映画「アデル、ブルーは熱い色」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アブデラティフ・ケシシュ

アデル、ブルーは熱い色

監督:アブデラティフ・ケシシュ 2014年4月にコムストック・グループから配給

アデル、ブルーは熱い色の主要登場人物

アデル(アデル・エグザルホプロス)
ヒロイン。高校生の頃は文学少女で政治デモにも熱心。保育の仕事に就いてからは安定を望むようになる。

エマ(レア・セドゥ)
美大を卒業後に画家として成功していく。表現の自由と私生活の自由を何よりも大切にする。

トマ(ジェレミー・ラウールト)
アデルと同じ高校の3年生。自分のレーベルを立ち上げて音楽関係の仕事をするのが夢。

アントワーヌ(ベンジャミン・シクソウ)
アデルの同僚。職場に溶け込めないアデルを心配している。

ジョアキム(ステファン・マーコイロル)
エマのパトロン。若手の芸術家の才能を見抜いて支援をする。

アデル、ブルーは熱い色 の簡単なあらすじ

ごく普通の女子高校生・アデルがひと目で心を奪われたのは、青く染めた髪の毛が特徴的な年上の女性・エマです。

ふたりはお付き合いを始めますが、芸術家としての成功を目指すエマとごく普通の保育士のアデルとは少しずつ考え方やライフスタイルに違いが生じていきます。

エマは公私ともに新しいパートナーと、アデルはひとりでそれぞれの道を歩いていくのでした。

アデル、ブルーは熱い色 の起承転結

【起】アデル、ブルーは熱い色 のあらすじ①

ブルーが胸に焼き付く

文系のパスツール高校に通っているアデルは、通学途中のバスの車内で隣に座っていた1学年上の男子生徒・トマに声をかけられました。

楽器の演奏やハードロックの話で意気投合したふたりは、次の日の休日に食事をする約束をします。

トマとの待ち合わせ場所へと向かう交差点の途中でアデルがすれ違ったのは、髪の毛を鮮やかなブルーに染め上げた女性です。

デートの最中にも目の前にいるトマよりも、一瞬だけ見たブルーの女性の方が脳裏に焼き付いて忘れられません。

当て付けのようにトマと初体験を済ませましたが、ふたりはお互いに気まずい雰囲気のままで別れてしまいました。

クラスメートから性的マイノリティーの人たちが集まるクラブを紹介されたアデルは、店内のカウンター席でビンのままお酒を飲んでいる彼女と再会します。

名前がエマで美術学校の4年生だと知ったのは、「グーダル」と呼ばれる女性同士の愛を象徴するカクテルで乾杯した後です。

印象派の画家や絵画について熱く語るエマに、アデルはすっかり魅せられてしまいました。

【承】アデル、ブルーは熱い色 のあらすじ②

大人の世界に足を踏み入れる

放課後に校門でエマと待ち合わせして遊びに行ったアデルは、学校の友だちから冷やかされてしまいました。

エマを侮辱されたアデルは取っ組みあいのケンカを始めてしまい、得意だったフランス文学の授業にも身が入りません。

エマとはその後も美術館を巡ったりデッサン画のモデルになったり、一緒にデモ行進に参加したりと親しくなっていきます。

14歳の頃から同性を恋愛対象として意識するようになったこと、男性との交際経験もあるがうまくいかなかったこと、つい最近までの恋人はサビーヌという女性で2年くらい続いていたこと。

エマの身の上話に耳を傾けているうちに、自然とアデルはくちびるを彼女の方へ近づけていました。

エマは母親と義理の父親に対しても自らの性的な指向についてオープンにしていて、夕食に招いたアデルのことも恋人として紹介してくれます。

義父は料理やワインの知識は豊富でも美術全般には疎いようで、エマの才能は実の父親から受け継いだようです。

【転】アデル、ブルーは熱い色 のあらすじ③

離れていくふたりの気持ち

アデルも自宅にエマを招待しましたが、あくまでも哲学の科目を手伝ってくれている「年上の友人」としか話していません。

両親が1階で寝静まった後に、2階にあるアデルの部屋でふたりは初めて愛し合いました。

18歳の誕生日を迎えた頃にエマとの同せいを始めたアデルは、教育学士を修めて教員養成大学院を目指します。

子どもたちの前で自分が創作した童話を披露するのは思ったよりも楽しいですが、プロの作家になるほどではなく趣味みたいなものです。

トレードマークだった髪の毛を短く切り落として色を茶色に染め変えたエマは、アーティストたちが集まるパーティーで画廊のオーナー・ジョアキムを紹介されました。

彼に認められた画家は多くが成功していて、その日からエマは下絵を描く作業が忙しく自宅に帰れません。

家にひとりでいることに物足りなさを覚えたアデルは、保育園で隣のクラスの担任をしているアントワーヌと飲みに行ったりクラブで踊ったりします。

エマとの仲が決定的に破綻したのは、車で送ってもらったアントワーヌと別れ際にキスを交わす現場を目撃されてからです。

【結】アデル、ブルーは熱い色 のあらすじ④

それぞれのキャンパスに描く未来

私生活でのトラブルから精神的に不安定になっていくアデルは、受け持ちの子どもたちについついきつく当たってしまい仕事にも集中できません。

長期休暇には支援グループに参加して、問題を抱えている子どもたちをサポートする活動も始めてみました。

他の先生たちともクラブに出掛けてみたり旧市街を散策してみますが、たまらなく寂しさと不安に襲われるのは自宅に帰って独りっきりになった時です。

エマから個展の招待状が舞い込んできたために、アデルは取って置きのブルーのドレスを身に付けて会いに行きます。

宣伝用のプレスや出資してくれたジョアキムからの細かい要求に苦労しながらも、何とか開催までこぎ着けたと嬉しそうでした。

今度のパートナーのリーズには3歳の娘・オードがいて、前途は多難ながらも3人で新しい家族のかたちを模索していく覚悟です。

相手を束縛せずにお互いに胸の中で思い続けることだけを約束すると、アデルはひとりで会場を後にするのでした。

アデル、ブルーは熱い色 を観た感想

人混みの中でヒロインのアデルとエマが視線を交錯させた瞬間に、スローモーションがかかるドラマチックな幕開けでした。

エマがアデルをスケッチする森林公園や、ふたりのデートコースとなる館内に水路が張り巡らされた美術館は絵画のような美しさです。

比較的に自由な風潮のイメージが強いフランス社会の中でも、まだまだLGBTの人たちへの理解は完全には広まっていません。

お互いへの思いを貫き通そうするアデルとエマに、時おり浴びせられる負の一面にも光が当てられていて考えさせられます。

肉体的な性別を乗りこえて愛しあったはずのふたりが、別々の生き方を選んでしまうクライマックスも切ないですね。

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