映画「島田陽子に逢いたい」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|いまおかしんじ

映画「島田陽子に逢いたい」

監督:いまおかしんじ 2010年10月にレジェンド・ピクチャーズから配給

島田陽子に逢いたいの主要登場人物

島田陽子(島田陽子)
ヒロイン。あらゆる楽しみを犠牲にして女優を続けてきた。年齢の割りにピュアで幼い。

黒田五郎(甲本雅裕)
陽子のファン。若い頃には劇団員として活動していた。死期が迫っているが焦りはない。

妙子(鈴木智絵)
五郎の元妻。常に現実的な選択をする。

沙織(加賀美早紀)
五郎の娘。ガソリンスタンドのアルバイト店員で車の整備にも詳しい。趣味は韓流ドラマを見ること。

岡田克己(杉崎真宏)
陽子とは初顔合わせの俳優。女性タレントから嫌われやすい。

島田陽子に逢いたい の簡単なあらすじ

ベテラン女優としてキャリアを積んできた島田陽子が逃避行の相手に選んだのは、ガンで余命を宣告された黒田五郎という一般男性です。

自由気ままなドライブ旅行を続けていく中で、五郎は別れた妻と娘に最期のあいさつを済ませます。

長年の夢だった映画にも陽子と一緒に出演することができて、思い残すこともなく五郎はこの世を去るのでした。

島田陽子に逢いたい の起承転結

【起】島田陽子に逢いたい のあらすじ①

キャリアを放り出しその日暮らし男と逃走

新作映画の主演が決まった島田陽子ですが、気心の知れた共演役が肺炎をこじらせて降板してしまいました。

当日になって代役としてやって来た岡田克己は芝居がねちっこく、他の女優さんの評判もあまり良くありません。

ラブシーンをリハーサルしてみると岡田は必要以上に体を触ってきたために、陽子の生理的な嫌悪感は増していくばかりです。

ロケ地に選ばれた病院にたまたま入院していた黒田五郎からサインを頼まれた際に、一緒にタクシーに乗って脱走してしまいました。

今日で退院が決まったという五郎は、空腹で倒れそうになっていた陽子にラーメン屋で夕食を誘ってごちそうしてくれます。

満腹になった陽子そのままが転がり込んだのは、五郎がひとり暮らしをしている小さなアパートです。

若い頃には劇団に所属していたこと、役者をあきらめた後は長いあいだ居酒屋で働いていたこと、そのお店がつぶれた後は日雇いの仕事をしていること。

畳の上で寝っ転がって五郎の身の上話を聞いているうちに、陽子はいつの間にか眠ってしまいました。

【承】島田陽子に逢いたい のあらすじ②

思い出を巡るドライブ

近所の公園を散歩していた時に、五郎は末期の胃ガンを患っていることを告白しました。

健康診断で発見された時には手術は不可能で、もってあと半年くらいしか生きられません。

延命治療を受けるよりも残された時間を有効に生かしたいという五郎は、陽子をミニバンに乗せて出発します。

20年ぶりに生まれ故郷に足を踏み入れて母親のお墓参りを済ませた五郎が、境内で鉢合わせをしたのは妙子という女性です。

幼なじみの間柄で一緒になりましたが俳優業がうまくいかないために離婚してしまい、娘の沙織とも長らく顔を合わせていません。

妙子は今ではこのお寺の僧侶と再婚、沙織は近所のガソリンスタンド「シェル」でアルバイト。

陽子とは「映画で共演している」と見えを張った五郎は、自らの病については伝えていません。

帰り際にシェルに寄って給油をすると、接客に出てきた沙織がオイル系統の修理をしてくれました。

父親だと名乗ることはできませんでしたが、幸せそうな顔を見られただけで大満足です。

【転】島田陽子に逢いたい のあらすじ③

命がけのお芝居

山に囲まれてのんびりとした田舎道を走っていると温泉旅館が見えてきたために、ひと晩だけ夫婦のふりをして1泊することにしました。

混浴の露天風呂に入って豪華な食事のあとに五郎は体調の異変に襲われてしまいましたが、痛む体にムチを打って何とか陽子と愛し合います。

まだ辺りが薄暗い時間帯に陽子は目を覚ましましたが、隣で布団を並べて寝ていたはずの五郎の姿がありません。

慌てて付近の森の中を探し回っていた陽子が見たのは、今まさに木の枝に浴衣の帯をくくりつけて首を括ろうとしている五郎です。

ただ死を待つ日々に耐えられなって何もかもが嫌になったという五郎、一度始まった芝居は幕が下りるまで止められないという陽子。

何とか自殺だけは思い止まらせるために、陽子は妙子と沙織に病気のことを打ち明けてみるようにアドバイスをします。

陽子の指導のもとで入念にリハーサルを繰り返していると少しずつ勇気が湧いてきて、ようやく五郎は妻子の前で余命のことが言えました。

【結】島田陽子に逢いたい のあらすじ④

最初で最後の名演が焼き付く

陽子は五郎を撮影現場まで連れていってプロデューサーに紹介して、強引に頼み込んだ揚げ句に相手役に起用してもらいました。

五郎の危機が迫るような演技力は監督からも高く評価されて、岡田と比べて控えめな性格もあってかスタッフにも好感を与えます。

休憩時間でも人目につかないところでひっそりと待機している五郎に、陽子が投げかけたのはこの業界での先輩としての言葉です。

誰しもがいつかは肉体的な命が尽きること、俳優だけがいつまでもスクリーンの中で生き続けること。

クランクアップの後は五郎は病院に戻って、陽子は女優業に本格的にカムバック。

ふたりが顔を合わせることは二度となく、半年後に陽子のメイクルームをノックしたのは父の死を報告するためにやって来た沙織です。

つい先日に公開された五郎の遺作を映画館で見てきたばかりだという沙織は、ふたりは本当の恋人のようだったと絶賛します。

笑顔で沙織を見送った陽子は、ADに呼ばれたために次の現場へと向かうのでした。

島田陽子に逢いたい を観た感想

島田陽子さんが映画の中で本人役を演じているために、ドキュメンタリーかと勘違いしてしまう異色のラブストーリーです。

型にハメられるのが嫌いと豪語する主人公の陽子が、突如として現場から逃走してしまう波乱のオープニングでした。

慌ただしい映画の撮影風景から抜け出した陽子が、豊かな自然に囲まれてほっとひと息つく姿に癒やされます。

後半はちょっぴりシリアスな展開で、死にゆく人が身近にいたとして何ができるのかと考えさせられるかもしれません。

あふれる魅力を持て余しているかのような女優さんと、人生にくたびれた中年男性との夢のようなロマンスがあってもいいのではないでしょうか。

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