【ネタバレ有り】勝手にふるえてろ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:綿矢りさ 2010年8月に文藝春秋から出版
勝手にふるえてろの主要登場人物
江藤良香(えとう よしか)
26歳一人暮らし、彼氏いない歴26年の主人公。都内にあるオフィスの経理を担当している。中学二年生から今日までずっとイチに片思いしている。オタク気質で妄想が激しい。
一宮(いちみや)
通称イチ。良香が長年片思いしている中学の元同級生。
霧島(きりしま)
通称二。良香と同じ会社の営業マンで、社内で良香をみかけ好意を持ち、飲み会をセッティングしアタックする。
月島来留美(つきしま くるみ)
美人な良香の同僚。良香の恋愛遍歴をよく知っている。
勝手にふるえてろ の簡単なあらすじ
26歳一人暮らし、彼氏いない歴26年の主人公・江藤良香は中学二年生から今日までずっと同級生の一宮・通称イチに片思いしています。オタク気質で妄想大好きな良香は脳内恋愛は豊富ですが、実経験は無いいわば喪女。嫌々ながら参加した社内の飲み会で営業の霧島・通称二にアプローチされ、それまでの生活が変化していきます。そんな中、中学の同窓会が開かれ大好きなイチと再会を果たすことができた良香は、長年片思いしていたイチと急接近するのですが……。
勝手にふるえてろ の起承転結
【起】勝手にふるえてろ のあらすじ①
26歳一人暮らし、彼氏いない歴26年の主人公・江藤良香は中学二年生から今日までずっと同級生の一宮・通称イチに片思いしています。
オタク気質で妄想大好きな良香は脳内恋愛は豊富ですが、実経験は無いいわば喪女。
過去に交わしたイチとの短いやりとりを思い出しては恋焦がれる毎日を送っています。
そんな良香ですが、一歩外に出ればいたって普通のOLです。
仕事は真面目で、そつなく業務をこなします。
面白味はないですが、仕事にやりがいを求めるタイプではないのでとくに不満はありません。
ただ飲み会は苦手で、できれば参加せず家でタモリ倶楽部を観て気ままに過ごすのが望みです。
そんな中、同僚の来留美に頼まれて気乗りしない社内の飲み会に参加した良香は営業課の霧島にアプローチされます。
自分に好意を持っている霧島を心の中で「二」と命名した良香。
二はイチとは似ても似つかず、まったくタイプではない男でしたが、異性からの初めてのアプローチに良香は歓喜します。
【承】勝手にふるえてろ のあらすじ②
二から猛烈なアピールを受け、イチと二の間で揺れ動く(妄想する)良香は、卒業以来会っていなかったイチとの再会を目論みます。
中学の同級生になりすまし、同窓会を企画した良香は、念願叶いイチとの再会を果たします。
昔の雰囲気そのままに、脳内イメージのまま成長したイチを見てときめく良香。
しかし人気者だったイチはすぐに取り囲まれ近づくことができず、おとなしくグイグイ輪に入っていくことが苦手な良香は遠くから眺めることしかできません。
意を決してイチのそばに駆け寄った良香は、上京組で後日集まることを提案します。
同窓会後もイチの妄想が膨らむ良香でしたが、二との関係も進展していました。
デートを重ね、お互いのことを話す二人でしたが、いまいちしっくりきません。
インドア派の良香に対し、二はアウトドア派で正反対。
良香が偏愛する絶滅動物の話も二は興味なく、自分の話を一人楽しそうに話し続けます。
そんな二を良香は冷めた目で見てしまい、ますますイチへの想いが強くなります。
【転】勝手にふるえてろ のあらすじ③
二との関係を保留にしつつ、良香はイチを含む上京している中学の同級生たちとの集まりに参加します。
二とのデートにはない高揚感で胸がいっぱいの良香でしたが、いざ飲み会がはじまると、派手でリア充全開のメンバーの中でいたたまれない気持ちになります。
もともと大勢でワイワイ騒ぐのが苦手な良香は、イチと交流するため奮闘しますが上手くいきません。
諦め一人やさぐれていた良香のもとに、なんとイチから近寄ってきます。
中学生の頃に交わしたやりとりを記憶していたり、絶滅動物の話題に食いついてきたり、イチも良香に対して好意を持っていそうな雰囲気です。
アンモナイトで意気投合した二人は距離がぐっと近づいたかに見えましたが、イチが自分のことを名前ではなく『きみ』と呼ぶことに違和感を感じた良香はイチに問いかけます。
イチは「ごめん。
なんていう名前だったか思い出せなくて」と正直に答えます。
名前を忘れられていたことにショックを受ける良香。
イチを諦め、二と付き合うことに決めます。
【結】勝手にふるえてろ のあらすじ④
二と付き合うことにした良香でしたが、長年想い続けてきたイチへの未練は断ち切れません。
そんな中、二がキスを迫ります。
咄嗟に拒否した良香を二は怒るでもなく、自分が悪かったと謝ります。
良香はそういう経験がないのに急いでしまって悪かったと。
二に未経験のことを隠していた良香は、同僚の来留美が良香のことを話していたことを知り激怒。
イチに失恋し、信頼していた来留美には裏切られ、すべてが嫌になり自暴自棄に陥った良香は、会社につわりがひどいと嘘をついて長期休暇を申請します。
会社を早退し、家に閉じこもる良香の救いは二ただ一人でしたが、妊娠の噂が耳に入ったのか着信拒否されてしまいます。
再度かけた電話に出た二は、以前と違い冷たい声。
それでも負けずに二を家に呼び出した良香は正直に話します。
妊娠が嘘と知り呆れる二に、良香は好きならそのまま受け止めてみせろと言い放ちます。
良香の身勝手な言動に呆れ果てる二でしたが、良香の咆哮に押され、良香への思いの丈を吐露します。
お互いの気持ちをぶつけた二人は落ち着きを取り戻し向き合います。
良香にとってイチの次に過ぎない「二」の存在だった霧島が一人の男として初めて認識された瞬間でした。
勝手にふるえてろ を読んだ読書感想
※文体は「です・ます」調に統一して下さい。
====================こじらせ女子のリアルな生活を描いた本作。
OLのあるあるや、普段は同じ場所に立っているようで、実は歴然とした差がある女子同士の階級をコミカルに書いています。
良香の一途さが可愛くも怖くもあり、中学生の頃のわずかなやりとりを大事にして何万回もリピートして満足しているところや、恋愛において良いか悪いかだけで中間がないのも処女っぽさがよく出ているなと思います。
脳内恋愛ばかりしてきたせいか、いざ現実世界で恋愛するとぎこちない感じが読んでいて苦しいです。
イチと意気投合して盛り上がってからの急落下ぶりは良香ならずともへこむと思いますが、長年片思いしてきた分もうちょっと踏ん張ってもとを取れと、(無駄に)経験を積んで計算高くなってしまった自分は思います。
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