「ジェントルマン」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|山田詠美

「ジェントルマン」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|山田詠美

【ネタバレ有り】ジェントルマン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:山田詠美 2011年11月に講談社から出版

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ジェントルマンの主要登場人物

宮下夢生(みやしたゆめお)
主人公。都立高校を卒後した後に華道家を目指して修行中。

坂井漱太郎(さかいそうたろう)
夢生の高校の同級生。現在は銀行本部の融資推進室勤務。

藤崎圭子(ふじさきけいこ)
夢生の高校のクラスメート。会社勤めの後にレストラン・バーの経営者に転身。

村山(むらやま)
夢生が所属していた華道部の顧問。

立川ルリ子(たちかわるりこ)
漱太郎が所属していた弓道部のマネージャー。現在はカウンセラー。

ジェントルマン の簡単なあらすじ

坂井漱太郎は学校きっての人気者でしたが、宮下夢生はある日の放課後に彼のもうひとつの顔を目の当たりにします。その後も罪を重ねていく漱太郎でしたが、順風満帆な人生を歩んでいき社会的な制裁を受けることもありません。漱太郎に心酔していた夢生は、過去の被害者たちの声を聞いていくうちに心変わりをしていくのでした。

ジェントルマン の起承転結

【起】ジェントルマン のあらすじ①

嵐の夕方に見たジェントルマンの秘密

宮下夢生が坂井漱太郎と関わり合いを持つ羽目になったのは、高校2年生の1学期も終わりに近づこうとする頃でした。

言葉こそ交わしたことはなかったものの漱太郎の存在は際立っていて、学校内で彼を知らない生徒はいません。

成績は常に学年でトップクラス、運動能力でも抜きん出て中学時代は弓道で全国大会出場、容姿端麗。

夢生はクラスメートにして高校時代でも1番の親友である藤崎圭子と、「あのジェントルマンの生き様をこれからも見守っていこう」と誓い合います。

漱太郎の秘密を目撃してしまったのは、北上している台風の影響で激しい雨が降っていて全国生徒が帰宅を急いでいた夕方過ぎです。

華道部に所属していた夢生が茶室に忘れ物を取りに行くと、顧問の村山が漱太郎から暴行を受けていました。

漱太郎は村山が普段から剪定に使っていた鋏を夢生に手渡して、「共犯者」の烙印を押します。

漱太郎の凶行を止めることが出来なかった夢生は、事件を学校にも圭子にも打ち明けません。

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【承】ジェントルマン のあらすじ②

悪行の下に築かれた幸せな家庭

夏休み期間が過ぎると村山は一身上の都合によって退職して、更には弓道部の女子マネージャーが漱太郎によって妊娠させられる騒ぎまで起こりました。

漱太郎はお咎めなしのままで高校を卒業して大手都市銀行に就職し、見合い結婚の末にふたりの子供に恵まれてより一層紳士然としてきます。

妻子を抱える身でありながら、漱太郎は勤め先の一般職の女性に手を出しては傷つけることを止めません。

経済的な事情で大学への進学を諦めた夢生は、漱太郎から紹介された華道家に弟子入りしてフラワーアートを学んでいる毎日です。

レストランのディスプレイや催し物関係の仕事を回してもらっているために、相変わらず漱太郎には頭が上がりません。

土日の午後になると漱太郎は、夢生を自宅に招待して妻とふたりの息子と共におもてなしをするようになりました。

休日の昼間に家族でバーベキューに興じる幸せ一杯な漱太郎は、さながらホームドラマのワンシーンのような光景です。

【転】ジェントルマン のあらすじ③

次第に暴かれていく紳士の正体

大学の経営学部に進んだ圭子は輸入品会社で働いた後に、祖父のレストラン・バーを譲り受けて「K’s bar」という店名でリニューアルオープンしました。

店内のフラワーアレンジメントを手掛けた夢生との友情は、学生の頃と変わることはありません。

いつものようにお店を訪れた夢生は、客が引いて従業員も早めに帰した圭子からこの前に出席した高校の同窓会について話し出します。

同窓会で再会を果たしたのは、かつて弓道部のマネージャーをして漱太郎を追いかけていた立川ルリ子です。

現在は性暴力被害者専門のカウンセリングをやっているというルリ子は、近々書籍を出版する予定で漱太郎の過去について調べていました。

漱太郎の子を堕胎した後に長期間休学していたルリ子に対して、親身になって相談に乗ってくれたのが村山です。

その村山は漱太郎の凶行によって学校を辞めた末に、自らの命を絶っています。

漱太郎を絶対に許さないと息巻くルリ子に、圭子も強く賛同しているようです。

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【結】ジェントルマン のあらすじ④

20年前の罪が裁かれる瞬間

漱太郎の上の息子が間もなく誕生日を迎えるために夢生がプレゼントを用意していると、圭子も一緒にお祝いに行くと言い出しました。

嘘の上に作られた幸せな家庭を見てみたいという彼女は、夢生にも憐れむような眼差しを送ります。

当日は良く晴れていて花火の音も聞こえるために、近所で運動会でも開かれているのでしょう。

金木犀が咲き誇る庭は、孫の顔を見に来た漱太郎の両親に勤め先の部下まで招待されていて大賑わいです。

裕福な家庭で有り余る庇護を受けて育った漱太郎が、なぜ裏の顔を持つようになったのかは今となっては分かりません。

いつの間にか居なくなった漱太郎を探して、夢生は勝手に家の中に入りました。

漱太郎は自室でテレビをぼんやりと観ていて、ワイドショーは有名な大学教授が痴漢を繰り返して逮捕されたニュースを報じています。

「罪を犯した人は自覚がなくても裁かれるべき」という圭子の言葉を信じて、夢生はあの嵐の夕方に共犯の証として受け取った鋏の刃を漱太郎の身体に突き立てるのでした。

ジェントルマン を読んだ読書感想

ハンサムなルックスに学業成績も優秀、更にはスポーツ万能とパーフェクトな坂井漱太郎に隠されている恐るべき本性に引き込まれていきました。

善悪の感情が生まれながらにして欠如した、ロボットのような思考回路には圧倒されます。

漱太郎の魔の手にかかって悲劇的な末路を辿っていく、数多くの女性たちの姿には胸が痛いです。

漱太郎に心酔しているように思えながらも、心の奥底では彼への違和感を募らせていく宮下夢生も印象的です。

物語の狂言回しでしかなかった夢生が、全てを終わらせるためにとったクライマックスの行動には驚かされました。

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