「魔王」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|伊坂幸太郎

魔王 伊坂幸太郎

【ネタバレ有り】魔王 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:伊坂幸太郎 2005年10月に講談社から出版

魔王の主要登場人物

安藤(あんどう)
本作の主人公。会社員。子供の頃に見た冒険野郎マクガイバーの考えろ考えろと言い聞かせるシーンが印象に残っていて、自身も何でも考察する癖がある。

安藤潤也(あんどうじゅんや)
安藤の弟で彼女の詩織と安藤の三人で暮らしている。のちに詩織とは結婚をしている。安藤の死後、幸運が舞い込むようになり十分の一の確率までなら確実に当たりを引けるようになる。

犬養舜二(いぬかいしゅんじ)
39歳。未来党の党首。のちに日本の総理大臣になる。過激な主張でアメリカや中国を非難し、国民からの支持を得る。

魔王 の簡単なあらすじ

安藤は犬養が強烈な言葉で日本を掌握していくことに不安を覚えていた。そんな時に自分の思いを他人を使って言葉にする腹話術という力が備わったことを自覚する。その力で犬養の演説で不適切な発言をさせて信頼を失墜させようとするが、敵の妨害で死んでしまう。安藤の弟、潤也にも十分の一の確率までなら当たりを引く能力があり、その力で競馬を当て莫大な富を築く。そのお金を使って兄ができなかったこと、人の救いになることをしようと決心します。

魔王 の起承転結

【起】魔王 のあらすじ①

腹話術

安藤は丸ノ内線の地下鉄内で大学の友人だった島と再会します。

島はそこで未来党の党首である犬養舜二について話します。

島は犬養に傾倒していました。

島が降りた後に、空いた席に柄の悪い男が座ります。

しかし老人が立っているにもかかわらず譲る様子はありません。

安藤は自身が老人ならなんと言うかと考えます。

すると全身に電気が走るような感覚があり、気がつくと老人が男に向かって罵声を浴びせていました。

それはまさに安藤が思っていた言葉と一言一句、同じでした。

その翌日に安藤はその力について考察を重ねました。

安藤が務めている会社で上司が気弱な部下に怒鳴りつけていました。

そこで先の地下鉄と全く同じ出来事が起こります。

その後も電車通勤中に試してみたり、同僚に使う事で安藤は自身に特殊な能力があると確信します。

そしてその力を腹話術と名付けました。

さらにドゥーチェというバーで考察を続けます。

同じ客のカップル相手に腹話術を色々な条件で行います。

最終的に腹話術は相手を見ていないと発動しないことが分かりました。

【承】魔王 のあらすじ②

魔王

犬養はテレビで宮沢賢治の注文の多い料理店が好きだと話します。

そこから犬養を総理にすると日本がファシズムに陥ると安藤は危惧します。

そして弟の潤也と詩織の三人で遊園地に行き、目の前でアトラクションが事故をする場面に出くわします。

一番損傷の激しかった席は安藤が乗るはずの席でした。

そこから安藤は自身の命が狙われていると思います。

犬養への日本の期待が高まる中、大きな事件が起こります。

それは日本代表とアメリカ代表のサッカーの親善試合で起こりました。

試合後に日本代表の選手が刺されて死んでしまったのです。

そこから日本国内での反米感情は頂点へと高まります。

アメリカ発のファーストフード店が放火され、安藤もまさに三人組の若者が放火する場面に出くわしました。

止めようとするが返り討ちになりそうなところを腹話術で逃げ切ります。

しかし仲良くしているアメリカ人のアンダーソンの家が燃やされてしまいました。

安藤は日本が魔王に支配されているように錯覚します。

翌日に犬養が街頭演説で近くに来ていることを知ります。

安藤は腹話術を使って犬養の信頼を失墜させようとします。

しかしそこに同じような超能力を持ったバーのマスターによって防がれ、安藤は目的を達せず倒れてしまいました。

【転】魔王 のあらすじ③

残されたものたち

安藤が死んで五年が経ちました。

安藤の弟の潤也は詩織と結婚し、仙台に住んでいました。

世間では犬養は総理となり、憲法9条を改正するための国民投票が目の前にまで迫っていました。

五年前から潤也にはある特殊な力が備わりました。

それは幸運です。

くじや抽選でことごとく当たりを引くことです。

その中でも最も顕著なのがじゃんけんでした。

潤也は五年前からじゃんけんを一度も負けていません。

しかし潤也はこの力の使い方を理解していませんでした。

潤也たちは久し振りに安藤の友人だった島と再会します。

島は会社を辞めて未来党の党員の手伝いをやっていました。

ドゥーチェのマスターも同じように手伝いを行い、犬養の周りで不審な死が起こった時は常にマスターが側にいました。

潤也は犬養が超能力で人を殺し、安藤もそれで殺されたのではないかと疑念を抱きます。

安藤は犬養に対して懐疑的だったのを思い出します。

潤也も安藤に倣って世界を変えようとします。

そのために意思と莫大な金が必要だと言います。

【結】魔王 のあらすじ④

勇気と莫大な金

潤也は毎週末、東京へと行くようになりました。

何をしているのか詩織は聞かせてもらえません。

そこで詩織は里山まで潤也の仕事の見学に行った。

潤也は猛禽類の定点調査を仕事としていた。

潤也は定点調査のために空を見上げていると何かに気づいたように固まります。

唇が小さく兄貴、と動きます。

しかし詩織には何も説明しませんでした。

詩織は上司が異動すると聞かされて、急遽送別会に参加することになりました。

そこで中央競馬ではある程度高額を賭けてもオッズが変動しないと説明されます。

国民投票の前日に犬養は暴漢に襲われ、入院します。

しかし今までは無事だったのにと潤也は疑問を持ちます。

そこから今までは犬養の周りの人間が超能力を使って守っていたと仮説を立てます。

そして今はその守り手が犬養の周りからいなくなったから襲われたのだと判断します。

国民投票の後、詩織は莫大なお金の入金された通帳を見つけ、すぐに競馬で稼いだものだと気づきます。

そのことは潤也に言わずに莫大なお金の使い道を聞き出します。

潤也はそのお金で安藤がやったように人が救えればいいなと語りました。

魔王 を読んだ読書感想

これは伊坂幸太郎っぽくない作品でした。

伏線を散りばめて大きな敵に立ち向かってラストにどんでん返しみたいな作品ではありませんでした。

大きなものに立ち向かう安藤のところはまだエンタメ的にも読んでいて楽しかったし、マスターが敵だったことは驚きました。

でもそのあとの潤也と詩織の話はどこか牧歌的でのほほんとした話だったように思えます。

犬養によって日本はだいぶ変わってきていて憲法九条の改正が目の前まで来ているという状況でありながら潤也はあまり動きません。

敵の存在もそれに兄が殺されたと気付いていても特に動きません。

最後は何かを変えようと決意して終わります。

この終わり方は中途半端に思います。

だからこの後の潤也と詩織の話を描いてほしいなと思いました。

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