ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常(三上延)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常

【ネタバレ有り】ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:三上延 2011年10月にアスキー・メディアワークスから出版

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常の主要登場人物

篠川栞子(しのかわしおりこ)
ビブリア古書堂の店主。出奔中の母・智恵子がいる。

五浦大輔(ごうらだいすけ)
ビブリア古書堂の店員。1度は退職するも再びこの店で働き始める。

小菅奈緒(こすがなお)
以前に古書の盗難事件を起こした女子高校生。中学1年生の妹・結衣がいる。

高坂晶穂(こうさかあきほ)
大輔の高校時代の彼女。鎌倉市御成町在住。

須崎(すざき)
ビブリア古書堂に稀覯本の査定を依頼する。藤沢市在住。

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 の簡単なあらすじ

最終面接まで進んだ埼玉県の食品会社から不採用通知を受け取った五浦大輔は、北鎌倉のビブリア古書堂に戻ることになります。店長の篠川栞子と古書に纏わる事件を解決していきますが、次第に彼女が隠している母親の存在が明らかになっていくのでした。

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 の起承転結

【起】ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 のあらすじ①

アントニイ・バージェス「時計じかけのオレンジ」

いつものように五浦大輔がビブリア古書堂で店番をしていると女子高校生の小菅奈緒が来店し、彼女の妹・結衣が書いた読書感想文について相談を持ち込んできました。

アントニイ・バージェスの「時計じかけのオレンジ」を選んで書いたようですが、中学1年生の女の子が読むには相応しい1冊とは言えません。

万引き防止用のスリップが挟まったままの不自然な文庫本を見た栞子は、結衣が実際には本を読んでいないことを見破ります。

更には感想文自体が、小学4年生の頃に栞子さんが読書コンクールに出品したものの丸写しでした。

姉に劣等感を抱いていた結衣は、彼女よりも本が読めることを見せびらかしたかったようです。

栞子は「時計じかけのオレンジ」の中の1節「書かなかったことにすることはできない」を引用して、結衣に自分のしてしまったことの重みを実感させます。

大輔はお小遣いを貰って意気揚々と自転車で古本屋巡りをしていた、小学生時代の栞子の姿を想像してしまうのでした。

【承】ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 のあらすじ②

福田定一「名言随筆 サラリーマン」

ライトバンに乗り込んだ大輔と栞子が向かった先は鎌倉駅に近い住宅地・御成町で、今回の依頼人は高坂晶穂です。

彼女は大輔にとって高校3年間を同じ教室で過ごしたクラスメイトでもあり、一時期はお付き合いをしていたこともあります。

卒業後に大輔は私大の経済学部、高坂は芸術学部の写真学科へとそれぞれの道を歩いていき別れることになりました。

現在では三軒茶屋の写真スタジオでアルバイトとして働いているらしく、父親が残した古書を買い取って欲しいとのことです。

膨大なコレクションの中でも栞子が目を付けたのは、福田定一の「名言随筆 サラリーマン」でした。

著者は歴史小説家としてデビューする前の司馬遼太郎になり自筆サインもあるために30万円以上の値段が見込まれますが、栞子は亡き父が娘にお守りとして贈った本を買い取ることなく家を後にします。

高坂が「大輔くん」と呼びかけていたのを聞いた栞子は、これ以降「五浦さん」から「大輔さん」に改めるのでした。

【転】ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 のあらすじ③

足塚不二雄「UTOPIA 最後の世界大戦」

風邪気味な栞子を寝かしつけた大輔は、廊下に置いてあった1枚の水彩画を目撃しました。

栞子とそっくりな顔立ちながら、キャンバスに記されている日付は30年以上前になります。

彼女は栞子の母親・智恵子で10年以上前に失踪したようでしたが、打ち明けにくい事情があるようです。

そんなある日智恵子を知る須崎という40歳前後の男性が、足塚不二雄の「UTOPIA 最後の世界大戦」の買い取りを依頼してきました。

藤子不二雄の最初の単行本であり、現存するのは10冊程度で100万円以上の値段が付くかもしれません。

藤沢市西富の須崎の自宅を訪れた栞子と大輔は、若き日の智恵子が「UTOPIA 最後の世界大戦」を万引きした須崎の父親を強迫していた事実に辿り着きました。

大輔は類まれな古書に関する知識や観察眼ばかりではなく、底知れぬ狡猾さを秘めた智恵子に衝撃を受けます。

更には智恵子の血を受け継いだ栞子が、同じような過ちを繰り返してしまうような不吉な予感を覚えるのでした。

【結】ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 のあらすじ④

坂口三千代「クラクラ日記」

ビブリア古書堂が閉店時刻を迎えたある日の夕方に、大輔は初めて母屋に招かれて栞子と妹の文香と共に夕食のチキンカレーを頂くことになりました。

大輔は栞子がテーブルの上に置きっぱなしにしてある、坂口三千代の「クラクラ日記」を見て些細な違和感を感じます。

同じ本が3冊も紙袋の中に入っていて、しかも彼女は以前にもこの本を5・6冊以上は購入しているはずです。

普段は栞子に先回りされっぱなしな大輔でしたが、この日だけはふたりっきりのデートを賭けているために予想外の推理力を発揮します。

栞子の母・智恵子がビブリア古書堂を去る直前に1冊の「クラクラ日記」を残していったこと、本の中に娘たちへのメッセージを記したこと、書き置きを見ることなく売却して市場に出回ってしまった「クラクラ日記」を取り戻すのを今でも栞子が諦めていないこと。

ズバリ秘密を言い当てられた栞子は、今度の休日にふたりで横浜の古本屋に出掛けることを提案するのでした。

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 を読んだ読書感想

相も変わらず店長さんと雇われ店員の関係性を貫いている、ヒロインの篠川栞子と五浦大輔の微妙な距離感が心地よかったです。

「五浦さん」のよそよそしい呼びかけが、大輔の元カノ・高坂晶穂の1件以降は「大輔さん」へと変わっていくシーンが感動的でした。

ふたりの間に不気味な影を落としている、母親の智恵子のミステリアスな存在も気になります。

古書を手にするためには手段を選ばない執念深さには、栞子が抱えている危うさにも繋がるものがありました。

大輔が栞子に手を差し伸べることによって、その危うさから救い出すような今後の展開を期待したいです。

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