映画「アメリ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ジャン=ピエール・ジュネ

映画「アメリ」

監督:ジャン=ピエール・ジュネ 2001年11月にアルバトロス・フィルムから配給

アメリの主要登場人物

アメリ・プーラン(オドレイ・トトゥ)
本作の主人公。カフェでウェイトレスとして働くシャイな23歳。過去の苦い恋愛体験から恋に奥手でいつも妄想を膨らませている。

ニノ・カンカンポワ(マチュー・カソヴィッツ)
本業はポルノショップ店員で遊園地のお化け屋敷でアルバイトもしている青年。証明写真機から他人の写真を集めるの趣味。

マダム・シュザンヌ(クレール・モーリエ)
アメリが働いているカフェの店主で、店員の諸事情に詳しい監視役。

ジョゼフ(ドミニク・ピノン)
カフェの常連客で、店員の元恋人ジーナに未練があったが、アメリのお陰でジュルジェットと恋仲になる。

ジョルジェット(イザベル・ナンティ)
アメリが働いているカフェのタバコ売り。大人しいアメリに気をかけていて、ジョセフとの恋仲なる協力を得る。

アメリ の簡単なあらすじ

医者で冷たい父親ラファエルと教師で厳しい母親アマンディーヌに育てられたアメリは、父親の診察の度に動悸が激しくなり、心臓病だと思い込まされます。

そのため、学校へは通わず、母親が自宅で勉強を教え、友達と遊ぶ機会がなく、想像力豊かな幼少期を送っていました。

しかし、事故で母親が他界すると、父親はアメリにそっけなくなり、次第にアメリは1人、パリで自立をする決意をします。

アメリ の起承転結

【起】アメリ のあらすじ①

成人になった少女アメリ

成人になり、パリで一人暮らしをしているアメリは、モンマルトルの元サーカス団員が経営するカフェ「ムーラン・ドゥ・ルージュ」でウェイトレスとして働いています。

個性的な同僚に恵まれ、恋人はいなかったものの、年老いた父親を心配し、週末には必ず実家を訪れていました。

コミュニケーションが苦手で口少ないメアリは、カフェの看板メニューであるクリームブリュレの焦げたキャラメルを割ることが大好きでした。

毎日空想に耽りながら、カフェから近いアパートで一人暮らしをしていました。

仕事以外ではいつも孤独の中で想像力を膨らましながら、サン・マルタン運河で石を投げ水切りをしながら、パリで何人が愛に勤しんでいるか妄想する日々が日課となっていました。

アメリが住むアパートには、何十年もルノワールの絵画を模写しながら部屋に引きこもっている老人レイモン、何十年も前に愛人と駆け落ちし未亡人になったアパートの管理人マドレーヌがいます。

アメリは周囲の人を幸せな気分にするために、あれこれと仕掛けをしていきます。

【承】アメリ のあらすじ②

空想の覆面ゼロ

ある日、アメリはイギリスのダイアナ妃が車の事故にあったとうニュースを耳にし、持っていた香水を床に落としてしまいます。

香水の瓶がバスルームの床に転がり、アメリはそこのタイルからある小さな箱を発見します。

宝箱のような箱の中身を見たアメリは、持ち主に返したら喜ぶかもしれない、持ち主が見つかったら、自分の世界から飛び出そうと決意をします。

そして、マドレーヌを訪ね、探偵になったかのように、前住人の少年の名前(ドミニク・ブルトドー)を聞き出し、レイモンにドミニクの連絡先を聞きにいきます。

それをもとに居場所を探したアメリは、こっそりと箱を持ち主に返し、喜んだ男性の姿を見たアメリは喜びに満ちはふれ、人を幸せにする悪戯をする画策を思い付きます。

その帰路、地下鉄構内の証明写真機で不審な行動をしている男性を目にします。

箱の持ち主に返却したことをきっかけに、アメリは問題を抱えるマドレーヌや同僚に幸せになってもらえるよう、次々と悪戯を仕掛けていきます。

また、以前からたまに買い物をする近所の食料品店で、働く片腕がない青年リュシアンと彼に嫌味を言い続ける店主コリニョンがいて、アメリは心優しいリュシアンをいじめるコリニョンにある悪戯をすることを仕掛けます。

アメリはコリニョンに勤務中にこっそりと自宅に侵入し、電話やスリッパに驚くような仕掛けをするのでした。

【転】アメリ のあらすじ③

不審な青年ニノとの遭遇

アメリは悪戯完了の帰り道、再び駅付近でニノを見かけ、胸がざわめきます。

ニノは誰かを追いかけ、自分の荷物を落としてしまいます。

その鞄を拾ったアメリは、鞄の中からニノが他人の写真を集めていることを知ります。

ニノの鞄を持ち帰り、アパートで親しくなったレイモンにその写真集を見ながら、同じ男の写真の憶測を話し始めます。

数日後、駅付近で写真アルバムを探しているという貼り紙を目にしたアメリは、自分が持っている鞄の持ち主ニノの連絡先を手にします。

返す勇気のないアメリ、再度レイモンを訪ね比喩的な恋愛相談をします。

アメリは思い切って連絡先の職場へ向かうもニノは不在、恋人がいない事実も知り、ニノに謎めいたメッセージを残します。

翌日、アルバムを求めて、待ち合わせ場所であるモンマルトに現れます。

落ち着きのない様子なニノに、アメリは直接渡さず、間接的に返すことに成功します。

しかし、ニノはアメリの存在が気になりだし、駅構内にいつ?どこで?という張り紙を出します。

アメリは変装をして駅の証明写真機で写真を撮り、痕跡を残します。

【結】アメリ のあらすじ④

カフェ「ムーラン・ドゥ・ルージュ」で

アメリが仕掛けた写真をもとに、勤務先のカフェに現れたニノは写真の写り主がアメリだと気付きます。

緊張しすぎて、自分から挨拶もできないアメリは、ジーナにメッセージを渡してもらいますが、ニノはカフェを去ってしまいます。

数日後、ニノは駅構内の証明写真機で写真を物色している間、大量に出てきた写真の男が写真機を定期的に修理している男であったことを知ります。

その足で、再びニノはカフェを訪れますがアメリは不在、代わりにジーナが仕事の後ニノとカフェを出ます。

その事を知ったアメリは失恋したと落ち込み、アパートではそれを見かねたレイモンが勇気付けるため、メッセージを送ります。

複雑な思いが込み上げ、家を出ようとしたアメリのもとにニノがドアを叩きます。

面と向かって話すことに慣れていないアメリはドアの向こう側にいるニノの戸惑います。

ニノは何度もアメリを呼び、ついにアメリはドアを開けます。

そして何の会話もなく、愛し合う2人。

アメリが仕掛けた悪戯によって、父親ラファエルは新たな旅に出かけ、レイモンも自分の絵を描き出します。

そして、アメリとニノはパリの街中を2人でバイクで駆け抜けるのでした。

アメリ を観た感想

幼少期の経験から対人関係が苦手なアメリと個性的で人間味のある同僚やアパートの住人によって、自宅で発見した箱をきっかけに、人を幸せな気分にすることを空想することから、悪戯という手段で周囲の人が幸福になる姿を見ることができるように実行に移していきます。

そして、それまで恋愛が疎遠だったアメリはニノとの出会いで、自分も変わろうと勇気を出していく展開が見どころです。

フランス映画でも日本で上映後大反響があった名作で、何度見返してもアメリの世界観と映像美に飽きることがないロマンスコメディです。

本作で登場するカフェは実際にパリにあるので、パリを旅行する際の名所になっています。

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