【ネタバレ有り】残り全部バケーション のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:伊坂幸太郎 2015年12月に集英社文庫から出版
残り全部バケーションの主要登場人物
岡田(おかだ)
物語の主人公。裏組織の下請けとして溝口と共に当たり屋や恐喝などあくどい仕事で生計を立てている。
溝口(みぞぐち)
岡田の上司。親企業からの依頼を受け仕事をしている。行き当たりばったりな性格だが、意外としっかりしていて運も良い。甘いものが好き。
毒島(ぶすじま)
裏組織のボス。絶対絶命の危機から生き延びたという数々の伝説を持つ。
早坂沙希(はやさかさき)
両親の離婚により家族がバラバラになる日に父親に届いた一通のメールをきっかけに、家族と一緒に岡田とドライブに行くことになる中学3年生。
残り全部バケーション の簡単なあらすじ
物語は岡田が早坂一家とドライブに行くところから始まります。岡田は溝口と共に強請や当たり屋で生計を立てていますが、仕事から足を洗いたいと思い始めました。そこで溝口が出した条件は、適当な番号にメールを送り相手と友達になること。岡田がメールで繋がった相手は離婚寸前の早坂沙希の父親でした。少し不思議な少年だった岡田の過去を交えながら物語は展開していきます。
残り全部バケーション の起承転結
【起】残り全部バケーション のあらすじ①
溝口と共に当たり屋や強請りで生計を立てていた岡田は、ある日このあくどい仕事から足を洗いたいと思い、溝口に相談します。
そこで気まぐれな溝口が出した条件は、適当な携帯番号の相手と友達になること。
岡田がメールを送り繋がった相手は離婚寸前の早坂沙希の父親でした。
早坂家は父・母・沙希の3人家族でしたが、父親の浮気をきっかけに両親の離婚が決まり、家族で引越しの準備をしているところでした。
沙希は乗り気ではありませんでしたが、最後の思い出にいいじゃないと母親が言い始め、岡田に返信します。
岡田と早坂家3名でおかしなドライブに出発することになり、沙希は岡田を警戒します。
職業は何かとの問いに岡田は、今日仕事を辞めたばかりで、明日から残り全部バケーションだと答えます。
4人は静かな湖の近くの大きなホテルで食事をします。
帰り道、何者かに後を付けられていることに気づいた岡田はコンビニに寄り、付けてきた車に乗ってどこかへ行ってしまいます。
【承】残り全部バケーション のあらすじ②
溝口と仕事をしていた頃、岡田は行き当たりばったりな溝口のサポート役でした。
ある日2人が横断歩道を渡ろうとしているとき、溝口はそばにいた小学生の行動から、その子供は背中に傷を負っており、自分の経験からそれは親の虐待によってできた傷あることを見抜きました。
溝口は虐待なんてよくあることだと考えますが、岡田はその子供を親の虐待から救う作戦を立てます。
様々な小細工を仕掛け、虐待している父親に未来の自分がタイムスリップで現代に来たと信じこませ、このまま虐待を続けると子供が大きくなったときに自分が子供に虐待されることになると警告させます。
タイムスリップを信じ込ませるために、「超光速粒子タキオン」が発見されたと父親に刷り込むところから仕掛けを始めるため、この子供を救う作戦は「タキオン作戦」と名付けられます。
岡田はあくどい仕事をしながらも弱者を放っておけない正義感が強い一面があり、仕事から手を洗うことを考えるようになります。
【転】残り全部バケーション のあらすじ③
岡田が仕事を辞めてしまい、溝口は新たなペアを組んで強請りや当たり屋の仕事を続けていました。
溝口は自分の立場が悪くなったとき岡田に罪をなすりつけており、親会社のボスの毒島が岡田を探し当てるだろうと分かっていたので、ずっとそのことを後悔していました。
ある日依頼を受けて女を誘拐し盗んだ車で逃走中、検問に引っかかってしまいます。
検問は都内で起こった議員殺傷事件のために敷かれたものでした。
車のナンバーを正確に答えられなかったのに検問を通過できたことを不思議に思った溝口が車を調べてみたところ、トランクから大金が見つかります。
女は実は議員を刺した刃物を捨てるために逃げている途中で、このまま逃げても誘拐の依頼者とトラブルにはならないと言います。
そこで、溝口達はこのまま大金を山分けして逃げることにします。
こんな仕事を続けていた溝口はまた別の日、いつものように当たり屋をした際に本当に事故にあい、病院に入院することになります。
あくどい仕事をしているため救急車を呼ぶこともできず、親会社の指示で警察の目から隠してくれる病院を紹介してもらい、入院することになります。
その病院の別の階の個室には毒島も入院していました。
【結】残り全部バケーション のあらすじ④
毒島と同じ病院に入院することになった溝口は、毒島に脅迫状が届いたことを知ります。
脅迫状には毒島は次の誕生日を迎えられない、つまりそれまでに殺されるだろうという内容が書かれていました。
病院の警備を強化する毒島と毒島の部下達ですが、溝口はいつもの性格で同じ大部屋に入院している患者や掃除のおばさんと仲良くなります。
いよいよ毒島の誕生日に、毒島を狙う犯人が分かったとの情報があり、毒島の警備に当たっていた部下は溝口以外みんな毒島の部屋を出てしまいます。
しかし、犯人が分かったとの情報はデマで、実は岡田の仇を取るために溝口が毒島の命を狙っていたのでした。
毒島の部屋に武器になるものは持って入れませんが、溝口は仲良くなった掃除のおばさんの手を借りて凶器を手に入れます。
とうとう毒島に詰め寄る溝口ですが、毒島から岡田は生きていることを聞かされます。
以前毒島が溝口に教えた、スイーツの食べ歩きブログを書いているのは岡田であると言うのです。
真実か確かめるために溝口がブログにメッセージを送るところでこの物語は終わります。
残り全部バケーション を読んだ読書感想
「残り全部バケーション」というタイトルに惹かれてこの本を買いました。
伏線が多く仕込まれているので、読みきった後にそういうことだったのか!と全部がつながって、納得しました。
溝口は若い頃から強請りなどの仕事をしているくせにスイーツが好きだったりと、どこか憎めない性格をしています。
岡田のあとに溝口が組んだペアもなんだか抜けたところが多い人で、どの場面も楽しく読むことができます。
最初の方は岡田中心にストーリーが進みますが、だんだんと溝口主体になってきて、現在岡田がどうしているのかが見えなくなるよう仕掛けられています。
本当に岡田が生きているのか、はたまた毒島のウソなのかは気になるところですが、読みきったあとのスッキリ感はぜひ味わってもらいたい一冊です。
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