【ネタバレ有り】自分を好きになる方法 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:本谷有希子 講談社に41456から出版
自分を好きになる方法の主要登場人物
リンデ(りんで)
28才で結婚し34才で離婚。その後は独身を貫く。
カタリナ(かたりな)
リンデの高校時代の友人。
モモ(もも)
リンデの高校時代の友人。
エナ(えな)
リンデの妹。30歳で娘のマアサを授かる。
ジョウ(じょう)
音楽家。妻と離婚して現在は独り暮らし。
自分を好きになる方法 の簡単なあらすじ
リンデは28歳の時に海外旅行先でプロポーズを受けてひとりの男性と結婚しましたが、6年後には離婚へと至ります。その後はお1人様として年齢を重ねていく中で、細やかな出会いと別れを繰り返して生きていくのでした。
自分を好きになる方法 の起承転結
【起】自分を好きになる方法 のあらすじ①
リンデは祖母がお気に入りなシューベルト作曲の歌、「リンデンバウム」から名付けられた女の子です。
3歳になったリンデは人一倍感受性が強くて、幼稚園でも担任の先生を困らせてばかりでした。
成長するに連れて引っ込み思案な性格になり、16歳で高校生に進学します。
入学式から1ヶ月ほど過ぎるとクラス内でも徐々にグループ分けが形成されていき、リンデが行動を共にするようになったのは名前順で席の近かったカタリナとモモです。
ある日の日曜日に3人でボーリング場に遊びに行った時に、リンデは次の日のある計画を打ち明けます。
それは教室でも目立たないリンデたちとは対照的な、ニッキたちのグループに仲間に入れてもらってお昼休みを過ごすことです。
月曜日だけで火曜日には帰ってくるの約束のはずが、その日を境にしてリンデはカタリナとモモとはお弁当を食べることはありません。
リンデはお互いに心から一緒に居たいと思える相手を、諦めずに探すことを誓うのでした。
【承】自分を好きになる方法 のあらすじ②
28才になったリンデは現在お付き合いをしている男性と共に、南の島にバカンスに来ていました。
5日間の日程もいよいよ最終日となる中で、リンデは彼から今夜プロポーズされるかもしれないと密かな期待を抱いています。
夕食は滞在中のホテルから車で40分程度離れた場所にあるダイナーを予約していて、午後6時には出発しなければなりません。
リンデがお気に入りのワンピースにアイロンをかけたりボーイに渡すチップを両替しているうちに、待ちきれない彼はひとりで部屋を出ていき散々な海外旅行です。
リンダと彼が予定していたダイナーを訪れたのは、ふたりが結婚して6年目を迎えた記念日旅行の時でした。
テーブルに案内されたリンデが身に纏っていたのは、6年前には着ることが出来なかったあのワンピースです。
結婚生活6周年に乾杯するはずが、相も変わらず自分勝手な夫にリンデはつくづく嫌気がさしてしまいます。
この旅行がきっかけになって、リンデは離婚を決意するのでした。
【転】自分を好きになる方法 のあらすじ③
47才になったリンデは友人たちとクリスマス会を開くことになりましたが、お菓子作りの知識も経験もありません。
家事が得意な妹のエナに相談すると、快く自宅のキッチンを貸し出してくれました。
エナのアドバイスによって完成した手作りのチョコレートケーキを片手に、猫の里親会で知り合った友人のマンションを訪れます。
個性豊かなメンバーの中でもリンデが特に気になっているのは、妻に逃げられたと噂されているジョウさんです。
ロマンスグレーの上品な佇まいの51才は、自然と女性たちの注目を集めています。
この街に引っ越して来てメンバーになったばかりのジョウさんは、まだまだ皆に馴染んでいません。
プレゼント交換の時間では輪になって歌をうたい、リンデはジョウさんと深緑色の手袋とポインセチアを交換しました。
パーティーが終わって家に帰ったリンデは、すっかりお疲れ気味です。
年を取るほど1年がどんどん短くなっているようで、今では6ヶ月ごとにクリスマスパーティーをしているように感じてしまうのでした。
【結】自分を好きになる方法 のあらすじ④
63才になったリンデは玄関のチャイムが鳴っているのに気付きますが、布団から出ることが出来ません。
昨日母親からドレッシングを送ったと書かれたメールを受け取ったので、恐らく宅配便の配達人でしょう。
ようやく起床したリンデはドアの郵便受けからはみ出している、黄色い不在票を引き抜きました。
再配達センターへの電話、古くなった歯ブラシの買い換え、カウチンセーターに空いた穴の修繕。今日中にやらなくてはならないことを、メモ帳にリストアップしていきます。
もしこれらを本日中に済ませてしまえたら、きっと自分のことが好きになるはずです。
不在連絡票の担当者直通番号に連絡すると、リンデはリストのひとつにボールペンで線を引きます。
住宅街の坂を下ると洋服のリフォーム店があり、セーターの穴はすぐに直せてもらえました。
来たときとは道順を変えて自宅に向かうと、路地裏の知らない小道を発見してちょっぴり幸せな気持ちです。
リンデはリストの中に、「どこか行ったことのない国に旅行してみる。」
の項目を付け足すのでした。
自分を好きになる方法 を読んだ読書感想
ひとりの女性の3歳から63歳までの人生が、淡々としたタッチから映し出されていて味わい深かったです。
思春期独特な少女の心の揺れから、壮年期を迎えた女性の達観の極みまでリアリティーがあります。
47才になったリンデが盛んに口にする、「ジャネーの法則」が印象的でした。
年齢を重ねることによって時間の流れが早く感じることを19世紀フランスの哲学者ポール・ジャネが発見した法則になり、幅広い世代の方が思い当たるはずです。
最後までドラマチックな出来事は起こりませんが、何気ない日々の繰り返しの中にも幸せを噛み締めることができました。
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