「ここはボツコニアン 2 魔王がいた街」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|宮部みゆき

「ここはボツコニアン 2 魔王がいた街」

【ネタバレ有り】ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:宮部みゆき 2012年11月に集英社から出版

ここはボツコニアン 2 魔王がいた街の主要登場人物

ピノ(ぴの)
主人公。両親と暮らす12歳の少年。「選ばれし者」として冒険に旅立つ。

ピピ(ぴぴ)
ヒロイン。ピピの双子の姉。弟とは離れて離れで祖父母宅で育つ。

ポーレ(ぽーれ)
冷凍食品会社「トランクフードサービス」社長の息子。

ミンミン(みんみん)
ポーレの友人。アイドル志望。

ブント(ぶんと)
ミンミンの父。王立アクアテク大学の古史学部教授。

ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 の簡単なあらすじ

ピノは12歳の誕生日に「伝説の長靴の戦士」として選ばれて、姉のピピと共に旅立ちます。ピノとピピが住んでいるのは本物の世界から吐き出される没ネタが流れ込んだ「ボツコニアン」で、そんな出来損ないをより良い世界へと変えるのがふたりに課せられた使命です。かつて魔王がいたという水の都で、更なる謎解きに挑んでいくのでした。

ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 の起承転結

【起】ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 のあらすじ①

水の都に眠る魔王の伝説

ピピとピノがようやく辿り着いたアクアテクは、温泉が湧きリゾートホテルが建ち並ぶモルブディア王国随一の観光都市でした。

アクアテクは過去に魔王が居城を置いた土地としても有名で、ちょうど今日は「魔王の足跡」が一般公開されているようです。

ピピとピノがこのボツコニアンをより良い世界に改善するためには、魔王に会わなくてはなりません。

詳しい情報を集めるために、姉弟は青い三角屋根と白亜の壁に囲まれている市庁舎へと向かいます。

市長は会議中なために控え室で待たされることになりましたが、何故か部屋の中には勇者や戦士のコスプレイヤーたちでいっぱいです。

黒いメガネをかけて魔法使いの衣装を身に纏った、人の良さそうな少年がいたためにピピは事情を聞いてみます。

魔王の足跡にお目にかかるにはコスプレ着用が義務付けられているようですが、「選ばれし者」として既に伝説の長靴を履いているピノたちは着替える必要はありません。

メガネの少年・ポーレとも仲良くなり魔王の足跡を見ることができた3人は、次なる手掛かり「回廊図書館」を目指します。

【承】ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 のあらすじ②

魔王を研究する父とアイドルになりたい娘

回廊図書館の場所を探すために街の掲示板の前にやって来た一向は、ここ1ヵ月ほどの間にアクアテクを騒がせている7歳から13歳までの少女連続失踪事件のチラシを目撃しました。

ポーレの知り合いの女の子・ミンミンも現在消息不明で、彼女の父親は大学で古史学を教えるブント教授です。

高名な教授であれば、魔王や回廊図書館について何か教えてくれるかもしれません。

湖畔の高級住宅街に娘とふたりで暮らしているブント教授の話では、魔王は代替わりを続けながらボツコニアンを束ねてその運行を見守っています。

回廊図書館については教授も知らないようでしたが、ピピたちは娘のミンミンの捜索を手伝うことになりました。

アイドルを目指しているミンミンはダンス教室「フユモト・ダンスアカデミー」に通っていて、失踪直前にも友達と一緒にそこでオーディションを受けています。

見るからに怪しげなダンス教師のフユモトを3人が追求すると、その恐るべき正体を現します。

【転】ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 のあらすじ③

少女たちの欲望を食い物にするモンスターと羊司書

眩い光の中から現れたのは、宙に浮遊しながら氷の刃を射出するモンスター「氷の微笑」でした。

ピピとピノはそれぞれの首にかけられたペンダントを外して、双子に秘められた相反する魔法のパワーを敵にぶつけます。

ダンススタジオの入っていたビルは1階部分を残して消し飛び、氷の微笑は床にべったりと落ちていて浮かぶことができません。

このモンスターは目立ちたがり屋の野心をエネルギー源にしていて、芸能界志望の少女たちを連れ去ったのもエサの確保のためです。

氷の微笑から人質を解放したお礼に、ピピたちは回廊図書館の鍵をもらいました。

空から降ってきた図書館の扉に鍵を差し込むと、黒服に鼻眼鏡の羊が待ち構えています。

司書を名乗る羊の説明によれば、この図書館には歴代の魔王が収集してきた膨大な量の蔵書が収められているそうです。

魔王の居城への道を開くためには、ボツコニアンに散らばっている6つの鍵を集めて6冊の「伝道の書」を手に入れなければなりません。

【結】ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 のあらすじ④

甘いあんまんに隠された秘密とまだまだ続くふたりの冒険

氷の微笑を倒してその力を魔法の杖に封じ込めたピピは、ポーレの自宅に招かれました。

ポーレの母親は株式会社「トランクフードサービス」の社長を務めていて、現在は冷凍食品のお菓子の開発で大忙しです。

一宿一飯の恩があるピピは新しく覚えた魔法を活かして、工場の中にある研究室で新商品のミルフィーユを凍らすお手伝いをしています。

ポーレママはアクアテク郊外にある「コノノ饅頭」というお菓子屋に提携販売を申し出ましたが、昔気質な社長は碌に話を聞いてくれません。

この度コノノ饅頭が新しいタイプのお饅頭「あんまん」を発売したと聞いて、ポーレママは興味津々です。

ポーレ親子は向こうの社長に顔を覚えられているために、新製品を売ってはくれないでしょう。

面識のないピピとピノが、偵察も兼ねて買いに行くことにします。

一見すると魔王とも伝道の書と無関係に思えるこのお気楽なお使いによって、ふたりは次なる冒険へ巻き込まれていくのでした。

ここはボツコニアン 2 魔王がいた街 を読んだ読書感想

憎まれ口をたたき合いながらマイペースで冒険を続けていく、双子の姉弟・ピピとピノが可愛らしかったです。

コスプレが大好きでアキバ系男子なポーレ君や、村上春樹の「ふしぎな図書館」に出てくるような羊の図書館司書などの新キャラクターも魅力溢れていました。

アイドルグループのオーディションや冷凍食品の新商品開発を始めとする、ファンタジーの世界観をしっかりと保ちつつも身近なテーマが盛り込まれていて楽しめます。

今回のクエストの舞台となる水の都「アクアテク」も、イタリアのヴェネチアを彷彿とさせるものがあって美しかったです。

コメント