海の見える街(畑野智美)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

海の見える街(畑野智美)

【ネタバレ有り】海の見える街 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:畑野智美 2015年9月に講談社から出版

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海の見える街の主要登場人物

本田(ほんだ)
市民センターの市立図書館で働く司書の男性。
日野(ひの)
市民センターの図書館で働く司書の女性。
鈴木春香(すずきはるか)
市民センターの図書館に新しくやってきた女性。
松田(まつだ)
市民センターの児童館で働く職員。

海の見える街 の簡単なあらすじ

海の見える市立図書館で司書として働く三十一歳の本田。十年間も片想いだった相手に失恋した七月、一年契約で新しい職員、春香がやってきた。司書資格を持っていなければ、本にも興味がない春香。周囲とぶつかる彼女に振り回される日々が続いていた。繊細な言葉で紡がれる、四編の連作短編。

海の見える街 の起承転結

【起】海の見える街 のあらすじ①

マメルリハ

七月の雨の降った翌日、市立図書館に一年契約の新しい職員、春香がやってきた。

袖口がひらひらした白いシャツにピンク色のミニスカートを穿いた、大学生のように見える女性だった。

図書館の司書として働くには、彼女の服装や言動は相応しいものではなかった。

司書資格を持っていなければ、本にも興味のない春香。

同じ職員の日野とは衝突してばかりで、不穏な空気が漂っていた。

周りの男性は春香を甘やかしていて態度の変わらない彼女に日野は悩んでいた。

春香が三日連続で同じ服装であることに、職場で色んな噂がたった。

いつの間にか教育係になっていた本田は、春香と話しているうちに服をほとんど持っていないということが分かった。

春香はまるで家出をして図書館にくる少女たちに似ていると本田は感じた。

あまり話さないが、自分の好きなことになるとよく話す。

休日に買いに行くよう促した次の日、春香は本田のアパートへと来た。

「一緒に行きましょう」春香に誘われるままに、本田は買い物に出掛ける。

【承】海の見える街 のあらすじ②

ハナビ

市立図書館で働く日野の給料は、ほとんどが本や漫画関連のグッズに消えていた。

部屋に入りきらなくなった漫画やグッズを弟の部屋へ移動させる。

そんな日々が続いていた。

ある日、一年契約で図書館にやってきた春香によって、平穏な日々は変わっていく。

世間一般としても春香の容姿は整っていて、上目遣いで甘える彼女は女性としてのスキルは高かった。

年配の男性が多い市民センターで春香はもてはやされ、それに日野は嫉妬に近い感情を抱いていた。

七月の初めに本田に告白したけれど、ごめんと断られてしまった。

何かが変わると思っていたけれど、本田はいつも通り何もなかったかのように接することができた。

しかし、本田と春香の関係が少しずつ変化していることに気付く。

春香にかき乱され振り回される日野も、いつしか春香と関わることで少しずつ変化をしていく。

春香に連れられていった飲食店での会話。

春香がもたらす変化は、ほんの些細なことだけれど良い傾向に変化する。

【転】海の見える街 のあらすじ③

金魚すくい

児童館で働く松田を、年が明ける前の十月から日野は避けるようになっていた。

油断していた終業後に、日野と春香に秘密を知られてしまった。

同期の本田には以前から知られていたが、誰にも言わないと分かっていた。

夏休みの前にアルバイトの大学生が児童館にくる小学生に性的いたずらで捕まった事件の被害者の母親の相手など館長がするはずの仕事を松田は変わらず続けていた。

風邪を拗らせて長引く休みが続いていた本田のお見舞いに行くと、彼は普段よりも饒舌に話した。

話しすぎるほど喋る本田は、アルコールで酔ったように自分の中に仕舞っていた気持ちを素直に松田にぶつけた。

松田は本田に、日野は春香に、「ちゃんと話した方がいい」と言われた二人は、仕事終わりにコンビニで買った飲み物片手に堤防に座って海を眺めていた。

松田は、そっと自分の中にある過去や思いを、ゆっくりと言葉を選びながら話し始めた。

それは同期の本田も知らない、松田がずっと胸のうちに隠してきたことを日野に聞かせる。

【結】海の見える街 のあらすじ④

肉食うさぎ

最近の本田さんは面白くない。

出逢ったころはオドオドしたり、困っていることがすぐに表情に出て唸ったりしていた。

子供のケンカにすぐに巻き込まれて、老人に絡まれているところを見るのが面白かった。

落ち込んだ時に、図書館の隅でお気に入りの絵本を読むような人だった。

けれど、最近は老人に絡まれても最後まで話を聞き、適切に言葉を返すようになった。

一年契約ということで図書館の職員になり、それもあと一ヵ月とちょっとで満期を迎える。

飼っているうさぎに会いに来るパン屋の息子の拓海は、春香がもう少しでいなくなると子供ながらに感じていた。

春香もそれを言い出せないで、「いつまでも私やデローニと遊んでくれる?」と冗談ぽっく言ってしまう。

ある日、館長に呼ばれて喫茶店に行くと、契約を延長してもらえないかと打診される。

もうすぐ終わると思っていた春香は迷う。

もしよければ司書資格を取って正規職員にならないかと提案も受ける。

春香は少し考えさせてくださいと言ってその場を離れた。

海の見える街 を読んだ読書感想

四人の登場人物によって、四季ごとに描かれた一年間の物語。

人を好きになることが分からない本田に、自分の気持ちに素直になれない日野、内に隠れた感情が渦巻く松田の三人は、春香との出逢い少しずつ変化を遂げていく。

繊細な言葉で紡がれた物語は、些細な心情を描いている。

自分の気持ちに気付き少しずつ歩み寄る本田と春香、感情に揺れ動く日野とどこかに行ってしまった松田。

松田はもしかしたら、渦巻く何かが溢れそうになったから居なくなったのかもしれない。

誰かに相談することもなく、ひっそりと消える方が良いと判断したのかもしれない。

彼がどこかの町で幸せになっていてほしい。

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