「セトウツミ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|大森立嗣

セトウツミ 映画

監督:大森立嗣 2016年7月にブロードメディア・スタジオから配給

セトウツミの主要登場人物

内海想(池松壮亮)
主人公。大阪・堺市内の高校に通う。何事にも冷めた性格。

瀬戸小吉(菅田将暉)
内海の親友。勉強は苦手だがサッカーは得意。明るく社交的。

樫村一期(中条あやみ)
内海のクラスメート。実家はお寺でわび・さび感がある。

堤(岡山天音)
内海のクラスメート。初対面でもなれなれしく口が軽い。

鳴山(成田瑛基)
内海の先輩。暴力的だが義理堅い。

セトウツミ の簡単なあらすじ

クラスでも目立たない内海想が学校が終わって塾に行く前のあいだに、寄り道をする場所は河川敷の階段です。

人気者の瀬戸小吉もサッカー部を辞めてからは暇を持て余していたために、しばしば顔を出すようになっていきます。

内海に好意を寄せている女子高校生・樫村一期は、すっかり仲良くなったふたりを見守っていくのでした。

セトウツミ の起承転結

【起】セトウツミ のあらすじ①

何もしない青春と利害関係の一致したふたり

高校1年生になったばかりの4月、内海想は授業が終わって午後3時のチャイムが鳴ると早々とひとりで下校していました。

後ろから近づいてきた男子生徒の堤には、もっとみんなとコミュニケーションを取るようにとアドバイスされます。

塾が始まるまでには1時間30分もあるために、内海が向かった先はコンクリートで整備されている河川敷の階段です。

イヤホンをして音楽を聴きながら文庫本を読んでいると、同じクラスの女子生徒・樫村一期が話しかけてきました。

樫村からは何か部活動に参加してみるようにと誘われましたが、一向に興味が湧いてきません。

この川で暇をつぶすだけの青春があってもいいと、内海は信じています。

そんな内海のお気に入りの場所に、ある日突然に割り込んできたのが瀬戸小吉でした。

堤から聞かされたうわさ話によると瀬戸はサッカー部の期待の新入部員でしたが、練習試合で上級生に逆らって退部させられたそうです。

部活を辞めて他にやることがない瀬戸と、塾までの時間つぶしがしたい内海は少しずつ仲良くなっていきます。

【承】セトウツミ のあらすじ②

大人になる憂うつと神妙な面持ちの練習

2年生になった内海と瀬戸が相変わらず河川敷で無駄話をしていると、欄干にもたれながらじっと川を見ている中年男性に気が付きました。

自分たちもいつかはあのような中年になるという現実を突き付けられて、ふたりは暗たんとした気分になってしまいます。

瀬戸が前々から引っ掛かっていたのは、内海が自覚症状がないうちに周りの人たちを見下していることです。

つい先日も3年生の鳴山に、「顔がムカつく」と理不尽な言いがかりを付けられていました。

「神妙な面持ち」に見えるように何回か練習してみますが、内海は半笑いを浮かべてばかりで上手にできません。

ちょうどその時に鳴山が川を見ている中年男性のところに近づいていき、言葉を交わしているのを聞いてしまいます。

中年男性は鳴山の父親、離婚した後も払い続けてきた養育費、鳴山が18歳の誕生日を迎えたために今月分が最後の支払い。

鳴山が父から茶色い封筒を受け取ってお礼を口にした瞬間に、内海は今までにないくらいの神妙な面持ちをしていました。

【転】セトウツミ のあらすじ③

無数の義理チョコよりたったひとつの本命

放課後にいつものように内海と瀬戸が河川敷の階段に座っていると、樫村が少しふたりを気にしながら通りすぎていきました。

瀬戸はついに樫村のアドレスを教えてもらいましたが、初めて送る予定のメールの文面に頭を悩まさせています。

無難に好きな食べ物の話でもすればいいという内海の助言に従って送信しましたが、なかなか返事がかえってきません。

思わず瀬戸が反感を覚えたのは、アメとムチを使い分けながら効率よく樫村を手に入れろという内海の言葉です。

今年のバレンタインデーの時に瀬戸がもらったチョコレートの数は12個、内海はたったの1個。

ついさっきまでは優越感に浸っていた瀬戸でしたが、内海がもらった相手がひょっとしたら樫村ではないかと疑い始めます。

ようやく返信があって樫村の好物が京野菜と海老の湯葉巻きだと判明しましたが、瀬戸からのメールだと認識していません。

内海のアドレスはしっかりと登録されていて、「知らない人からメールがきてこわい」と樫村から相談されてしまいました。

【結】セトウツミ のあらすじ④

3人の距離感を大切に

樫村一期にはひとつ年下の妹・一会がいて、姉妹の名前を合わせると「一期一会」です。

樫村は内海との一生に一度限りの出会いを大切にしたいと思っていますが、向こうはまるで相手にしてくれません。

12月のある日、早歩きと競歩との真ん中くらいのスピードで歩いていく内海の後ろを樫村はついていきます。

塾までの時間つぶしならば自分と時間つぶしをしてほしいという、樫村のお願いも聞いてくれません。

冷たくあしらわれた樫村は思わず、かけているメガネが飛んで行かない程度に手加減した平手打ちを食らわせてしまいました。

そんな樫村に瀬戸はLINEを送って、いつもの河川敷を待ち合わせにして3人で集まることを提案します。

内海に嫌われていると思い込んでいる樫村、樫村のことが好きだとどうしても告白できない瀬戸、寒さで震えながら待っている瀬戸のために暖かいミルクティーを買った内海。

雪が降り始めた中で階段に腰かけている瀬戸と内海のことを、樫村は少しだけ離れたところからそっと見守っているのでした。

セトウツミ を観た感想

走り回って汗をかくこともなく、クリエイティブなことをすることもなく、仲間たちと笑い合ったり悪いことをすることもない。

青春映画や学園ドラマにありがちな、押し付けがましい感動がないところに好感が持てました。

延々とふたりの男子高校生の会話が映し出されていて、穏やかに流れるような時間が心地よかったです。

池松壮亮が演じている内海想の横顔には、不思議な魅力がありました。

物思いにふけった様子でじっと川を見つめていたり、ひとりで読書をしている姿も様になっています。

瀬戸小吉役の菅田将暉の、底抜けの明るさにも癒やされるはずです。

コメント