「愉楽にて」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|林真理子

「愉楽にて」

【ネタバレ有り】愉楽にて のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:林真理子 2018年11月に日本経済新聞出版社から出版

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愉楽にての主要登場人物

久坂(くさか)
主人公。大手医薬品メーカーの副会長で様々な女性と逢瀬を重ねる。

田口(たぐち)
久坂の友人でもう一人の主人公。製糖会社の三男でその子会社の社長。最近妻を亡くしている。

田口の妻(たぐちのつま)
自分は幸せではなかったと言い残して死んだ田口の妻。その死によって田口に莫大な遺産を残した。

田口の母親(たぐちのははおや)
毅然とした性格だが老いて体が弱っており、三男の田口は母の勝手な言動に振り回されながら世話をする。

ファリン(ふぁりん)
中国の富豪の夫人で大学教授をしている。田口と恋愛関係になる。

愉楽にて の簡単なあらすじ

50代の久坂は日本とシンガポールを行き来しながら、医薬品メーカーの副会長をしています。しかし、会社の仕事にはほとんど関わらず、妻に隠して日本とシンガポールの女性たちと逢瀬を交わしながら、趣味や遊びに没頭する生活をしています。一方で、久坂には昔留学中に知り合った田口という男がいました。田口は久坂とは対照的に会社社長を頑張ってこなし、年老いた母親の世話もしています。

愉楽にて の起承転結

【起】愉楽にて のあらすじ①

道楽者の副会長

医薬品会社の副会長の久坂は、シンガポールで知り合った日本人妻たちとの逢瀬を楽しんでいました。

会社の仕事はほとんどしていない道楽者ですが、久坂はそんなことは気にせすに、シンガポールで遊び続けています。

久坂は日本と海外の書物に執着して研究者のように読み漁っていますが、女性に対してもその生態を研究をするように、肉体関係や恋の駆け引きに没頭しています。

久坂はその駆け引きが上手いのか、関係を持った女性たちとは後まで尾を引くような不倫関係にはならず、スマートに遊んでいます。

そんな日常をシンガポールで過ごしていた久坂ですが、ある日、日本に帰る用事ができます。

会社からは嫌がられるような形で、離れたシンガポールに住んでいた久坂ですが、久しぶりに日本の友人たちと会うことになります。

日本に帰国した久坂は、京都で友人たちと遊ぶことになります。

その友人の中には、学生時代の留学中に知り合った田口という男がいました。

田口は先日妻を亡くしたばかりで、友人たちは田口に表面上は気を使っています。

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【承】愉楽にて のあらすじ②

田口の自由な未来と苦い過去

妻を亡くしたばかりの田口は、悲しんでいるように見えますが、実際は、自分はこれから自由に女性と遊んだりできるとせいせいした気持ちでいます。

妻には莫大な遺産がありましたので、その遺産を受けとった田口は、これからお金を使ってたっぷり遊んでやろうと考えていました。

久坂を含めた友人たちは、そんな田口の状況を知っており、飲みの席で、田口がこれから自由であることや、いくらでも女性と遊べることを羨ましく言ったり、からかってもいました。

そして、田口たちが京都で芸者遊びをしていたら、豆孝という芸者が出てきて田口の愛人になる段取りが勝手に始まります。

いきなりの展開に戸惑う田口でしたが、そんな中、留学していた頃の自分のことを回想します。

田口は東大を卒業して研究者なるつもりで留学していました。

そして、そこで知り合ったモニカという女性と大恋愛をします。

モニカと結婚したいと思った田口ですが、母親をはじめとした実家に猛反対されます。

結局、田口はモニカと別れて見合いで日本人女性と結婚します。

結婚した妻との間には子供はおらず、妻は若くしてガンで亡くなりました。

【転】愉楽にて のあらすじ③

美しい中国人女性との出会い

ある日、田口は中国人の女性と食事をすることになります。

その女性はファリンと言い、50代ながらもとても美しい女性でした。

田口はファリンとの会話で意気投合します。

食事が終わり、その後田口はファリンからラインのメッセージを受け取ります。

しかしそのメッセージは漢文で書かれており、田口には何が書かれているか分かりません。

そこで田口は、久坂に国内外の文学の知識があることを思い出し、ファリンの中国の漢文について久坂に尋ねます。

久坂はその文章は、愛の告白だと興奮しながら田口に伝えます。

久坂から返事の漢文を作ってもらい、ファリンに送ったところ、ファリンからはとても喜ばれます。

こうしたやり取りから、田口はファリンと恋愛関係になります。

真面目な田口はファリンに夫がいることを気にしますが、ファリンは夫とは別居していると言います。

田口は昔のモニカのことを思い出しながら、自分が再び大恋愛をしている気持ちになります。

一方、返事の漢文を作った久坂は複雑な気分になります。

久坂は会社の仕事などの理由をつけて、ファリンに会ってみましたが、ファリンの美貌に魅力を感じ、田口ではなく自分がファリンに相応しい男だと考えます。

ファリンが喜ぶ漢文を作ったのは久坂でしたから、余計にその思いは強くなります。

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【結】愉楽にて のあらすじ④

別れと始まり

ファリンを何とか自分のものにしようとした久坂でしたが、ファリンからの反応は良くありません。

ファリンには秘書の広瀬という日本人女性がいましたが、背が低く眼鏡をしている広瀬に久坂は魅力を感じません。

しかし、ファリンの冷たい対応にイライラしていた久坂は、怒りを紛らわすように広瀬と肉体関係を持ちます。

女性の扱いに自信がある久坂でしたが、広瀬に自分のテクニックが通じずに驚きます。

一方、田口はファリンとの恋愛に夢中でしたが、京都の芸者の愛人や年老いた母親の衰えが重荷になっていました。

田口の母親はファリンのことを悪く言います。

田口は京都の愛人や母親の問題を解決して、ファリンと結婚しようと考えます。

久坂は広瀬が長年セックス経験がないことを見抜きます。

そこで、広瀬に性玩具で自慰行為の習慣を身につけるようにすすめます。

のちに久坂は広瀬と再会しますが、そのときの彼女は肌艶などがしっかりしていて、さらに結婚をしたことを伝えます。

しかし話は広瀬の結婚だけではなく、ファリンが夫の病気を理由に田口と別れたことも久坂は聞きます。

結婚指輪まで購入していた田口は大きなショックを受けます。

久坂は田口を憐れみますが、同時に体の異変に気づきます。

検査で久坂にはガンができたことが分かりました。

久坂は病気で手術をすることを田口に伝えようとしますが、ファリンと別れた田口は、結婚相談所で紹介された女性と結婚する予定だと伝えます。

今の田口に病気と手術の話はしなくていいだろうと考えた久坂は、誰にも言わずに入院して手術室に向かいます。

愉楽にて を読んだ読書感想

多くの賞を受賞してきたベテラン作家である林真理子さんの小説です。

この小説は日経の朝刊に連載されていたのですが、日経の朝刊と言えば、過去に渡辺淳一さんの失楽園が連載されて激しい性描写が話題になりました。

林真理子さんもそうした作品にチャレンジしたのかもしれませんが、性描写よりも今の日本の富裕層のあまり知られていない部分を描いているところが、この小説の重要なところだと感じます。

富裕層と言っても、50代の主人公たち以外にも最近のIT企業で稼いだ社長たちや、その周りにいる女性たちも出てきます。

富裕層たちの話は浮世離れした感じがありますが、普通の一般人にはない特殊な世界があることを知ることができます。

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