映画「マイ・ダディ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|金井純一

映画「マイ・ダディ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|金井純一

監督:金井純一 2021年9月にイオンエンターテイメントから配給

マイ・ダディの主要登場人物

御堂一男(ムロツヨシ)
小さな古い教会の牧師。シングルファーザーで、生活が苦しいためにアルバイトを掛け持ちしながら娘のひかりを育てている。

御堂江津子(奈緒)
一男の妻。一男には言えない秘密があったが、娘を残して事故死。

御堂ひかり(中田乃愛)
一男が懸命に育てている一人娘だが、病に倒れてしまう。

ヒロ(毎熊克哉)
江津子の元カレで、売れないストリートミュージシャンだった。

長崎亮太(小栗旬)
一男がとある秘密を探るために頼った探偵

マイ・ダディ の簡単なあらすじ

小さな教会を営む牧師の御堂一男は風采の上がらない中年男でしたが、誠実で優しく、周囲の人々に慕われていました。

そんな彼の宝物は、亡き妻が残してくれた一人娘のひかりです。

しかし、穏やかな日々は突然断ち切られてしまいました。

ひかりが病に倒れて入院したのです。

その病名は白血病でした。

治療には骨髄移植が必要でしたが、その検査で驚くべきことが発覚してしまったのです…。

マイ・ダディ の起承転結

【起】マイ・ダディ のあらすじ①

牧師の父とその一人娘

とある町の小さな教会に中年男とその一人娘が暮らしていました。

牧師である御堂一男は8年前に妻の江津子を亡くし、シングルファーザーとして中学生になったひかりを育てていたのです。

生活は苦しくて、ガソリンスタンドでアルバイトをしながらの多忙な日々でしたが、慎ましくも満たされていると一男は思っていました。

しかし、ある日突然、ひかりが病に倒れてしまったのです。

彼女は急性骨髄性白血病と診断されました。

一男は悩んだ末に正直にひかりにそのことを告げ、励ましました。

そんな中でも一男は教会でホームレスに炊き出しを行い、亡き妻の江津子が良く作ってくれた”ちくわカレー”を人々に振舞うのです。

ひかりの治療は化学療法で、順調に進んだおかげて退院することができましたが、その検査の過程で奇妙なことが発覚しました。

一男とひかりの骨髄の形が一致せず、さらにDNA検査を行った結果、二人の間に親子関係が成立しないことが発覚しました。

【承】マイ・ダディ のあらすじ②

妻の裏切り?

一男は江津子を心から愛していました。

夫婦は周囲が羨むほどに仲睦まじく、その間に生まれたひかりはまさに一男の希望そのものだったのです。

そんな江津子が自分を裏切っていたのかと、たまらない哀しみに苛まれる一男でしたが、ひかりを救うために”本当の父親”を探すべくプロに依頼することを考えました。

そうして訪ねた探偵の長崎のもとで、彼は事情を説明したのですが、折り合わず、その依頼を取り下げました。

その頃、ひかりは同級生の男の子・上原駿介と交際し、楽しそうに過ごしていましたが、再び倒れてしまいました。

恐れていた再発が現実になってしまったのです。

一男はバイト先のスタッフや客、そして協会に集まってくれる信徒の人々に骨髄バンクへの登録を頼みましたが、ひかりと骨髄の型が適合する人はみつかりません。

意を決して、再び探偵の長崎の元を訪れた一男は、ひかりの実の父親を捜して欲しいと頼むのでした。

ほどなくして、その男は”ヒロ”という名の元ストリートミュージシャンだったと判明したのです。

【転】マイ・ダディ のあらすじ③

江津子の過去

一男と出会う前、江津子はヒロと交際し、プロを目指すと言っていた彼に尽くしていました。

ヒロは「男性不妊だから」と言って、避妊してくれません。

そんなヒロのことを妄信していた江津子でしたが、他の女と浮気をしていたヒロに幻滅してアパートを飛び出し、街を彷徨っていた時にふらりと一男の教会を訪れたのです。

そんな絶望の淵から掬い上げてくれた一男を、江津子は愛し、すぐに結婚、そしてひかりが生まれました。

それから数年後、ひかりが幼稚園にあがったころに事件は起こったのです。

ひかりをつれて歩いていた江津子は偶然にもヒロに再会しました。

彼は、妻と子供をつれていました。

「男性不妊だったのでは?!」と問い詰める江津子に悪びれもせず「そんな事を言ったか?」と言い放つヒロ…。

騙されていたのだとショックを受けた江津子は、もしかしたらひかりが一男の子供ではないのでは、と悩み、それを一男に告白しようとしたときに交通事故に遭って無くなってしまったのです。

【結】マイ・ダディ のあらすじ④

父の想い

一男はヒロが妻と営む食堂を訪れました。

そこにはひかりと同い年くらいの娘がおり、メニューには江津子がよく作ってくれたちくわカレーがあったのです。

一男はヒロに事情を話し、ドナーになって欲しいと懇願しましたが、今の妻に知られたくないヒロは一男を殴り追い払いました。

しかし二度目に決死の覚悟で訪れた一男にほだされ、ヒロは検査を受けることに…。

結果は適合し、ヒロの骨髄を移植することでひかりは助かる見込みが出てきました。

病院で一瞬だけひかりを見たヒロでしたが、ひかりはそんな彼の面影を覚えていました。

ヒロが母の死に関係しているはずと気づいたひかりは一男にその事情を教えて欲しいと頼み、一男もまたその気持ちをうけとめて、ヒロと江津子のことを語ったのです。

落ち込む一男に「お母さんが好きだったのは、お父さん」と告げ、ひかりは無事に手術を受けることになりました。

時が流れ、骨髄移植手術を経て回復したひかりは教会のイースターの礼拝を手伝っていました。

穏やかなその時間はひかりの、そして親子の『復活祭』となったのです。

マイ・ダディ を観た感想

ムロツヨシさんが何とも素敵なお父さんを演じていました。

牧師姿も、淡々とガソリンスタンドのアルバイトをしている姿も、ぴったりで!しかし、やはりムロさんがそこに起用されているには理由があったのだなと感じたのは、ヒロのもとを訪れたときのやりとりです。

殴られてボコボコにされた姿と、諦めきれずにもう一度、今度は包丁を隠し持って訪れた時の表情の、娘の命を救うことしか眼中にない鬼気迫る表情が凄まじく…その紙一重ギリギリの狂気を、彼は見事に演じていました。

それは純粋で一途な娘への、そして亡き妻への「愛」です。

長い時を経て、誠実に生きてきた彼の目の前には病を克服して笑顔で立っているひかりの姿がありました。

そこには血縁にとらわれず結ばれた硬い絆があったのです。

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