人間小唄(町田康)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

人間小唄

【ネタバレ有り】人間小唄 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:町田康 2010年10月に講談社から出版

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人間小唄の主要登場人物

糺田両奴(きゅうたりょうど)
都内で執筆活動をする作家。

新未無(あらたみむ)
「向こう側の世界」の住人。糺田を誘惑する。

小角(しょうかく)
「向こう側の世界」の住人。糺田の文学を破壊する。

猿本丸児(さるもとまるじ)
「向こう側の世界の住人」。プロデューサー。

人間小唄 の簡単なあらすじ

締め切り日に追われていた冴えない作家・糺田両奴は、読者から送られてきた手紙の短歌を後先考えずに転載してしまいます。弱みを握られた彼は奇妙な世界に監禁されてしまい、3つの課題を突き付けられてしまうのでした。

人間小唄 の起承転結

【起】人間小唄 のあらすじ①

盗作作家の災難

プライベートでも問題を抱えて作家としても行き詰まっていた糺田両奴は、東京都港区の消印が捺された蘇我臣傍安という差出人からの分厚い封筒を受け取りました。

中に入っていたのは5首ごと4段落に分けて記されている、全20首にもなるハチャメチャな短歌です。

ひとつずつ丁寧に読んでノートに書き写した糺田は、連載中のコラムの締め切りが差し迫っていたためにそっくりそのまま自作として発表してしまいます。

1週間ほどたった頃に糺田は、駅ビルの中にある書店で新作「先送り・鰡の発光」の発刊を記念したサイン会を開催しました。

会場内の列に並ぶお客さんの中でもひときわ目を惹いたのは、白いワンピースを身に纏ったひとりの美しい女性です。

彼女の番になって差し出された書籍にサインをするために名前を聴くと、「本名は新未無、ペンネームは蘇我臣傍安」と答えました。

例の短歌の送り主だと知った糺田はサイン会終了後に彼女の自宅まで押し掛けますが、そこで待ち受けていたのは見るからに暴力的な男・小角です。

【承】人間小唄 のあらすじ②

一、短歌を作る

無断引用を責め立てられた糺田は小角と未無に土下座せんばかりに謝罪しますが、まるで聞き入れてもらえません。

傍若無人なふたりに長い橋を渡って連れて行かれた先は、オフィス街の外れの草原の真ん中にポツンと建っている2軒のプレハブ小屋でした。

各社の携帯電話も繋がらずに無限に草原が広がっている「向こう側の世界」になり、ここから元の世界へ脱出するためには3つのテーマのうち1つをクリアしなければなりません。

短歌を作るか、ラーメンと餃子の店を開店し人気店にするか、暗殺するか。

悩みに悩んだ末に糺田が選んだのは、文筆家の端くれだけに短歌を作ることです。

用意されたレトルトのお粥で飢えを凌いで24時間隠しカメラで監視されている中で、持てる力の全てを短歌作りに注いでいきます。

自信満々で完成作を小角たちに披露するものの、難癖を付けられてあっさりと否定されてしまいました。

エントリー出来るのは僅かに6首だけで、あっという間にそのチャンスを使い果たしてしまいます。

【転】人間小唄 のあらすじ③

二、ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする

一生このプレハブ小屋の中で暮らす訳にはいきませんので、糺田は客商売未経験ながらもラーメン屋をオープンすることになりました。

開業資金も乏しいために食料品店で材料を万引きして、カウンターの代わりになるのは路上に打ち捨てられていた会議用テーブルです。屋台らーめん・ちんば軒と名付けられたそのお店は、学園祭の模擬店のようでありボランティア団体による炊き出しのようでもあります。

250円というリーズナブルなお値段もあり、学生から肉体労働者に水商売の女性にまで大ウケでした。

10日連続で商売に出て、1日の売り上げ金額は多いときは4000円以上にもなります。

500円のスペシャルラーメンと1皿6個100円の餃子も好評な中、近隣に突如として開店したのは心情庵というラーメンと餃子の店です。

糺田のアイデアを盗用しつつ更に低価格路線を打ち出した巧みな販売戦略によって、たちまち客足を奪われてしまいました。

その後糺田のお店は盛り返すこともなく潰れることもない中途半端なまま、タイムリミットを迎えます。

【結】人間小唄 のあらすじ④

三、暗殺する

最後の選択肢は糺田が最も恐れていた、「暗殺」です。

小角がターゲットに提案したのは、心情庵を立ち上げた猿本丸児でした。

猿本は飲食店経営ばかりではなく、アイドルグループのプロデュースも手掛けているかなりの遣り手になります。

ありとあらゆるメディアが猿本の一挙手一投足に注目する中で、次に進出したのは政府系機関が主宰した大規模なイベントです。

国民の感受性の堕落を目論む猿本を止めるためには、暗殺も致し方ありません。

糺田は小角が調達してきた拳銃を持って、屋上の草原でトレーニングを繰り返し射撃テクニックを身に付けました。

猿本が心情庵で毎日のように昼食を取ることを掴んで、道路脇に停めた盗難車から飛び出して襲撃する計画です。

至近距離からの銃撃は失敗して、糺田は地下室での一騎討ちで着けました。

猿本は違法な薬物の使用が判明して検察に身柄を送られますが、糺田自身も戦いの最中に脳を損傷し既にまともな文章を書くことが出来ません。

作家生命が残り僅かな中でも、これまでの奇妙な体験の全てを1冊の本に記すことを誓うのでした。

人間小唄 を読んだ読書感想

締め切りを守るためには盗作さえも厭わない、作家・糺田両奴のいい加減さがユーモアたっぷりでした。

怪しげな美女・未無の誘惑には滅法弱く、強面の小角の前にあっさりと屈する姿には呆れてしまいます。

素人の男女に自信作の短歌をバッサリと否定されて、落ち込んでしまうシーンも不甲斐ないです。

本業の方は今一つながらも、ラーメン屋として意外な商才を発揮する様子には驚かされます。

次々と不条理な出来事に見舞われて糺田が作家生命を絶たれてしまう衝撃的なクライマックスの中でも、初めて自分自身のために決意する瞬間が勇ましかったです。

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