星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)

【ネタバレ有り】星を継ぐもの のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:ジェイムズ・P・ホーガン 1980年5月に東京創元社から出版

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星を継ぐものの主要登場人物

ヴィクター・ハント
主人公その1。物質を透過撮影できる「トライマグニスコープ」の発明者にして天才的な物理学者。

クリスチャン・ダンチェッカー
主人公その2。優秀な生物学者だがやや教条的。しかし、新奇な発想でもそれに説得力があるならば柔軟に受け入れることも出来る。

グレッグ・コールドウェル
国連宇宙軍本部長。ハントをナヴコムにスカウトし、彼をチャーリーの謎の解明にあたらせる。

ドン・マドスン
言語学者。チャーリー達”ルナリアン”の言語の解析を担当。

星を継ぐもの の簡単なあらすじ

近未来の月面にて深紅の宇宙服を着た人類の遺体が発見された。チャーリーと名付けられた彼の遺品を年代測定にかけた結果、五万年前のものと判明。勿論、そんな時代に人類に人間を月に送る技術などない。彼が使っていた言語も地球上のものではない。チャーリーはいったい何処からどうやって来たのか? 謎が謎を呼ぶ中、木星の衛星ガニメデからはより古い宇宙船の残骸が発見され、謎は更に深まっていく。

星を継ぐもの の起承転結

【起】星を継ぐもの のあらすじ①

五万年前の人類。

月面で深紅の宇宙服を着こんだ人物の遺体が発見されたところから物語は始まります。

各国に照会が行われたものの、該当する行方不明者・死者は存在しません。

チャーリーと名付けられた彼の遺品を年代測定にかけたところ、五万年前のものと判明。

彼の正体を解明すべく、国連宇宙軍ナヴコムは物質を物質を透過撮影できる「トライマグニスコープ」の発明者ヴィクター・ハントを呼び、生物学者のクリス・ダンチェッカー教授とともにその解明にあたらせます。

その結果、チャーリーの体の構造が人類そのものであることが判明。

しかし、5万年前に人間を月に送る技術などありません。

ダンチェッカーは彼が間違いなく人類である以上、かつて地球上には失われた文明があったのではないか、その文明が月に人類を送ったのではないかと考えます。

異なった環境での平行進化(異なった種に属する生物が似た進化をすること)があり得ない以上、そう考えるしかないのです。

しかし、ハントはダンチェッカーの考えに異議を唱えます。

もしそんな文明があったとしたならば痕跡が残っていないのは理屈に合わないし、痕跡すら消し去るほどの天変地異があったのであるならば、とっくに既知のことになっているはずなのです。

さらにハントはチャーリーが持っていた手帳の解析結果を述べます。

それはどうもカレンダーであったらしいのですが、一年の長さが1700日にもなるのです。

ということはチャーリーは異星人ということになります。

二人の優れた学者の意見は対立し、結論を得られないまま、謎は更に深まっていきます。

【承】星を継ぐもの のあらすじ②

遠い過去の核戦争と新たな謎

ハントたちの各種調査からチャーリー達ルナリアンが月面で大規模な核戦争を行っていたことが明らかになりました。

ミネルヴァと名付けられたルナリアンたちの故郷であると思われる惑星の大きさ、気候、公転周期なども判明しましたが、それでもまだその惑星がルナリアンの故郷であると確定するには至りません。

ただし、ダンチェッカーは月の裏側のルナリアン基地で発見された食料に含まれていた魚類と思しき生命体がその特徴から地球の魚類ではなく、ミネルヴァ固有の生命体であることを突き止めますが、彼は地球からミネルヴァに人類が入植したと考えており、ルナリアンがミネルヴァで発生・進化した人類であるとは考えてはいないのです。

そんな中、木星の衛星ガニメデの氷原の下から巨大な宇宙船が発掘されます。

しかし、その宇宙船に残されていた知的生命体の遺骸は人類から余りにもかけ離れたものでした。

ガニメアンと名付けられた彼らは何者なのでしょう? 彼らこそ惑星ミネルヴァの住人だったのでしょうか?

【転】星を継ぐもの のあらすじ③

ガニメアンとルナリアン

ダンチェッカーはガニメアンこそミネルヴァで進化した知的生命体であり、一方、ルナリアンは地球で進化、時を経て彼らが出会い、ルナリアンの一部がミネルヴァに移住したのだがやがて両者の間で深刻な対立が発生し核戦争に至ったのだと説きます。

ハントにもダンチェッカー説への有効な反論は見つけられませんでしたが、月の発掘調査の進展によりもたらされた遺物によりルナリアン語の解読が劇的に進み、ドン・マドスンら言語学班はチャーリーの日記の解読に成功します。

チャーリー達ルナリアンの母星は危機に瀕していたこと、その母星から月へ二日で飛んだこと、月から母星にビーム兵器を照射したことなどが判明します。

しかし、これは理屈に合いません。

木星と土星の間にあったミネルヴァから月まで二日で行けたのなら、容易に他の惑星へ移住できたはずなのです。

また、これほどの長距離をビーム兵器で正確に狙い、かつエネルギーの減衰を防ぐことは至難の業です。

ハントはチャーリー達ルナリアンの母なる星はミネルヴァではなく地球であったのではないか、と考えます。

同時期、ガニメアンらの遺骸は2500万年前のものと判明。

ガニメアンとルナリアンには何の関係もないように思われました。

しかし、ダンチェッカーはガニメアンの宇宙船から発掘された地球の生命体の遺骸のなかに、現生人類の祖先と考えられるものを見つけていました。

ここに至ってダンチェッカーは旧説を訂正。

すなわち、人類の祖先はガニメアンらによってミネルヴァに運ばれそこで人類に進化したのだと。

この説ならばチャーリー達ルナリアンがミネルヴァで生活していたことを示す痕跡に説明がつきます。

マドスンが改名したチャーリーの日記から得られる情報とダンチェッカーが解析した遺骸はともに矛盾しているように思われました。

前者はルナリアンが地球に居住していたことを示し、後者は彼らがミネルヴァに居たことを示しているのです。

【結】星を継ぐもの のあらすじ④

宇宙を旅した月

互いに矛盾するように思われる事実。

しかしハントはついに解答を見つけます。

もしミネルヴァの月と地球の現在の月が同一の存在であると仮定するならば、全てに説明がつくのです。

チャーリーはミネルヴァから月までを二日で移動できたし、月から発射したビーム兵器をミネルヴァに正確に命中させ、それを詳細に観測することも可能だったのです。

何故ならば、その時、月は地球ではなくミネルヴァの周りを公転する衛星だったから! つまり、今現在、我々人類が地球から仰ぎ見ている月はかつてはミネルヴァの衛星であったのです。

惑星ミネルヴァが破壊された時、その重力から解放された月は太陽へと接近していきました。

が、偶然にもその道筋が地球の重力圏と重なり、それまで孤独であった地球は月という衛星を得たのです。

ハントのこの説は全ての痕跡を説明可能としました。

誰もがこの説に賛同しましたが、ダンチェッカーはまだ謎が一つ残っていると言います。

そして、彼はその謎を解いてみせます。

物語を締めるこの解答こそ万人を驚愕させるものなのでした。

星を継ぐもの を読んだ読書感想

かつて人類の進化の歴史には大きな謎「ミッシングリンク」がありました。

つまり、猿からヒトへと進化していった大筋は分っていても、類人猿からヒトへと分岐した直後の化石が出土していなかったんですね。

ホーガンはこれをテーマに優れたSF小説を書きあげました。

それがこの「星を継ぐもの」(原題はInherit the Stars)です。

SF小説と言っても、皆さんがSFと聞いて連想するような超光速航行などは出てきません。

(続編には出てきますけどね) この「星を継ぐもの」の魅力は優れた学者達が科学を武器にして大いなる謎に挑み、推理していくその様にこそあります。

登場する学者達は皆、人間的な魅力と知的好奇心に溢れています。

ですので、推理小説がお好きな方、SF初心者にも自信をもっておススメできる小説です。

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