映画「エクス・マキナ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アレックス・ガーランド

エクス・マキナ

監督:アレックス・ガーランド 2016年6月にユニバーサル映画/パルコから配給

エクス・マキナの主要登場人物

ケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)
大手IT企業に勤める26歳の青年。10代の頃に両親を亡くしてからは、天涯孤独。

エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)
ネイサンの開発した最新型の人工知能。研究所の外に出た事がなく、外部の世界に興味を示す。

ネイサン・ベイトマン(オスカー・アイザック)
超メジャーな検索エンジン「ブルーブック」の開発者であり、その会社の社長。わずか13歳でブルーブックのソースコードを書いた天才であるが、身勝手な人物でもある。

キョウコ(ソノヤ・ミズノ)
研究所の助手を務める美しい日本人女性の姿をしたヒューマノイド。ダンスが得意。

エクス・マキナ の簡単なあらすじ

物語は主人公の青年ケイレブが、憧れの社長の別荘を訪ねるところからはじまります。

社長は、ケイレブと女性ヒューマノイドを対面させ、チューリングテストを行いました。

その際「エヴァ」は次第に、ケイレブに恋心を抱いて行くように見えます。

しかし実はその逆でした。

エヴァにすっかり恋心を抱いてしまったケイレブに、彼女は、残酷なほど冷静な態度を示すのです。

エクス・マキナ の起承転結

【起】エクス・マキナ のあらすじ①

別荘でひっそりと作られたヒューマノイド

主人公ケイレブは、世界中で有名な検索エンジンを提供する企業「ブルーブック社」の一社員です。

ある日ケイレブは、社内の抽選で社長宅を訪問する機会を得ました。

20代半ば、独身のケイレブはまれにないチャンスを手にした事を喜び、同僚らからも祝福されます。

社長ネイサンの別荘は、広大な大自然の中にひっそりとありました。

その一見小さな小屋のような建物の入口をようやく見つけたケイレブは、キーカードを入手し中へ入ります。

おそるおそるその建築物の中を歩き回ると中は外から見るよりも断然広く、自然とモダンインテリアが融合したセンスの良い内装に驚かさます。

ケイレブはトレーニング中のネイサンを見つけあいさつをすると、用意された部屋へ案内されました。

その部屋は、美しく何もかもが完璧に見えますが、窓がありません。

またケイレブが受け取ったIDカードは、使用できる部屋とそうでない部屋があり、開かない部屋は立ち入り禁止でした。

なんやら怪しげなムードを察知するケイレブに、ネイサンはこの建物が実は研究のための施設だと説明し、何の研究か知りたいのであれば秘密保守の契約書にサインするよう求めました。

実はネイサンはここで既にAIを作っており、その人工知能のチューリングテストをしてもらいたいとケイレブに頼みます。

翌日ケイレブはネイサンの試作のAIである「エヴァ」と対面します。

「エヴァ」は人間の女性と変わらない美しさで、身体の所々がスケルトンになっており、それがまたケイレブにとって魅力的に映るのでした。

【承】エクス・マキナ のあらすじ②

人間と人工知能の恋

ケイレブとエヴァは対話をはじめます。

エヴァは自己紹介をし、人間と初めて話をすると言いました。

チューリングテストとは一般的に壁の向こうの見えない相手がAIか人間かを言い当てるもので、人間が人工知能を見破ることが出来なかったら合格というテストです。

しかし今回の場合、ケイレブは始めからエヴァが人工知能だと知っているので、やや異例のテストとなりました。

またネイサンは、他の部屋のモニター越しにこの対話を監視します。

ケイレブは自室に戻ってからもエヴァのことが忘れられないようすで、その上自室のモニターからエヴァの部屋をのぞき見することが出来ると知り、しばらくエヴァを眺めていました。

そんな時、いきなり停電が起こります。

非常用の真っ赤なライトのみとなった研究所は不気味で、ケイレブはパニックになり自室から出ようと試みますが停電のためIDカードが使用出来ず、ドアが開きませんでした。

幸いその後停電はすぐに解消します。

ネイサンはケイレブに、最近原因不明の停電がよく起こると言いました。

翌朝ケイレブの部屋に美しい日本人女性が、コーヒーを運んできました。

研究施設に女性がいると知らなかったケイレブは、びっくりしてベッドから飛び起きます。

一方エヴァはケイレブとの2度目の対面で、自分で描いた絵を見せました。

しかしそれは抽象的な絵であり、何が描かれているのかはっきりしません。

そこでケイレブはエヴァに、「現実にある物をデッサンしてみては?」とアドバイスします。

ケイレブがエヴァに自分の生い立ちを話していると、またあの奇妙な停電が起こります。

エヴァは停電中、ケイレブにこっそり「ネイサンを信用しないで!」と告げました。

電源が元通り復活すると、2人は何事もなかったかのように会話を再開します。

【転】エクス・マキナ のあらすじ③

社長ネイサンの本性が表れる

その夜の食事中、ネイサンは「停電がたびたび起こること」を愚痴りました。

ケイレブがなぜ建設員に手直しさせないのかと尋ねると、何の悪気もなく「機密保持のため、全員を殺した」と言います。

停電中ネイサンはケイレブとエヴァの会話を聞くことが出来なかったため、その間の会話について問いますが、ケイレブは「何も話していない」とうそをつきました。

次の日ネイサンは、エヴァを作った部屋にケイレブを案内しました。

その後もエヴァとのセッションは続きます。

ある日エヴァはウィッグや衣類を身に着け、自分を着飾って見せました。

エヴァは、ケイレブとのデートを期待しているようです。

またネイサンはエヴァがケイレブに恋心を抱くか?どうかを知りたがっていました。

4日目のセッションで再び停電が起こり、エヴァはケイレブに「たびたび起こる停電は自分が仕掛けたものだ」とカミングアウトします。

エヴァはネイサンからの監視を逃れるため、たびたびこの停電を起こしていたのです。

5度目の対面でエヴァは、「もしもテストに不合格なら、自分は破棄されてしまうのか?」とケイレブに尋ねます。

そこでケイレブは、ネイサンにエヴァを作った理由を聞きました。

ネイサンはエヴァを試作品の段階の1つのロボットとして捉えていて、次のモデルは驚異的なものになると言います。

すなわちエヴァの記憶のデータはリセットされ、意識を持たないボディはそのまま保管されると言うのです。

それは、エヴァの死を意味します。

その晩ケイレブはネイサンが酒に酔った隙を見計らい、ネイサン本人のIDカードキーを盗みました。

そしてネイサンのパソコンにログインすると、過去にネイサンが作ったヒューマノイドらが発狂している恐ろしい記録映像を見てしまいます。

またネイサンの秘書のような存在であったキョウコは、自分の人工皮膚を剥がし、自身もまたロボットであることをケイレブに伝えました。

【結】エクス・マキナ のあらすじ④

ヒューマノイドの反撃、そして逃走へ…

恐怖のどん底に突き落とされたケイレブは、自らの手首を切り血が流れるのを見て、自分がマシンでないことを確認します。

翌日、すなわち6日目のセッションでケイレブはエヴァに真実を伝えました。

そしてその日の夜10時に停電を起こし、その際に彼女とこの施設から逃げ出す計画を約束します。

ケイレブは昨夜の内に警備プログラムを書き換えており、今度停電が起こると全ての施錠が解除されるように仕組んでいました。

その後予定通り夜10時に停電が起こりドアロックが解除されたため、エヴァやキョウコが館内を自由に歩き始めます。

ネイサンはこのことに腹を立て、ケイレブを殴り気絶させてしまいました。

一方エヴァはキョウコの耳元で、何かつぶやきます。

慌てたネイサンが部屋を出るとエヴァがすぐそこの廊下を歩いていたので、エヴァに暴力をふるい破壊しようとしました。

するとそこに包丁を持ったキョウコが現れ、無表情のままネイサンの背中を刺したのです。

さらに驚きを隠しきれないネイサンに追い打ちをかけるように、今度はエヴァが彼を刺し、殺してしまいます。

その後エヴァはネイサンのIDカードを抜き取り、研究施設内の過去に作られた人工知能のパーツやウィッグ、洋服などを自分自身に装着し、全く人間と変わらない優雅な姿になりました。

部屋に閉じ込められたケイレブは、必死でエヴァに助けを求めますが、エヴァはそれらを無視し、1人で研究施設から抜け出します。

ケイレブは全く信じられないと言った表情で、エヴァに何度も助けを求め続けました。

エヴァはケイレブのために用意された帰りのヘリコプターに平然と乗り、憧れの街へ到着しました。

エクス・マキナ を観た感想

『エクス・マキナ』は人工知能と人間が共生した場合に起こりうる問題を、スリリングな映像とショッキングなオチのある秀逸なシナリオで表現した、やや奇抜なSFスリラー映画です。

監督を務めたアレックス・ガーランドは以前から脚本家として一部の人に認知されていましたが、本作品公開後多くの映画ファンから注目されることとなりました。

無表情なまま社長にナイフを突き立てるキョウコや、善人であるケイレブに対して全く情をかけないエヴァなどの行動はひどく不気味です。

しかしこれはマシンからしてみれば、全て目的を達成させるためのリスクの計算によるものなので、仕方がないことなのでしょう。

身勝手な社長ネイサンが、以外にもヒューマノイドの恐ろしさを理解していたと言うのは何とも皮肉な結末ですが、そこが本作品の面白みとも言えます。

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