【ネタバレ有り】宵山万華鏡(よいやままんげきょう) のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:森見登美彦 2012年6月に集英社から出版
宵山万華鏡の主要登場人物
姉
バレエ教室に通う姉妹の姉。奔放な性格。
妹
バレエ教室に通う姉妹の妹。臆病な性格。
洲崎先生(すざきせんせい)
2人が通うバレエ教室の先生。厳しい。
宵山万華鏡 の簡単なあらすじ
舞台は京都・祇園祭の宵山。京都の街は浮き足立っており、人々は楽しそうにしています。その中のふとした瞬間を覗き込むと、万華鏡のようにくるくると様々な景色を見ることができるのです。少し不思議なことが起こりそうな雰囲気の中、様々な人々のそれぞれの宵山の過ごし方を覗き見するような短編集。気を付けないと、宵山から抜け出せなくなってしまいます!
宵山万華鏡 の起承転結
【起】宵山万華鏡 のあらすじ①
彼女は小3、彼女の姉は少4。
2人は毎週土曜になるとバレエ教室に向かいます。
祇園祭の宵山の日も、いつも通りレッスンに行きますが、先生も周りの子も宵山で浮き足立っている様子です。
ひとりの子は、「大きなかまきりを見に行く」と言っていました。
先生はレッスンの終わりに、いつも通り「寄り道をしないように」と言いました。
しかし、臆病な妹に対して姉は奔放で自由な性格で、宵山で様々な誘惑がある街中を駆け回り、寄り道したがります。
「大きなかまきりを見たい」という姉は、それを一生懸命探し回ります。
彼女は一生懸命来た道を覚えようとしながらついて回りますが、とうとう道がわからなくなります。
その時、赤い着物を着た女の子たちが駆け抜けて、お姉ちゃんはその子たちについて行ってしまいました。
彼女はとても心細くなり、街中で泣き出します。
するとそこに、バケツに入った金魚がいました。
それをのぞいているうちに、さっきの赤い着物の女の子たちが集まってきて、もっと楽しいところに行こうと彼女を誘います。
彼女はつい一緒に行ってしまいます。
そのままふわふわ浮いてどこかに行こうとした時、姉が現れ、妹を取り返しました。
2人はしっかり手をつなぎ、家路へ向かったのでした。
【承】宵山万華鏡 のあらすじ②
「超金魚」をつくったのは、藤田の高校の同級生である 乙川です。
藤田の高校のある場所は、金魚で有名な町でした。
彼と出会った日、彼は金魚を観察していました。
その日から藤田は乙川と友達になったのです。
乙川は高校時代、誰にも知られないように様々なことをしていました。
お正月に登校すると全員の机に豆粒のような鏡餅があったり、家で「超金魚」を育てたり。
藤田はそんな自由な乙川に憧れていました。
その後藤田は大阪の大学を出て、乙川は京都の大学に行きました。
彼はいまだに京都に住んでおり、古道具屋に就職したそうです。
そんな彼に「宵山に来い」と誘われ、関東に住む藤田は久々に京都に来たのでした。
乙川は適当なやつで、いつも純粋な藤田をしょうもない嘘で騙すのでした。
いざ2人で宵山に出かけると、「祇園祭にはルールがあり、それを破ると宵山様に仕打ちを受ける」と話しました。
藤田は、今回は騙されまいと思いながら乙川についていきます。
すると、赤い着物を着た女の子たちがひらひらとかけていき、それに気を取られているうちに、乙川とはぐれてしまいました。
藤田は気が付くとある駐車場にたどりつき、そこで金太郎のような子どもに出会います。
そこで乙川に電話をすると、「やったな!そこは立ち入り禁止区域だ!宵山様にお仕置きされるぞ!」と言われます。
すると、祇園祭司令部特別警務隊という人たちが現れ、みるみるうちに藤田をどこかへ連れて行きました。
大坊主や舞妓、その他にもいろんなものが、藤田をこらしめ、最後に宵山様が出てきます… 乙川と藤田はふたりで夕涼みをしました。
全ては乙川のいたずらだったのです。
またしてやられた藤田でした。
【転】宵山万華鏡 のあらすじ③
千鶴は京都で生まれて京都で育ち、一人暮らしをしたことがありませんでした。
そして今も京都で働いています。
そのため、小さい頃から自分を知ってる人に出会うと、小さい頃の頼りない自分を見透かされるようでどきっとするのです。
ある土曜、気の進まない旅行のために旅行代理店に寄ったあと、四条の町を歩いていると、昔から叔父と長い付き合いのある柳画廊の柳さんに出くわしました。
ひょんなことから一緒に珈琲を飲み、話し、その中で「叔父さんの家を訪ねてあげてほしい」と柳さんは言いました。
その言葉に従って、宵山の日、千鶴は叔父の家を訪ねます。
すると、叔父は「明日からもう会えなくなる」と言い出します。
柳画廊の柳くんが、きちんと千鶴にそれを伝えるべきだと言ったそうでした。
叔父はふと、万華鏡を取り出し、それについて話しながら、千鶴とふたりでそれを眺めます。
叔父はその万華鏡を手に入れた宵山の日、宵山の様々なを万華鏡で眺めていました。
すると、15年前にいなくなったはずの娘が写ったのです。
娘も、自分も、宵山に閉じ込められたのだと叔父は話しました。
それ以来、同じ1日を繰り返している、と。
15年前のあの日、千鶴はいとこと一緒に手を繋いでいました。
しかしいとこの京ちゃんは、赤い着物の女の子たちについていってしまったのです。
また、その時と同じことが起こっています。
叔父さんにすがりつこうとしたその時、柳さんが千鶴を抱きかかえました。
そして、全てをわかっているような様子で、「信じますよ」と言いました。
【結】宵山万華鏡 のあらすじ④
彼女は少4、彼女の妹は小3。
2人は毎週土曜になるとバレエ教室に向かいます。
祇園祭の宵山の日もいつも通りレッスンに行きましたが、彼女は持ち前の好奇心旺盛な性格で、宵山の様子が気になって仕方がありません。
ひとりの友達が「大きなかまきりを見に行く」と言っていたのを聞き、いてもたってもいられなくなりました。
先生はレッスンの終わりに、いつも通り「寄り道をしないように」と言いました。
しかし、彼女は「大きなかまきりを見に行こう」と妹を誘います。
妹は「早く帰りたい」と言いましたが、なんとか一緒に見に行くことになりました。
宵山の雰囲気は幻想的で、魅力的なものだらけです。
その時、赤い着物を着た女の子たちが駆け抜けていきました。
彼女はなぜかその子たちについて行きたくなります。
見ると、妹も心惹かれているようでした。
見ほれているうちに、彼女は妹とつないでいた手を離してしまいます。
そしてしばらく1人で歩いているうちに、大坊主と舞妓さんと出会い、宵山さんに風船をもらいに向かいます。
その後にどこかに連れていかれそうになった彼女は、必死で逃げます。
すると、大坊主と舞妓さんがそんな彼女を逃がしてくれました。
そして彼女は、妹がどこかに連れて行かれそうなところに遭遇し、必死で取り返しました。
2人はしっかり手をつなぎ、家路へ向かったのでした。
宵山万華鏡 を読んだ読書感想
祇園祭には一度だけ行ったことがあるのですが、その時の夜の京都の雰囲気は本当に独特で、きらきらした夜店、たくさんの人の熱気、じっとりとした暑さ、様々なものが入り混じっていました。
この「宵山万華鏡」は、その様々な景色を少し高いところから見下ろして、ところどころズームしながら万華鏡を覗き込んでいるような小説です。
お祭りの夜はそれぞれの非日常があり、どこかでこんな不思議な出来事が起こっていても不思議ではないような気がします。
読み終わった後は、自分がちょっと不思議な出来事に遭遇したような、ちょっと得した、ちょっとぞくっとする、なんとも言えない気持ちになりました。
お祭りの夜には、要注意です。
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