「チルドレン」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|伊坂幸太郎

「チルドレン」

【ネタバレ有り】チルドレン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:伊坂幸太郎 2004年5月に講談社から出版

チルドレンの主要登場人物

陣内(じんない)
主人公。大学卒業後に少年事件を担当する家裁調査官になる。ギターの弾き語りが趣味。

武藤(むとう)
陣内の3歳年下の後輩。

小山内(おさない)
陣内の上司。最年長の主任調査官。

木原志朗(きはらしろう)
男子高校生。会社社長の父と母との3人暮らし。

チルドレン の簡単なあらすじ

陣内は常識の捕らわれることのない正義感と柔軟な発想を兼ね備えた、少年事件担当の家裁調査官です。上司や同僚たちと衝突することはしばしばありましたが、審判が終わった後でも担当した少年たちが彼を慕って遊びにきたり電話を寄越したりします。ささやかな奇跡を起こすために、今日も陣内は家庭裁判所へと向かうのでした。

チルドレン の起承転結

【起】チルドレン のあらすじ①

1回目の面接と次の面接までの宿題

家裁調査官の武藤が木原志朗と出会ったのは、9月半ばのことでした。マンガ本を万引きして送致されてきた志朗の隣には、父親らしき男性が立っています。3人で面接の部屋へと向かう途中で武藤が先輩調査官の陣内から手渡されたのは、芥川龍之介の文庫本「侏儒の言葉」です。家裁調査官が扱う事件は2種類に分類されています。

鑑別所に入れられている少年と面会する身柄事件、少年が家にいて家庭裁判所まで保護者に付き添われて面接にやって来る在宅事件。

今回のケースはさほど大きな事件ではないために在宅事件に当たり、事実関係や本人の反省を確認した後に報告書を書いて終わる予定でした。

志朗の父の職業は有名な飲食チェーン店の代表取締役で、彼の名前は武藤が大好きな小説家の名前と同じです。威圧感たっぷりな父と一緒にいると、志朗はなかなか打ち解けて喋ってくれません。

武藤は継続面接を行うことを決めて、陣内のアドバイス通りに「侏儒の言葉」を志朗に手渡します。

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【承】チルドレン のあらすじ②

ジャズ嫌いの社長宅に鳴り響くソニー・ロリンズ

次の面接予定日は1週間後になりますが、武藤は2日後にファーストフード店にいた志朗を見かけて声をかけました。志朗は先日受け取った芥川龍之介の本を肌身離さず持ち歩いていて、すっかり気に入っています。志朗の父親も同じ本を読んでいるようで、親子の仲もどうやら上手くいっているようです。店を出ると武藤と志朗の帰る方向が同じだったために、彼の自宅を見に行くことにしました。

高級住宅街の中でも特に豪華な彼の家の窓は開け放たれていて、ソニー・ロリンズのサクソフォンの音が大音量で流れています。この前の面接では志朗はジャズを聞くのが趣味と話していましたが、父親は大のジャズ嫌いのはずです。次の日にこの些細な違和感について陣内に相談してみると、あっさりと「騙されてる」と断言しました。

挙げ句の果てには志朗の母親が、夫と息子に殺害されてしまったと言い出す始末です。

武藤は主任調査官の小山内に呼ばれたために、陣内との会話は途中で終わってしまいます。

【転】チルドレン のあらすじ③

万引き事件の静かな幕引き

その日の帰りに、武藤は再び志朗の家に立ち寄ってみました。「母を殺して、敷地内に埋めた」という陣内の荒唐無稽な推理が、どうも気に入って仕方ありません。

庭の前をうろうろしていた武藤は志朗の父に呆気なく見つかってしまい、近所の居酒屋まで付き合う羽目になります。

妻は旅行に行っていると答える志朗の父の反応は至って普通で、怪しい素振りは見せません。

いくつもの店舗を全国展開して豪邸に住む社長さんのはずでしたが、飲み代はは意外にも割り勘です。

店を出ると志朗の父は、数人の男たちから絡まれて暴行をしまいます。武藤が機転を利かせたために何とか助かりますが、借金があるという志朗の父は警察に届けることもしません。

2回目の面接で例の文庫本を返してもらった武藤は、裁判所への報告書に「審判不開始」と書きます。

少年の反省具合や罪の軽さから考えて、審判を開くまでもないという結論です。

武藤と志朗が再会を果たしたのは、それから半年後のことでした。

【結】チルドレン のあらすじ④

少年と強盗の心を繋いだもの

陣内から渡された新聞には誘拐事件の被害者として志朗の顔写真と、彼の「本当の父親」の写真が載っていました。自宅を訪れた武藤に対して、志朗は全てを告白します。面接に来た男性は両親が旅行に行っている間に侵入してきた強盗だったこと、匿ってあげる代わりに家庭裁判所まで父親のふりをして付き添ってもらったこと、武藤から借りた「侏儒の言葉」をふたりで読んでいるうちに意気投合してしまったこと。

今回の誘拐も勿論狂言で、借金に困っていた強盗は身代金で無事に返済することができたはずです。

少年と強盗が分かり合うのに陣内の文庫本がひと役買ったことを知り、武藤は1冊の新しい文庫本を志朗にプレゼントします。有名作家の作品になり、彼の名前は志朗の本当の父と同じです。懲りない志朗はその後も万引き事件を起こして、少年事件のファイルに記載されてしまいます。

志朗が盗んだのがマンガではなく武藤が薦めた小説と知って、陣内は嬉しそうにするのでした。

チルドレン を読んだ読書感想

家裁調査官という馴染みの薄い職業にスポットライトを当てて、毎日のルーティンワークまでがリアリティー溢れるタッチで描かれていていました。

型破りな家裁調査官の陣内と、彼の背中を追いかけながら成長していく武藤との息の合ったコンビが心地よかったです。

数多くの非行少年たちと、ひとりひとり真摯に向き合いながら話を聞く姿には共感出来ます。

時には更生したはずの少年が再び罪を犯して、裏切られてしまうほろ苦いエピソードもありました。

誰かを信じることの素晴らしさと共に、罪を許す社会全体の寛容性についても考えさせられます。

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