映画「チーム・バチスタの栄光」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|中村義洋

映画「チーム・バチスタの栄光」

監督:中村義洋 2008年2月に東宝から配給

チーム・バチスタの栄光の主要登場人物

田口公子(竹内結子)
ヒロイン。不定愁訴外来で悩み事の相談にのる。人を動物に例えて分析する癖がある。

白鳥圭輔(阿部寛)
かつては厚生労働省の出世頭と期待されていた。口が悪く臨時のポストに左遷されている。

桐生恭一(吉川晃司)
心臓外科チームのリーダー。「ミスター・パーフェクト」と称されるほど凄腕。

鳴海涼 (池内博之)
桐生桐生の義理の弟。外科医を断念した過去を引きずっている。

氷室貢一朗(田中直樹)
桐生のサポートメンバー。冷静な麻酔医だが不眠不休のシフトで疲れ果てている。

チーム・バチスタの栄光 の簡単なあらすじ

バチスタ式心臓手術が立て続けに失敗した原因を調べるために呼ばれたのは、まったくの門外漢である田口公子です。

厚生労働省の調査官・白鳥圭輔と協力しながら、チーム・バチスタと呼ばれているプロフェッショナルの集団に潜入します。

麻酔を担当する氷室貢一朗が故意に患者を死に至らしめていたことを見破り、ふたりは病院の危機を救うのでした。

チーム・バチスタの栄光 の起承転結

【起】チーム・バチスタの栄光 のあらすじ①

7人の栄光に汚点

東城大学医学部付属病院の心療内科に勤めている田口公子は、患者の愚痴を延々と聞き続けることから「愚痴外来」の愛称で親しまれていました。

ある時に田口は院長に呼び出されて、第一外科の助教授・桐生恭一を紹介されます。

桐生の専門は心臓の鼓動をいったん停止させて再び蘇生させるバチスタ式手術で、一般的な成功確率は60パーセント未満です。

この難解な手術を着任してきてから26回連続で成功させてきましたが、ここ最近では3回ほど続けて患者を死なせていて詳しい原因は分かりません。

外科手術に関しては田口は素人も同然ですが、失敗した原因を調査するように院長から頼まれてしまいました。

桐生の右腕・垣谷雄次、人いち倍の熱血漢・酒井利樹、麻酔のスペシャリスト・氷室貢一朗、人口心肺の扱いに長けた羽場貴之、動体視力と反射神経に優れた星野響子、外科医から病理医に転身した鳴海涼。

「チーム・バチスタの奇跡」とドキュメンタリー番組でも話題になっている7人から、田口はひとりずつヒアリングを開始します。

【承】チーム・バチスタの栄光 のあらすじ②

チーム内に不協和音とありがた迷惑な助っ人

アメリカから招へいされた桐生のことが気に入らない垣谷、垣谷を軽視している酒井、桐生と妹が結婚していてプライベートでも付き合いのある鳴海。

星野が結婚を期に退職してから代理の看護師が加わりましたが、それ以降はチームプレーが円滑にいっていません。

1日5例以上の手術を掛け持ちしている氷室も過労死寸前と、田口は少しずつ関係者しか知らない事情をつかんでいました。

そんな中で田口の診察室に患者のふりをして現れたのは、厚生労働省から真相の究明を命じられてきた大臣官房付の白鳥圭輔です。

一連の術死は単なる医療事故ではなく殺人事件だと主張している白鳥と、もう1度聞き取り調査をやり直す羽目になりました。

白鳥の破天荒な振る舞いや挑発的な言動はことごとく周りの人たちの反感を買い、田口の病院内での立場までが危うくなっていきます。

1週間ほどフロリダ州に行ってくるという白鳥が去り際に言い残したのは、まだまだ死人がでるという不吉な予告です。

【転】チーム・バチスタの栄光 のあらすじ③

名医の死角

白鳥が帰国して成田空港に着いた頃、拡張型心筋症の患者の容体が急変したために緊急手術をすることになりました。

術式はすべてが完璧に行われましたが、患者の心臓が再び鼓動を取り戻すことはありません。

遺体を解剖して死因を調べるためには遺族の承諾を得る必要があるために、白鳥が提案したのは「オートプシー・イメージング」です。

海外ではすでに取り入れられている検視方法ですが、遺体を磁気共鳴画像法にかけなければならないために国内ではまだまだ抵抗があります。

白鳥の推理では犯人はオペの最中に患者に手を触れることができる人物で、ふたりしかいません。

ひとりは心臓に直接物理的な作用を与えている桐生、もうひとりは桐生の後ろで何事かをささやいている鳴海。

桐生から次のオペの立ち会いを頼まれた田口は握手をするために右手を差し出しましたが、反応はありません。

緑内障の影響で視界の下半分が見えない桐生、手術中のケガが原因でメスを握ることができない鳴海。

ふたりはお互いに足りないものを補いながら、危険を承知でバチスタ式手術を続けてきました。

【結】チーム・バチスタの栄光 のあらすじ④

ドキドキのゲームに終止符を打つ

最後に桐生は1件だけ手術にサポートメンバーとして参加することになり、執刀医を務めるのは垣谷です。

垣谷がリーダーシップを発揮してチーム・バチスタは結束力を取り戻し、患者の心臓にも力強い鼓動が戻ってきました。

桐生が安心してチームを去ることを決意したその時、前回の手術で死亡した患者の画像検査の結果が届きます。

死因は脳に強い圧力がかけられていたためで、気化してから使わなければならない吸入麻酔薬を液体のままで注入したからです。

今回も氷室は同じ手口を使うつもりでしたが、事前に田口が麻酔薬をすり替えて証拠として抑えていたために言い逃れはできません。

みんなが慌てふためく様子を見て興奮したこと、激務の合間の娯楽にしていたこと、誰かがこのゲームを止めてくれるのを待っていたこと。

氷室の身柄は警察へと引き渡されましたが、田口はショックからしばらくの間は診察できる状態ではありません。

そんな田口を心配して、日頃からお世話になっている患者が次々と駆け付けてきます。

今日だけは自分たちが愚痴を聞いてあげるという言葉のおかげで、ようやく田口は笑顔を浮かべるのでした。

チーム・バチスタの栄光 を観た感想

主人公の田口公子は一見するとイスに座ってボンヤリと話を聞いていたり、動物の絵を落書きしているだけにしか見えません。

巨大な大学病院の複雑な人間関係を瞬時に把握して、ひとりひとりと丁寧に向き合っていく深い洞察力には脱帽しました。

元になった海堂尊の小説では田口は男性ですが、竹内結子を起用して大胆にアレンジしているのも面白いですね。

そんな彼女をはるかに上回るほどの濃いキャラクターが、およそ官庁のエリートらしくない毒舌の白鳥圭輔です。

憎まれ口をたたき合いながらもいつの間にやら名コンビとなったふたりが、院外レクリエーションで野球をしたり食堂でうどんを食べるシーンには和みます。

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