映画「去年の冬、きみと別れ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|瀧本智行

去年の冬、きみと別れ

監督:瀧本智行 2018年3月にワーナーブラザーズから配給

去年の冬、きみと別れの主要登場人物

耶雲恭介(岩田剛典)
フリーライター。木原坂が犯した犯罪について記事を書く。

松田百合子(山本美月)
耶雲の恋人。

木原坂雄大(斎藤工)
カメラマン。2人の女性を殺害し、死刑判決を受けた。

小林良樹(北村一輝)
耶雲が記事を持ち込んだ編集社のライター。

去年の冬、きみと別れ の簡単なあらすじ

フリーライターの耶雲は、カメラマン木原坂が犯した女性焼死事件の記事を、ある編集社に持ち込みます。

事件はすで過失致死傷として結審しており記事にしても売れないと、編集長の小林は取り合いません。

耶雲は故意の殺人であると引き下がりません。

小林は耶雲に裏をとるように言います。

耶雲は木原坂への取材を始めますが、そのせいで耶雲の婚約者が危険な目に合います。

木原坂に捕まり焼死してしまったのです。

木原坂は逮捕されました。

しかし、小林は何か気にかかり耶雲について調べ始めました。

すると、耶雲はフリーライターでもなく最初の焼死事件の被害者の恋人だったのです。

すべては復讐のために耶雲が考えた筋書きだったのです。

去年の冬、きみと別れ の起承転結

【起】去年の冬、きみと別れ のあらすじ①

計画の序章

フリーライターの耶雲は、カメラマン木原坂が犯した事件の記事について、ある編集社に持ち込みます。

その事件は、木原坂の自宅が撮影中に火事となり、被写体として選んだ盲目のモデル女性が焼死してしまったという事件でした。

しかし、その事件はすで過失致死傷として結審されており、結論が出ている記事を作ったところで、そんな記事は売れないと、編集長の小林は取り合いませんでした。

それでも、あれは故意の殺人である。

結婚を控えているため、その前にライターとして自分の力を試したいと言って引き下がらない耶雲に、小林は事件の裏をとらないと記事にはできないと言います。

結局、小林の上司が承諾してくれ、取材を進められることになりました。

そこで、耶雲は執行猶予で釈放されている木原坂へ取材を依頼します。

木原坂とは簡単に接触することができました。

耶雲は木原坂への取材を始めます。

取材を重ねるうちに、耶雲は木原坂にのめり込むようになりました。

【承】去年の冬、きみと別れ のあらすじ②

耶雲の取材は、木原坂の姉や周辺の知人たちにも広く及びました。

そして取材を進めていると、木原坂の父親が、木原坂の幼少期に何者かに刺し殺されていた事が分かります。

実は、木原坂と木原坂の姉は、幼少期に父親から虐待を受けていました。

そのため姉弟による殺害も疑われましたが、刺し傷は明らかに小さな子供が付けられるようなものではなく、第三者が刺殺したことも疑われました。

しかし、立証されないままでした。

耶雲は、これまで以上に取材に没頭しました。

婚約者の百合子の存在も忘れるほどに夢中になっていました。

そして、百合子との関係を疎かにし過ぎてしまい、遂には百合子のアルバイト先で、喧嘩になってしまいます。

そして、その様子を外から木原坂に見られていました。

木原坂は耶雲に取材されていくうちに百合子にも興味を持ち始めていたのです。

木原坂は昔から人のものに執着するという性格をしていました。

耶雲はそのことに全く気付きません。

【転】去年の冬、きみと別れ のあらすじ③

二度目の犯罪

ある日突然、婚約者の百合子が失踪しました。

百合子のSNSアカウントの投稿や、木原坂の「人のものを自分のものにしたがる」という性格から、百合子が木原坂に誘拐されたことは、耶雲にも直ぐに分かりました。

耶雲は木原坂のスタジオがある自宅に向かいます。

木原坂の自宅には、耶雲の連絡を受けた小林も駆けつけました。

すると、木原坂の自宅からはすでに炎が上がっているところでした。

そして、百合子がいる部屋では、炎に包まれた百合子とその様子を一心不乱にカメラのシャッターを押す木原坂がいたのです。

この件で木原坂は殺人犯として現行犯逮捕されます。

百合子の遺体は損傷も激しく本人だと断定できないほどでしたが、遺留品の耶雲へ宛てた「愛してる」と書かれた手帳から、本人と推察されました。

百合子を助けられず、失意に打ちのめされる耶雲。

一方、この一件で耶雲の言動を不審に思った小林は、耶雲について調べはじめます。

すると、衝撃的な事実が分かりました。

【結】去年の冬、きみと別れ のあらすじ④

真相

逮捕された木原坂のもとに1冊の本が届きます。

それは耶雲が執筆した本でした。

本には耶雲の復讐計画について書かれてありました。

「耶雲恭介」という名前は偽名で、フリーライターという肩書きも嘘でした。

本当は、木原坂の最初の被害者の恋人だったのです。

耶雲は、金沢にいた頃、木原坂の最初の被害者・吉岡亜希子と付き合っていました。

二人はとても仲の良い恋人同士でしたが、ある日耶雲の将来の中に自分は邪魔になってしまうのではないかと感じた亜希子は、耶雲を想い別れを選びます。

亜希子を忘れられなかった耶雲は、別れた後に亜希子が事件に巻き込まれたことを知って、事件について調べ始めました。

調べるうちに木原坂の姉にたどり着いた耶雲は、木原坂の姉から事件の全容を聞きます。

全てを知った耶雲は復讐を決意します。

こうして、フリーライターとして身分を偽り木原坂に近づいたのでした。

亜希子が焼死した事件には、木原坂の姉も関係していました。

「人が燃えている炎が一番美しい」と考える木原坂のために、木原坂の姉が亜希子に火をつけたのでした。

さらに、木原坂の父親の殺害を計画したのも木原坂の姉でした。

木原坂の姉は父親の殺害を小林に頼み、小林は2人が受けている虐待を見かねて殺人を実行してしまったのです。

それ以降、小林は木原坂の姉の言いなりになっていったのでした。

耶雲の復讐相手には小林も含まれていたのです。

百合子と恋人というのも嘘で、二人はネットの掲示板で知り合い復讐のために恋人同士を演じていたのです。

百合子が木原坂に誘拐されたのも計画通りでした。

そして、耶雲は木原坂の姉を誘拐し、木原坂が外出した隙に、自宅に連れていかれモデルとなっていた百合子の入れ替わりとなって、百合子の代わりに死んだのでした。

あの損傷の激しかった遺体は木原坂の姉だったのです。

こうして耶雲の復讐は完成したのでした。

去年の冬、きみと別れ を観た感想

ミステリー映画としては最高傑作だと自分は思いました。

本当に騙されました。

これまで、たくさんの映画を観てきましたが、最後のどんでん返しで鳥肌が立ったのは、この映画が初めてです。

特に小林が木原坂姉弟に関わっていたとは、思いもしませんでした。

「がんちゃん」こと岩田剛典は俳優として新境地を開いたのではないでしょうか。

今まで柔らかな笑顔の似合う好青年を演じていただけに、この狂気が入り混じった役どころを演じきったのは見事としか言えません。

自分の中では、今後、岩田剛典がどんな役者に成長していくのか気にかかります。

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