鉢合わせした五郎に戸籍の貸し出しを依頼します。

慌てる乃里子をよそに五郎は快諾し、二人は書類上では一時的に夫婦になることになりました。

美々は戸籍上だけのことだから心配することはないと言いますが、もやもやする乃里子。

そして不安は的中してしまいます。

乃里子の知らないところで、美々と五郎は急接近してしまうのです。

美々に連絡を取ると五郎の気配がちらつき、五郎に連絡を取ると美々の気配がちらつくようになり、次第に乃里子は嫉妬の炎に燃えていきます。

真相を確かめるべく、急遽美々の部屋上がり込んだ乃里子はそこに五郎がいることを確認し、二人の関係が発展している事実を目の当たりにします。

五郎は乃里子の部屋よりもリラックスした様子で部屋に馴染んでおり、美々の部屋には五郎の私物が置かれています。

美々について愛おしそうに話す五郎をみて、乃里子は五郎が美々に恋をしていると悟るのでした。

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【結】言い寄る のあらすじ④

恋の行方

五郎と美々の関係にやきもきしつつ、乃里子は剛と水野と良好な関係は続いていました。

ある日、剛が乃里子の家に母親を連れてきます。

小柄で上品な剛の母親は、乃里子がデザインしている人形のファンで、乃里子に会えてとても喜びます。

剛は乃里子に、マンションを買うから一緒に住もうとしつこく誘いますが、乃里子は乗り気ではありません。

水野との逢瀬を楽しみつつ、剛とも遊ぶ日々を送っていました。

そんなある日、美々は予定日より一か月早く出産をしました。

小さく生まれた赤ん坊は生まれてすぐに息をひきとってしまいます。

悲しみに暮れる美々の横には五郎の姿があり、二人は赤ん坊がいなくなってからも籍を抜くことなく、一緒に暮らすことに決めました。

辛い失恋をした乃里子は、年上の水野を頼りますが、二人でいるところを剛に目撃されてしまいます。

剛に問い詰められ、水野との関係を白状した乃里子に、剛の鉄拳が飛んできます。

激高した剛は乃里子の頬を叩きます。

乃里子も激情し、現場は物の投げ合いでひどい有様に。

乃里子と剛は喧嘩別れしてしまいます。

顔がぼこぼこに腫れ上がり、部屋の中は散乱し、みじめな気持ちになる乃里子。

乃里子は傷口に塩を塗ることを重々承知で五郎と美々のところに転がり込みます。

正式に夫婦となった二人を前に、乃里子はもう五郎に少しのときめきも感じていないことに気がつきます。

乃里子の長い片思いはこうして幕を閉じました。

自宅に戻ると、剛が訪ねてきます。

警戒心をあらわにする乃里子に、剛はこないだの非礼を詫び、正式に一緒に住む申込を再度するのでした。

言い寄る を読んだ読書感想

著者の田辺聖子さんが『私、この作品を書くために生まれてきたのかもしれへんわ』と書き記したくらい、恋愛小説の最高傑作と名高い乃里子三部作。

今回はその第一作の『言い寄る』をご紹介しました。

仕事を持ち、男からは言い寄られ、人生を謳歌しているように見える乃里子の、切ない片思いが苦しいです。

美々と五郎の距離が縮まっていくのを指をくわえながら見ているしかない脇役の自分。

どんなに金持ちの剛や、魅力的な年上の水野と関係を持っても、本当に欲しかった五郎は結局手に入りません。

本命も遊びの男たちも一気に失くしたかと思われた矢先、遊び相手と割り切っていた剛からの真剣な求愛で幕を閉じる本作、第二作の布石となっています。

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