【ネタバレ有り】黒い家 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:貴志祐介 1997年6月に角川書店から出版
黒い家の主要登場人物
若槻慎二(わかつきしんじ)
主人公 保険会社の社員
菰田幸子(こもださちこ)
常に夢うつつのような個性的な話し方が特徴。重徳とは再婚 恐怖の元凶
菰田重徳(こもだしげのり)
幸子の夫 自傷することで保険金を得ていた 指を切り落としたり両腕を切り落としたりと悲惨な目に合っている
黒沢恵(くろさわめぐみ)
若槻の恋人
(三善茂)
問題のある客との交渉を担当 元暴力団員
黒い家 の簡単なあらすじ
保険会社社員若槻が、菰田重徳という男から電話を受け、「家に来てくれ」と言われ菰田の家を訪れます若槻はその家で菰田の子供の首つり死体を目撃し、菰田は若槻が恐れおののく様子をジッと見ていました。若槻は保険金を巡って人間の皮を被った悪魔に命を狙われることになる、恐ろしいホラー小説です。
黒い家 の起承転結
【起】黒い家 のあらすじ①
保険会社社員若槻は菰田重徳という男から電話を受け、「家に来てくれ」と言われ家を訪れます。
菰田の家で菰田の子供の首つり死体を目撃してしまい。
若槻は恐怖に恐れおののきます。
菰田は以前から自傷により保険金をせびる常習犯として保険会社からマークされており、執拗に保険金の支払いを求めてくる菰田に若槻は偽装殺人を疑います。
そして、若槻は菰田の妻・幸子に注意を促す手紙を送ってしまいました。
それからというモノ妻幸子が、若槻の前に頻繁に姿を現すようになり、菰田は幸子の異常性を感じとり、保険金殺人を企てた主犯格が幸子なのではないかと疑うようになります。
保険金がなかなか下りないことに業を煮やした幸子は、菰田や菰田の関係者に敵意を向けるようになり、攻撃を仕掛けてきます。
若槻のアパートに侵入するなど常軌を逸した行動を見せるようになった幸子に、若槻の日々は恐怖で彩られるようになり、狂人に付け狙われる恐怖が描かれています
【承】黒い家 のあらすじ②
それから暫く後、警察が和也の死を自殺と判断し、菰田夫妻に保険金が支払われることとなりました。
これであの夫婦から解放される。
ホッと胸を撫で下ろす若槻でしたが、今度は重徳が勤務中の事故で両腕を切断したとの連絡が入り、障害保険の請求をされてしまいます。
悪質なケースと判断した保険会社は元暴力団で現在は潰し屋をやっている三善を差し向けることにしました。
若槻の恋人..恵は大学の研究室で心理学を専攻しており、研究室に勤める助教授・金石に、菰田重徳・菰田幸子のプロファイリングをしてもらいました。
それによると菰田夫妻は良心が異常に欠如していて、他者に冷淡で頻繁にウソをつく「サイコパス」というパーソナリティを持った異常者であることが判明します。
この診断を下した金石はこの直後に何者かに惨殺されてしまい、さらには事件の調査を担当していた刑事や、三善までもがサイコパスの手に掛かり、殺されてしまいました。
サイコパスの魔の手は恵にも降りかかり、恵は幸子に気絶させられて、菰田家に連れ去られてしまいました。
【転】黒い家 のあらすじ③
恋人が幸子に連れ去られて監禁されたことを知った若槻は、幸子を救出するために菰田家に潜入しました。
そこで若槻が見たモノはおぞましい拷問部屋と幸子によって拷問の末に首を切り落とされて殺された三善の無残な死体でした。
牛刀を手にした幸子が若槻と幸子を殺すために襲い掛かってきてサイコパスに命を狙われる恐怖がリアルに描かれています。
幸子との戦いの末に、幸子を撃退することに成功し、若槻は恵を救出することができました。
警察の調査により、菰田家の床下から十数体の白骨死体が発見され、菰田家の異常性が次々と明らかになります。
ショックを受けた恵は郷里に帰省し、若槻とも疎遠になってしまいました。
ようやく菰田家から解放され、平穏を取り戻した若槻でしたが、物語はまだ終わらず、警察に逮捕されたはずの幸子が、行方不明となってしまい、若槻の恐怖の日々はまだ終わりを迎えずに、物語は最終局面へと突き進みます。
【結】黒い家 のあらすじ④
幸子が若槻を殺すために生命保険会社に乗り込んできます。
守衛を殺害し、建物の電気もエレベーターの管理権も幸子が掌握し、若槻に狂気が迫ってきます。
ビルからの脱出を模索する若槻..獲物を仕留めるためにジリジリと忍び寄ってくるサイコパスの魔の手..深夜の静まり返った社内の中で、若槻と幸子の駆け引きが始まります。
狂気に支配されたサイコパスから逃れ、幸子に噛みつかれて流血しながらも、若槻は消火器を幸子の頭に叩きつけて殺害することに成功しました。
若槻の身に降りかかった災いを知った恵は、若槻に連絡を取りヨリを戻します。
幸子が死亡したことをしった菰田は自殺を図りますが、失敗し精神病院へと移送されることになりました。
狂人の魔の手から逃げ延びることに成功した若槻は徐々にですが平穏を取り戻し、会社の業務へと復帰します。
次の客もクレーマー染みた客で、保険金を巡る人間の恐ろしさに辟易しながらも、若槻は業務に取り組むのでした。
黒い家 を読んだ読書感想
私はホラー小説を好み、さまざまな作品を読んできましたが、私の中ではこの作品が一番怖いです。
一番怖いモノはお化けなどではなく、心が狂ってしまって、包丁を手に持ち襲い掛かってくる人間なのだと思いました。
何気なく手に取った本に引き込まれて、最後まで読んでしまいました。
この小説に登場する幸子は特別な存在でもなんでもありません。
その辺の道端を歩いていて、狂気に駆られた主婦が包丁を手に持って襲い掛かってきたらどうしよう..という妄想に駆られました。
貴志祐介の作品の中でも群を抜く逸品だと思います。
時間がある時に読んでみることをおすすめします。
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