前話のあらすじ
サクラの対象に憑依する能力
突然服を脱ぎ出したるるなの頭上に映る100000096の数値。それはサクラがるるなの身体をのっとった事を表していました。
サクラはるるなの身体で突然駆け出し、『この女も…いらないね。』と言って、2階のベランダから飛び降ります。死ぬ事が目的ではありませんでした。サクラの目的は、裸になったるるなの身体で外を歩き回る事でした。
近くのベッドシーツを手に取って、アツシもベランダから出て後を追いました。るるなの身体が人目につく前に、なんとかサクラを捕獲します。ベッドシーツでるるなの身体を覆い、制止の声を掛けますが聞く耳を持ちません。アツシが2人きりで話をしようと言うと、サクラは過剰な反応を見せます。”2人きり”という言葉に異常な喜びを見せた事を利用し、なんとかるるなからサクラを引き剥がしました。
意識を失っているるるなをベッドに寝かせた後、アツシはサクラと向き合います。病院で寝たきりになっていたはずだがいつ目覚めたのか、るるなの身体にどうやって憑依したのかと、アツシはサクラに問いました。サクラは最近目覚め、能力については人の目を見ることで身体を借りられると答えました。
アツシの記憶にない約束の内容
それからアツシは本当の夜風サクラである事を改めて確認する為、アツシの入ってた孤児院の名前や、15年前、桜の木を見に行った日に会っていた時間などを答えさせます。サクラはどちらも即答しました。
アツシは”さくらの木の下”での約束の内容を問いました。アツシ自身は約束の内容を覚えていなかった為、確認と称して内容を聞き出すつもりでした。サクラは血相を変えて、約束は約束だ、あの女達には邪魔させない、さあ、書いて!と、婚姻届を突き付けます。その間もサクラの頭上の数値は微動だにせず、アツシは感情の動きを読めないでいました。
借金があるという嘘
アツシは婚姻届を書けと言うからには結婚の約束かと推測しますが、やはり記憶がありません。約束を覚えていない事を悟られないよう慎重に言葉を選びます。『お前は俺と結婚したいみたいだが…』と始め、借金があるから結婚できないと告げます。更にアツシはエミ、ユメノ、るるなのお陰で自分は生きている、だから彼女達を傷つける事は自分を傷つける事に等しいと伝えました。
アツシへの異常な好意を逆手にとって、これ以上サクラが暴走しないようコントロールするつもりでした。借金を抱えているという話は結婚を断る為の嘘でしたが、サクラは拍子抜けする程簡単に納得しその場を去ります。
知らぬ間にアツシの部屋へ運び込まれた大金
アツシはサクラに憚って、時間を置いてからユメノとデートしました。1週間ぶりに会うユメノは無事で、外で待ち合わせた2人はアツシのマンションへと向かいます。
ユメノがいつも通り洗濯をしようとしたらとても重たい段ボール箱を見つけたと言い、それをアツシのいるリビングに運び込みました。ユメノは寝室にもう一つ同じ段ボール箱があると言います。アツシは全く覚えがありませんでした。中身が気になったユメノは、アツシに許可を得て段ボール箱を開けました。出てきたものを見て、2人に衝撃が走ります。信じられない量の一万円札が箱いっぱいに敷き詰められていました。
あまりの大金に2人が困惑していると、テレビに映っていたニュースで速報が入ります。本日17時頃に再び現金輸送車から現金が盗まれたという内容でした。今週で3件目の類似事件で、被害総額は3億1200万円だとニュースキャスターが言います。それを聞いた2人は、激しく動揺しました。
その頃サクラはマンションの外で、アツシとユメノが居る12階の部屋を見上げながら、『借金なんて怖かったよね、大丈夫他の女なんていらないよ』と呟き、狂気に満ちた笑みを浮かべていました。第4話へと続きます。
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