監督:三島有紀子 2020年2月に日活から配給
Redの主要登場人物
村主塔子(夏帆)
何不自由なく生活させてもらっている子を持つ主婦。鞍田との再会をキッカケに働き始める。
鞍田秋彦(妻夫木聡)
塔子がかつて愛した男。秘密を抱えている。
小鷹淳(柄本佑)
塔子に気がある同僚。何かと塔子を励ます。
村主真(間宮祥太郎)
塔子の夫。自己中だが、塔子を愛している。
Red の簡単なあらすじ
国立の豪邸で何不自由なく暮らす塔子は、夫・真と娘・翠と義母とそれなりに幸せに暮らしていました。
しかし、久しぶりにかつて愛した男・鞍田と再会してから、タガが外れていきます。
鞍田の紹介で久しぶりに仕事をする塔子。
塔子は、妻として母としての生活より仕事と鞍田にのめり込んでいきます。
ある時、鞍田の秘密を知りそして塔子の出した結末は…。
Red の起承転結
【起】Red のあらすじ①
国立の豪邸に、夫・真と娘・翠と義母と暮らす塔子。
夫は、塔子のことを愛していますが、塔子の食事より母の作ったものを食べる無神経な面や夜の営みでも自分勝手さがあり、塔子は頭では幸せだと感じながらも気持ちは落ちる毎日を過ごしていました。
塔子は、夫の仕事関係のパーティーに出席します。
着るものも夫に指定されてお飾りのための出席です。
そこで、昔の知り合い鞍田を見つけました。
鞍田に会いたい一心で探し、鞍田を見つけた瞬間に熱いキスを交わす二人。
二人はパーティーを抜け出して海に向かいます。
鞍田に「今は幸せ」と言う塔子ですが、「変わってないな」と見透かされたように言われてしまうのでした。
塔子の家に鞍田から会社の資料が届きました。
夫・真には内緒で鞍田の会社の面接を受けます。
結婚記念日に真は、高級な料亭に塔子を連れて来てくれました。
真は以前ここで食べて美味しかったから塔子にも食べさせたいと思ったのです。
そこで思い切って塔子は夫に働きたいと言います。
夫は「働く必要はない」と言いますが、塔子の顔をみて働く事を許してくれました。
【承】Red のあらすじ②
鞍田から塔子の採用が決まったと連絡がはいります。
塔子は、ブランクがあるものの積極的に案を出し仕事仲間と溶け込んで行きます。
お調子ものの小鷹に可愛いと言われ飲みに誘われますが、返事はしない塔子でした。
塔子は、会社の飲み会の時に小鷹から手を引かれみんなを撒いて二人きりになります。
小鷹は塔子にキスを迫りますがうまく交わしてからかっているうちに抑圧されてた塔子が解放されていき小鷹と仲良くなります。
会社で小鷹と塔子が仲良くしてるのを見ても鞍田はシレッとしています。
鞍田のサポートをお願いされ塔子は仕事をたくさん抱えているのにもかかわらず立候補しました。
そして二人で仕事をした帰り、大雨に降られ車は立ち往生しますが、鞍田は車の中で塔子にキスをします。
塔子は待っていたかのように受け入れ鞍田の家にいき体を重ねます。
そして鞍田にいつ離婚したのか聞くと、4年前に体を壊して全て整理したと言うのです。
鞍田は悪性リンパ腫を患いましたが大丈夫と言いました。
塔子が治ったの?と聞くとそれには答えない鞍田でした。
【転】Red のあらすじ③
正社員になれた塔子。
その分家事や育児には気が回らなくなっていきます。
翠のお迎えに遅れてしまい、待ちくたびれた娘はジャングルジムから転落。
夫は塔子を責めますが、母になだめられ、冷静になった夫からもう一人子供が欲しいこともあり仕事を辞めてくれないかと言われます。
そしてクリスマス。
塔子は家族と楽しくパーティーを開くのでした。
家族と過ごした晩、鞍田から大切にしていた本をプレゼントされた塔子は鞍田が遠くに行ってしまうようで怖く感じ本を受け取りません。
そして鞍田に「もう会いません。」
と告げるのでした。
正月に塔子の母を呼び家族と新年会をします。
久しぶりに帰ってきた真の父は、仕事の話や塔子の父の話を塔子の母にふります。
塔子の母は気分が悪くなったと行って途中で帰ってしまいました。
塔子の母は、真の父と母に嘘をつき続けている事に嫌気がさしていたのです。
真の希望で塔子の父は海外に行ってることになっていました。
実際は女を作って出て行ってしまったのでした。
【結】Red のあらすじ④
正月明け、鞍田は体調を崩して会社を休んでいました。
鞍田の代わりに小鷹と出張に行く塔子です。
翠は塔子が本当に帰ってくるか不安になります。
冬の新潟は吹雪いていました。
塔子は小鷹から鞍田が年末から入院していたと聞きます。
そして「離婚して鞍田と一緒になればいい。」
といわれる塔子ですが、「出来ないです。
あの人、一緒にいても一人で生きている感じがする。」
と答えますが、小鷹に「塔子ちゃんも家族がいても一人で生きてる感じがする。」
と指摘されるのでした。
その後吹雪きがひどくなり、電車が止まってしまいます。
小鷹に1泊しようと言われ家に電話する塔子。
しかし、真に「タクシーで帰ってきて」と言われてしまいます。
娘の世話をする人が居ないというのです。
「シッターさんを頼む」と言う塔子に真は、「塔子の一番大切な仕事って母親だろう?」と責められます。
さらに「クリスマスの夜どこに行っていたか教えて。」
と追い打ちをかけられます。
塔子は逆キレし、「帰ればいいんでしょ。」
と言い放ちました。
吹雪きの中帰る塔子の前に、連絡もなく車で鞍田が迎えに来てくれます。
塔子はもう一度、電話で真と話合います。
最後に真にとって結婚って何?と塔子が聞くと、「生涯でただ一人好きになった女性と一緒になったこと。」
と答えました。
塔子はあ、真からもらった指輪をおいて電話ボックスから出るのでした。
運転しながら具合が悪くなっていく鞍田。
鞍田は塔子に「探してたんだずっと。」
と、そして塔子も「鞍田さんと生きていきたい。」
と応えました。
最後に二人は愛し合うのでした。
鞍田が亡くなります。
娘・翠に「一緒に帰ろう」と泣かれますが、塔子は険しい顔で娘の手を離すのでした。
塔子は泣きながら、鞍田と見た朝日を思い出します。
Red を観た感想
感情移入は出来ませんが、見終わった後にいろいろと考えさせられる作品です。
開始直後の塔子は夫の前で良い妻を演じて猫をかぶっているので、夫に非があるように見えますが30分後には育った環境や塔子の性根が見えてきてイメージがガラっと変わって行きます。
小鷹のポジションは、普通不倫の物語では唯一叱ってくれる唯1人腐れ縁の女友達が妥当ですが、小鷹は叱るどころか否定しながら肯定するという高等テクニックを持ってます。
塔子には唯一の女の友達さえ居ないのだなと思いました。
そして出てくる女性がみな幸薄い感じです。
原作者と監督が女性なのに女性をこんな風に描くなんて、こんな女性になってはいけないというメッセージなのか、それとも女性の理不尽さを描きたかったのか気になります。
ラスト、塔子が出した結論は残酷でした。
塔子は、自分も親の言うことなんか聞かないと言っていたのでどちらを選択しても良い母として子供に接する自信も気力もなかったのでしょう。
そして結婚とは?と真に問い、自分の気持ちとのギャップを感じたのでしょう。
塔子は残りの人生鞍田さんの思い出を胸に持ったまま小鷹を上手に利用して生きていくような気がします。
コメント