「火車」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|宮部みゆき

火車(宮部みゆき)

【ネタバレ有り】火車 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:宮部みゆき 1992年7月に双葉社から出版

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火車の主要登場人物

本間俊介(ほんましゅんすけ)
休職中の刑事。

栗坂和也(くりさかかずや)
俊介の妻・千鶴子の親戚。銀行員。

関根彰子(せきねしょうこ)
和也の婚約者。事務機問屋に勤務。

新城喬子(しんじょうきょうこ)
通販会社に勤務。

木村こずえ(きむらこずえ)
フリーター。

火車 の簡単なあらすじ

勤務中に怪我を追って休職している刑事の本間俊介は、ある時に亡くなった妻の遠縁に当たる栗坂和也という青年と久しぶりに再会します。突如として失踪してしまった婚約者・関根彰子を探し出して欲しいとの個人的な依頼です。平凡な人探しで終わるはずでしたが、本間は彰子の行方を追っていくうちに彼女に隠された壮絶な過去に辿り着くのでした。

火車 の起承転結

【起】火車 のあらすじ①

傷を負った刑事と消え失せたフィアンセ

本間俊介は勤務中に強盗団の一味から銃撃を受けてしまい、現在では負傷した膝の痛みと戦いつつリハビリに励んでいました。

妻の千鶴子は3年前に他界していましたが、ある日のこと彼女の従兄弟の息子に当たる栗坂和也が訪ねてきます。

間もなく結婚する予定だった関根彰子という女性が突如として行方を眩ませてしまったために、その居場所を突き止めて欲しいとのことです。

本間が彼女の勤務先である金銭登録機を扱う問屋を訪ねてみましたが、無断欠勤が続いているようで手掛かりを掴むことが出来ません。

更には複数の金融機関やクレジットカードの会社に負債を抱えていて、過去には自己破産までしていることが判明しました。

彰子の本籍地である栃木県宇都宮市にまで足を運んでみましたが、彼女の母親は2年前に亡くなっています。

更には栗坂が「関根彰子」だと信じていた女性は既にこの世にはおらずに、別の誰かが彼女になりすましている疑惑までが浮上してきました。

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【承】火車 のあらすじ②

過去を消した女の行方

本物の関根彰子が以前から利用していた下着の通販会社「ローズライン」の大阪の本社ビルに辿り着いた本間は、彼女の個人情報がある女性従業員によって持ち出されていたことに気が付きました。

彼女の名前は新城喬子で顧客と電話でやり取りをするオペレーターでしたが、同じ会社の営業課の課長補佐・片瀬秀樹とお付き合いをしていたようです。

本間が面会を取り付けてカマをかけてみると、たちまち片瀬は全てを白状します。

喬子に言われるままに顧客情報を漏らしていたこと、彼女が自分と年格好が同じで身寄りのない女性を探していたこと。

ローズラインを退職した後の喬子の行方は片瀬にも分からないようでしたが、本間は彼女が関根彰子を殺害して入れ替わったことを疑っています。

なぜ喬子は見ず知らずの女性の命を奪ってまで自分の過去を隠そうとしたのか。

本間は喬子が21歳の時に3ヶ月の間だけ結婚していたことを知り、現在では三重県で暮らしている男性・倉田康司を訪問しました。

【転】火車 のあらすじ③

新城喬子の壮絶な過酷

倉田の話では喬子は福島県郡山市内で生まれ育ちましたが、父親が住宅ローンの支払いに苦しんでいたために夜逃げをしたようです。

母親は違法な薬物に溺れたことが原因で若くして亡くなっていて、父は過酷な日雇い労働と膨らんでいく金利に終われた末に今現在でも行方知れずになっています。

当時はまだ女子高校生だった喬子は悪質な取り立て業者から売春を強要されるようになり、全国各地を転々としていました。

行き場のなかった喬子に救いの手を差し伸べたのが、地元・伊勢でも御曹司として有名だった倉田です。

彼と入籍して本籍地を三重県に移したために一時は取り立てから逃れることが出来ましたが、執念深い一味は決して諦めることはありません。

郡山の役場の戸籍から現住所を突き止めた取り立て屋は新婚先にまで押し掛けてきたために、敢えなく離婚となってしまいます。倉田は喬子を守り抜くことが出来なかった罪悪感を打ち明けつつ、本間との面会を切り上げました。

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【結】火車 のあらすじ④

全ての謎を明らかにするために

関根彰子の名前が使えなくなった今となっては、喬子は次のターゲットを選んでその女性に接触してくるはずです。

ローズラインに勤務しているときに喬子が持ち出したリストの中には、他にも条件に合いそうな人物が何人かいました。名簿をしらみ潰しにして電話をかけていた本間は、ひとりの女性にたどり着きました。彼女の名前は木村こずえで職業はフリーター、喬子と同年代になりたったひとりの肉親の姉を亡くしたばかりで他に身寄りはいません。本間が睨んだ通りに喬子はつい最近彼女に電話をかけてきて、亡くなった姉のお墓参りのために会いたいとのことです。切羽詰まったた喬子がこずえに危害を加える恐れもあるために、待ち合わせ場所に指定されている銀座のイタリアンレストランには本間も同行します。関根彰子の遺体を何処に捨てたのか、今度は誰になりすまし何処へ向かうつもりなのか。

残された謎を解き明かすために、本間は店内に入ってきた喬子の肩に手を置くのでした。

火車 を読んだ読書感想

ミステリー作品としてのスリルや謎解き共に、クレジットカードによる多重債務やローン破産を始めとする社会問題が随所に盛り込まれていて経済小説の面白さもありました。

誰しもがカード1枚でお金を借りて好きなものを何でも買うことが出来る、現代社会に潜む落とし穴には考えさせられます。登場キャラクターたちの中にも金銭感覚にルーズな人たちは見当たらずに、寧ろ真面目過ぎるくらいです。

謎めいたヒロインの新城喬子が、自分自身の過去を消し去り他の誰かになろうとするシーンが印象的でした。

人と人との結び付きが薄れていき、お互いが匿名の存在となっていく今の世の中を思い浮かべてしまいました。

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