映画「MEN 同じ顔の男たち」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アレックス・ガーランド

映画「MEN 同じ顔の男たち」

監督:アレックス・ガーランド 2022年12月にハピネットファントム・スタジオから配給

MEN 同じ顔の男たちの主要登場人物

ハーパー・マーロウ(ジェシー・バックリー)
本作の主人公。目の前で夫ジェームズの死を目撃し、心に大きな傷を負う。静養のためイギリスの田舎にある屋敷でしばらく過ごすことに。

ジェフリー(ロリー・キニア)
ハーパーが借りた屋敷の管理人。少し変わってはいるが、親切である。

ジェームズ・マーロウ(パーパ・エッシードゥ)
ハーパーの亡夫。亡くなる直前にはハーパーと激しいケンカをしていた。

ライリー(ゲイル・ランキン)
ハーパーのことを心配し、親身になって相談に乗ってくれる良き友人。  

裸の男・牧師・警察官・青年etc(ロリー・キニア)
ハーパーの前に現れる同じ顔の男たち。

MEN 同じ顔の男たち の簡単なあらすじ

美しい映像と音楽が印象的ながら、得体のしれない気持ち悪さが漂うホラー作。

“同じ顔の男たち”をロリー・キニアが怪演しています。

夫の死を目撃したことで心に大きな傷を負ったハーパーは、静養のためにある田舎の村を訪れます。

美しい自然に溢れた静かな村で穏やかに過ごすハーパーでしたが、散策で入った森の中で奇妙な人物に遭遇。

そしてそれからというもの、ハーパーには怪しい人影がつきまとうようになり、徐々にハーパーを追いつめていくのでした。

MEN 同じ顔の男たち の起承転結

【起】MEN 同じ顔の男たち のあらすじ①

静養

あるマンションの一室。

鼻から血を流した女性・ハーパーは茫然と立っていました。

窓の外、夫・ジェームズが落ちていく様子をスローモーションで眺めています。

2人は目を合わせ、そしてジェームズはハーパーの視界から消えていきました。

イギリスの田舎道を一台の車が走っています。

夫の死が頭から離れずにいたハーパーは、心の静養のためにこの田舎にある屋敷を借り、しばらく一人で過ごすことにしていました。

管理人のジェフリーから家の説明を聞きながら案内をしてもらいます。

ジェフリーは気さくで明るく、少し変わった人物でした。

一通りの説明と世間話をしますが、ハーパーはジェームズのことには触れずに話を流します。

ジェフリーが帰り、ハーパーはリビングで友人のライリーとビデオ通話をしていました。

ライリーはジェームズの死で心に傷を負ったハーパーのことを心配し、今回の静養にも賛成してくれた良き友人です。

2人が話を弾ませていると、突如ハーパーのスマホ画面が乱れ、ライリーの顔にかぶって、口を大きく開けた人間のような画像が一瞬映り込みます。

ハーパーは時々、ジェームズとの最後の時間が頭にフラッシュバックするようになっていました。

あの日、2人は離婚の話をしていました。

離婚を認めないジェームズは「離婚するなら、君が残りの人生ずっと後悔するように自殺してやる」と脅すような口調でハーパーを追いつめます。

しかしハーパーの離婚の意思は固く、2人は激しい口論になりました。

そんなことを思い出していたハーパーは涙を流し、森の散策へと歩きだします。

森は美しい自然に溢れており、澄んだ空気にハーパーも癒されていきます。

しばらく歩くとトンネルがあり、中に入ったハーパーはそこで反響する自分の声で遊んでいました。

しかし奥の出口で人影がゆっくりと立ち上がり、気味が悪くなったハーパーは足早にそこを立ち去ります。

【承】MEN 同じ顔の男たち のあらすじ②

不快な男たち

森を抜けると廃墟がありました。

ハーパーはスマホを向け写真を撮りますが、その先、廃墟の前に全裸の男が立っていることに気づきます。

ハーパーは急いで家へと帰りますが、またしてもジェームズのことがフラッシュバックし、地面に落ちて柵に突き刺さったジェームズの姿が頭に浮かんでしまいました。

後からスマホを見返すと、やはりそこには全裸の男が映り込んでいます。

翌日、ハーパーが電話をしていると庭にあの全裸の男が現れ、リンゴの木に手を伸ばしているのを目撃します。

ハーパーは急いで玄関のカギをかけますが、男は郵便受けから手を伸ばしてきました。

恐怖を感じたハーパーは警察に連絡し、男はかけつけた警察にあっさりと捕えられます。

近所にある教会を訪れたハーパーは、そこにある彫刻などを見て歩いていましたが、突然またもジェームズのことがフラッシュバックします。

ハーパーに手をあげ、暴言を浴びせたジェームズが蘇り、パニックになったハーパーは泣き叫んでいました。

落ち着きを取り戻したハーパーが教会の外を歩いていると、顔にお面をつけた青年と遭遇し言葉をかけます。

青年はハーパーを遊びに誘いますが、それをハーパーが断ると汚い言葉で罵ってきました。

そこに牧師が現れ、ハーパーは促されるかのようにジェームズとのことを話します。

黙って話を聞いていた牧師はゆっくりと口を開き、「男は暴力を振るうものだ」「謝る機会は与えたのか?」などとジェームズの死の責任はハーパーにあるかのような言葉を浴びせてきました。

ショックを受けたハーパーは「くたばれ!」と暴言を吐いてその場を後にします。

夜訪れたパブでは、居合わせた警察官からあの全裸の不審者がすでに釈放されたと聞かされ呆れてしまいました。

ハーパーの中にこの村の人間への言いようのない不信感が募り始めていきます。

【転】MEN 同じ顔の男たち のあらすじ③

理不尽な恐怖

家に戻ったハーパーは、ライリーに不審者が釈放されたことなどを伝えます。

ハーパーの不安を感じ取ったライリーは、明日の朝そっちに向かうと言ってくれました。

しかし場所を伝えようとするも、ネットの状態が悪くうまく伝えられません。

ふとハーパーが庭に目をやると、そこにはパブにいた警察官が立っていました。

不審に思いながらも警察官に話しかけると、庭の電気が点滅して、警察官が姿を消します。

そして庭のリンゴの木から一斉にリンゴが落下し、制服を脱いだ警察官がすごい勢いでハーパーに向かって突進してきました。

ハーパーは急いで家に入り、カギをかけてキッチンの包丁を手に構えます。

キッチンの窓ガラスが割られる音が響き、ハーパーは恐怖で叫び声をあげました。

するとそこに管理人のジェフリーが姿を現します。

ハーパーに安心するように伝え、窓ガラスはカラスが飛び込んだからだと言って、瀕死のカラスの首を折ります。

そして様子を見るために庭に出て行きました。

するとまたも電気が点滅し、ジェフリーが姿を消し、後を追ったハーパーの目の前に裸の男が現れます。

男の体は傷だらけで、手に持ったタンポポの綿毛をハーパーに吹きかけました。

ハーパーの頭の中にジェームズや教会で見た彫刻などが浮かび上がり、現実と幻覚の境が曖昧なまま家に戻って鍵をかけます。

しかし郵便受けから手を突っ込んできた男に手を掴まれ、我に返ったハーパーは男の腕に包丁を突き刺しました。

男は動じることなく腕を郵便受けから引き抜き、男の腕は大きく裂けていきます。

ハーパーがキッチンに戻ると、腕が大きく裂けた、教会で会った青年がいました。

襲いかかる青年から逃れて寝室に逃げ込むも、そこには腕が裂けた牧師がおり、ハーパーに淡々と話しかけながら襲いかかります。

ハーパーは牧師の腹にナイフを突き刺して、外に出て車で逃亡します。

【結】MEN 同じ顔の男たち のあらすじ④

産み出されたもの

車で逃げ出したハーパーでしたが、突如道に現れたジェフリーを轢いてしまいます。

ハーパーは焦って外に出ますが、起き上がったジェフリーに車を奪われたうえ、しつこく追い回され、また家へと戻ってしまいました。

家に激突した車からはジェフリーではなく全裸の男が現れますが、顔から枝が伸びており、その姿はハーパーが教会で見た彫刻のようでした。

立ちすくむハーパーの前で男は苦しみだし、腹部が大きく腫れていきます。

そして陰部から教会で会った青年を産み落としました。

生まれた青年の腹はすでに大きく膨れ上がっており、青年はすぐに牧師を産みます。

そして牧師はジェフリーを産み落としました。

出産を終えた男たちは力尽きていきます。

一連の出産を無表情で見つめるハーパーに、ジェフリーが近づきます。

ジェフリーも苦しみだし、口からなぜかジェームズを産み出しました。

立ち上がったジェームズはリビングのソファへ腰を下ろし、黙ってハーパーも横に座ります。

ハーパーがジェームズに「何を求めていたの?」と問いかけると、ジェームズは「愛だよ」と答えました。

ハーパーは「そう」とつぶやきます。

翌朝、ハーパーの家へと駆け付けたライリーが目にしたのは、大破した車、血だらけの庭でした。

そして外で座っていたハーパーを見つけます。

ライリーに気づいたハーパーはニッコリと微笑みました。

MEN 同じ顔の男たち を観た感想

全体を通して感じられたのは、身勝手な男たちに対する呆れやうんざり感であり、男の存在そのものへのストレスのようなものでした。

これは見る人によって解釈が違うでしょうし、これといった答えは全く示されていない作品です。

印象的だったのは、作中でハーパーが、男たちがみな管理人のジェフリーと同じ顔だと気づくシーンがないことです。

ハーパーには男たちはみな同じに見えるのか、それともそれすら麻痺しているのか。

どちらなのか、それとも全く違う理由なのかそれはわかりませんが、そこも見る者に委ねられているということだと思います。

そもそも男たちがハーパーに襲いかかる理由も見当たりませんし、ハーパーを襲う恐怖はとても理不尽なもので、そして現実の恐怖と並行して襲いかかる過去のトラウマがハーパーの頭をより一層混乱させ、そしてついには諦めのような落ち着きへと移行していきます。

男が求める愛と女が考える愛のギャップのような、温度差がはっきりわかるような流れでもありました。

目の前で繰り広げられる奇妙な出産劇には茫然とするしかなく、怖いほど落ち着いたハーパーの表情が、この作品の本質を突いているように思えてなりませんでした。

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