【ネタバレ有り】パプリカ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:筒井康隆 2002年に新潮社から出版
パプリカの主要登場人物
千葉敦子(ちばあつこ)
精神医学研究所に勤めるノーベル賞候補の研究者であり、優秀なセラピスト。一方で18歳の少女に変装し夢探偵パプリカとしてPT(サイコセラピー)機器で精神病の治療もしている。
時田浩作(ときたこうさく)
千葉敦子と同じく精神医学研究所に勤めるノーベル賞候補の研究者。PT機器開発の第一人者。
島寅太郎(しまとらたろう)
精神医学研究所の所長。千葉と時田が研究に集中できるようサポートしている。パプリカの正体を知っており、出動要請をすることも。
乾精次郎(いぬいせいじろう)
精神医学研究所の副理事長。時田から盗んだ他人と夢を共有できるPT機器「DCミニ」を使い、二人のノーベル賞受賞を妨害する。
小山内守雄(おさないもりお)
精神医学研究所の研究者。乾精次郎とともに二人のノーベル賞受賞を妨害する。
パプリカ の簡単なあらすじ
精神病治療技術が発達した近未来。千葉は精神医学研究所の研究者としての傍ら夢探偵パプリカとして非合法な精神病治療を行っていた。しかしある日研究所内からDCミニを乾精次郎に盗まれてしまう。DCミニの危険性を考慮し奪還しようとするが、乾精次郎達による千葉と時田へのノーベル賞受賞への妨害工作、さらには殺人事件までも起きてしまう。
パプリカ の起承転結
【起】パプリカ のあらすじ①
職員が患者の影響を受けて分裂症になり、研究所内ではPT機器による伝染性の分裂症ではないかと恐慌状態となります。
その頃、千葉と時田がノーベル賞候補となったことで記者会見が行われますが、そこで内部の人間しか知らないはずのこの事件について記者から質問されたことで、PT機器開発を快く思わない乾精次郎たちが裏で動いていることを千葉は知ります。
分裂症になった職員を調べることで、誰かに無意識下でトラウマを植え付けられている事が分かります。
おそらく時田の助手氷室が犯人であろうと千葉達は考えますが、この件で氷室には利益は何もないので真犯人が別にいるのだろうと考えます。
そこで氷室を泳がせて様子を見ますが今度は千葉の助手が様子がおかしくなり、ついにDCミニを盗まれてしまいます。
手掛かりになるはずの氷室はその日から行方不明となってしまいました。
DCミニはまだ開発途中であるため、DCミニを利用して自分の夢に介入された場合拒否する機能が付いておらず、悪用されれば精神を崩壊させることもできるとても危険な状態のため、千葉達は一刻も早いDCミニの奪還を考えます。
しかし千葉達は研究一筋であったため、この事件が研究所内の権力闘争であることはわかっていますが、実際どのように対処すればいいのか見当がつきません。
そこで千葉は夢探偵パプリカとして以前精神病治療を行った自動車メーカー重役の能勢龍夫に相談できないだろうかと考えます。
【承】パプリカ のあらすじ②
能勢は大学時代の友人、粉川利美と偶然再会します。
しかし粉川の様子がおかしく心配になった能勢は粉川を誘いお店に入り話を聞き、抑鬱病ではないかと考えパプリカを紹介することにしました。
パプリカとして能勢の依頼の電話を受けた千葉は、これは相談できる好機だと期待しましたが、粉川が警視監だと聞き今回は相談を諦め粉川の治療だけをすることにします。
さっそく治療を開始しモニタリングした粉川の夢を確認していると、モニターにいっぱいに乾の顔が映し出されました。
粉川に確認してみましたが乾のことは知らないようでした。
後日、粉川の夢に介入し治療しているとまた乾が現れた。
乾と小山内は師弟を越えた関係であり、夜になるとDCミニを使って夢の中で逢瀬を交わしていました。
小山内は職員用のマンションに住んでおり千葉のすぐ上の階だったため粉川の夢に知らずのうちに侵入してしまっていたのです。
乾たちはこの可能性は予想していましたが、千葉がパプリカとして部屋でPT機器を使っているとは思っていなかったので安心していたのです。
乾たちはさらなる手に出ます。
島と時田にDCミニを使って分裂症になるよう仕込み、さらには小山内は千葉の部屋へやってきて千葉を襲います。
なんとか逃れることができた千葉は反撃にDCミニが必要だと考えますが、造られた6個のDCミニのうち5個は乾たちに盗まれ、残りの1個はずいぶん前に見当たらなくなっていました。
そこへ能勢と粉川がパプリカの様子を心配して訪れに来ます。
外で話し合うことになりパプリカは久しぶりに出してきたスーツを着てポケットに手を入れるとそこにはDCミニが入っていました。
時田からDCミニの説明を聞いていた際、突然訪れた来客に驚きポケットに隠していたのを忘れていたのです。
【転】パプリカ のあらすじ③
千葉は能勢と粉川にすべて事情を話し、研究所の内紛を治めるために有力者に事情を話し味方になってもらうよう根回しをしてもらうことになります。
また粉川の調査により、乾と小山内がDCミニを使って千葉の夢に侵入していることを知ります。
千葉は見つけたDCミニを使い、乾と小山内の夢に侵入し反撃することに決めます。
千葉はパプリカとなり、島の夢に侵入して治療を開始します。
そこに乾が登場しパプリカは対決するため乾の夢に侵入を試みます。
しかし乾にたどり着く前に小山内と対峙することになります。
小山内もDCミニをつけて夢に侵入してきておりパプリカは無駄だとわかりつつ、小山内が頭に付けたDCミニを奪わずにいられませんでした。
乱闘の末、小山内のDCミニを取った瞬間小山内に突き飛ばされ夢から覚めます。
目が覚めた千葉の手には夢の中で奪ったDCミニがありました。
なんと夢を介して現実で小山内がつけていたDCミニを奪還することに成功したのです。
千葉は続いて時田の治療に取り掛かりますが、やはりここでも乾が侵入してきます。
そこへ小山内も加わり3人でDCミニをかけた戦いが始まりますが、突然、窓という窓から日本人形がのぞいている場面に変わり3人は混乱します。
それは行方不明になっている氷室の夢でした。
小山内によって研究所に監禁され、DCミニをつけられ分裂症にされた氷室はDCミニに対するアナフィラキシー効果で研究所から遠く離れた千葉たちの夢にまで侵入してきたのです。
再び夢の中で乾たちと対決したパプリカはまたひとつDCミニを奪うことに成功しましたが、策略にはまり自力で夢から覚めることができなくなってしまいました。
そこで夢の中から現実の能勢に電話をかけ助けを求めます。
能勢と粉川はDCミニを装着し千葉の夢へ侵入し、何とか3人で現実へ戻ることに成功します。
夢から覚めた後、氷室は乾たちによって殺害されてしまいました。
【結】パプリカ のあらすじ④
氷室の両親が行方不明の息子を心配して千葉達を訪ねます。
千葉と時田がレストランで両親に説明をしている時、夢に出てきた日本人形が巨大な姿となって現実に出現しレストランを襲撃し、けが人まで出てしまいました。
これを皮切りに現実に夢の中のものが出現し始め東京は混沌とします。
千葉達はDCミニをつけて睡眠状態になっている乾を起こさない限り解決しないと考えますが、見つけることができません。
そんななか、千葉と時田のノーベル賞受賞の知らせが入ります。
千葉達は授賞式に参加するためストックホルムへ行くことになりきっとそこで乾と対決することになるだろうと予想し能勢や粉川も一緒に行くことになります。
授賞式が始まると乾により式場は混乱し、千葉達は夢の中に逃げ込みそこで反撃を開始します。
そしてついに乾が発狂し闘いは終わりました。
研究所付属病院の地下2階にある今は忘れ去られた拘禁室で乾が息絶えているのが発見されました。
ずっとここに潜み、授賞式まで力を温存していたのでした。
千葉はこの件が解決したのをきっかけにパプリカを卒業することを決め、時田と婚約をします。
パプリカ を読んだ読書感想
他の小説では決して味わえない世界観が魅力でした。
主人公の千葉は才色兼備で、パプリカという美少女に扮装して夢の中で治療を行うわけですが、夢の中だからこそ何が起こるかわからず引き込まれました。
物語の後半になるとDCミニの争奪戦に入っていきます。
今まで現実と夢がきちんと分かれていたのに、徐々にその境目が曖昧になってきます。
今は現実なのか夢なのか。
それは話を最後まで読むとさらに曖昧になります。
今までの物語全てがある人物が見た夢のようにもとれる終わり方をしており、読者に解釈をゆだねられているからです。
こんなに読み終わった後もあれは現実なのか夢なのか悶々とした作品は初めてでした。
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