監督：西谷弘 2008年10月に東宝から配給
容疑者Xの献身の主要登場人物
湯川学（福山雅治）
本作の主人公。物理学者で警察の捜査に協力をしています。
石神哲哉（堤真一）
湯川と草薙と同じ大学のOB。高校の数学教師です。湯川からは天才だと言われています。
花岡靖子（松雪泰子）
石神の美人な隣人。お弁当屋の店主。
容疑者Xの献身 の簡単なあらすじ
隣からの妙な音に気が付いた石神は、靖子とその娘の美里が靖子の元夫を殺害したことに気が付き、遺体の処理を引き受けます。
それから、靖子と美里は石神の指示通りに行動し、警察の聞き取りをうまくかわすのでした。
容疑者の隣人・石神は、湯川の大学時代の友達で、二人は久しぶりに再会を果たしました。
湯川は、次第に靖子を怪しいと感じ始めます。
容疑者Xの献身 の起承転結
【起】容疑者Xの献身 のあらすじ①
物理学者・湯川学は相変わらず、刑事である内海薫の捜査の手伝いをしていました。
靖子は娘・美里と二人暮らし。
隣人の石神は、壁の薄いアパートのために二人の朝の会話を聞きながら目覚めます。
高校の数学教師の石神は、いつもホームレスの暮す川べりを通り、靖子の経営するお弁当屋で買ってから職場へ向かうのでした。
ある日、靖子のアパートに元夫・富樫が来て早く追い返したい靖子は金を渡して出て行ってもらいますが、富樫は帰り際一生俺から逃げられないと言い残したその時、娘の美里がスノードームで靖子の富樫の頭を叩きます。
怒った元夫は、美里に暴行を加え、止める靖子はコタツのコードで富樫の首を絞めて殺害します。
隣の物音が聞こえた石神が靖子の元へ、ゴキブリが出たとごまかした靖子でしたがでしたが、石神は全てお見通しで靖子は石神を部屋に通しました。
その後、富樫の遺体が発見されましたが、その遺体は顔がつぶされ指紋が焼かれています。
その事件は内海が担当していました。
元妻の靖子の元に刑事・草薙と内海が訪れ富樫が店や家に来たか、また2日は何をしていたかとも尋ねました。
2日、靖子と美里は映画を見てカラオケしてラーメンを食べたと伝えます。
草薙と内海は隣の石神にも尋ねましたが、石神は2日は誰も訪ねて来てないと答えます。
石神は人目を気にして電話ボックスから靖子へ電話します。
実は、靖子は指示にしたがって刑事の質問に対応していたのでした。
【承】容疑者Xの献身 のあらすじ②
一方、湯川の元へ草薙と内海が訪ねてきて、顔が潰されていた遺体の事件には一番の容疑者にアリバイがあると相談しました。
容疑者が美人だと聞くと湯川は二人の相談に乗り、現象には必ず理由があると湯川はいつもの理論をかざします。
あえて、映画のパンフレットにチケットが挟まっていたとしたら、その容疑者はかなりの強敵だと湯川はいいました。
そして容疑者候補の靖子の隣人・石神は、湯川の大学時代の知り合いで、湯川は石神を本物の天才だと称します。
石神が靖子に電話をし、家に帰ると部屋の前に湯川がいました。
17年ぶりに再会した二人でした。
湯川は石神に大学の数学科の教授の証明が正しいか判定して欲しいと頼みます。
待っている湯川は石神の部屋で寝てしまい、その湯川を横目に犯人殺害時に靖子が仕様したコタツのコードを隠し見るのでした。
石神は、証明の間違いを導き、湯川は石神の天才ぶりが健在だと確認します。
石神は、湯川の容姿を羨ましく思い、湯川はそんなことを考える石神をお前らしくないと言うのでした。
【転】容疑者Xの献身 のあらすじ③
内海も湯川も石神と靖子の行動を推理し、二人は共犯だと考えます。
しかし、その後靖子と美里のアリバイが確証となり、湯川と内海を混乱させます。
石神は、靖子が古くからの知人・工藤に車で送ってもらって帰ってきたところを目撃します。
内海と草薙は、石神の働く高校に行き、12月3日の午前中に学校を休んだことを問い詰め、靖子と隣人以上の付き合いは無いかと聞くと石神は無いと答えました。
石神は、靖子と工藤のあとをつけ写真をとり、匿名で工藤に脅迫めいた行動を取るのでした。
その手紙を見せてもらった靖子は驚愕します。
靖子は、富樫が石神に変わっただけだと恐怖を感じるのでした。
石神は湯川を山に誘います。
そこで、湯川は自分が真相に気が付いていると石神に匂わせます。
しかし、湯川は「友達だからだ」とはっきりとした推理をしませんでした。
あの問題を問いても誰も幸せにならないと湯川は石神に言われます。
石神は靖子に2通の手紙をポストに入れます。
一通は大切に保管して、もう一通は読んだら処分するように指示しました。
そして、連絡を取り合うのは最後だと電話で告げるのでした。
石神は自首します。
石神は富樫の殺害方法をこたつのコードで首を絞めて顔を石でなぐり指紋をバーナーであぶり服を燃やしたと供述。
石神の部屋から凶器も見つかります。
警察は、石神が靖子のストーカーだと結論づけ、草薙と内海は靖子の部屋を尋ねます。
その時に、石神から大切に保管するようにと言われた手紙を見せるのでした。
石神から処分するようにと言われていた手紙には、警察にはストーカー行為を受けていたと話すこと、それ以外は事実だけを話すことを指示しています。
他には石神は、工藤は靖子と美里が幸せになれる確率を高めると書いてあり、さらに靖子と出会えたことを感謝していると書かれていました。
【結】容疑者Xの献身 のあらすじ④
一方、石神の逮捕後、湯川は石神が自分の容姿を羨ましく思ったことで恋をしていると気が付いていましたが、今回は事件の真相を暴いても誰も幸せにならないと思っています。
湯川は、靖子に自分の気がついていることを話します。
靖子が富樫を殺したのは12月1日なのに、警察は2日のことばかり聞いてくるので、不思議だったはずだと尋ね、湯川は靖子に石神は靖子と美里を守るために、とてつもない犠牲を払ったと伝えます。
湯川は、草薙に頼んで石神と話す場を作ります。
湯川は、富樫を殺したのは靖子で、犯罪の隠蔽を手伝ったのは石神だと言い、さらに石神の立てた計画はもう一つ他殺体を富樫だと思い込ませるため、石神はホームレスを殺害したと言い当てます。
そのホームレスに富樫の泊まっていた旅館に行ってもらい富樫の服を着せて、呼び出し殺害したのでした。
アリバイトリックにみせかけた遺体のすりかえだったと湯川は事件の真相を暴きました。
愛する人を完璧に守るために、もう一つの命を奪ったことを石神の頭脳をこんなことに使うなんて残念だと湯川はいいました。
人生に絶望し自殺しかけた石神のところへ隣に引っ越してきた靖子が挨拶に来て、靖子に一目惚れし石神の人生は華やいだのでした。
靖子への手紙の続きには、罪悪感などもたずに幸せになってもらわなくては、自分の行為が無駄になると書いていました。
しかし、靖子は送検される石神の元へいき自分も罪を受けると謝り続けます。
その事実に石神は慟哭するのでした。
その後、内海は気落ちした湯川に靖子は犯行を認めましたが、石神は事実を認めないとその後の状況を教えます。
二人が話をした大学のベンチは湯川と石神が初めて話したベンチ。
人を愛することを知った石神、石神は靖子に生かされていたと内海は呟くのでした。
容疑者Xの献身 を観た感想
この映画には、石神に対して2つのミスリードがあり、石神が豹変したかのように描いています。
1つ目は、靖子へ石神もストーカーになったのかと思わせます。
その時、靖子自身も石神を信じられなくなっていました。
2つ目は、湯川を山で殺害（放置）するのかと思わせるシーンですが、ここでは、靖子と違って湯川は石神を疑っていません。
そのシーンがあるおかげで、湯川の苦悩が生きてくると思いました。
けれど、石神は電話ボックスに通う時にとても幸せそうでしたし、捕まった時も清々しい感じでした。
靖子には消えない罪悪感を湯川には苦悩を与えてしまった石神でしたが、生きてきた中で一番充実しているように見えます。
しかし、それだけでは終わらず、靖子を守り切れず慟哭する石神は切なく終わりますが、映画としてはきちんと倫理を通してくれています。
原作もとても読みやすく面白いので、原作を見てから映画を見ても楽しめる作品です。
コメント