赤い指(東野圭吾)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

赤い指

【ネタバレ有り】赤い指 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:東野圭吾 2006年7月に講談社から出版

赤い指の主要登場人物

加賀恭一郎(かがきょういちろう)
警視庁練馬署の刑事で、慧眼の目の持ち主。数々の事件を解決し、署内 では一目置かれた存在です。

前原昭夫(まえはらあきお)
47歳の会社員で、妻、息子、認知症の母と同居。家庭では、父親としての威厳を発揮できず、嫁姑問題や反抗期の息子の対応に苦悩しています。

前原八重子(まえはらやえこ)
42歳の昭夫の妻。姑を毛嫌いしており、また、反抗期の息子のご機嫌取り に終始徹しています。

前原直巳(まえはらなおみ)
前原家の14歳の息子。内弁慶で両親に対して何かと癇癪を起こす。幼女を家で殺害します。

前原政恵(まえはらまさえ)
昭夫の母。認知症を患っています。

赤い指 の簡単なあらすじ

前原家において息子による幼女殺害事件が起きました。 夫婦は事件を隠蔽するため、遺体を公園に運びます。前原家を訪問した加賀刑事は、認知症の政恵の奇行を見て、疑念の目を深めます。もう誤魔化せないと感じた夫婦は、政恵へ罪をなすりつけます。しかし、政恵の指は赤い口紅色です。加賀は、昭夫の人間性に訴えかけます。思い出の杖を前に感情の抑制ができなくなった昭夫は、息子の罪を白状します。

赤い指 の起承転結

【起】赤い指 のあらすじ①

前原家で起きた息子による幼女殺害事件を隠蔽する夫婦

前原昭夫は、ごく普通のサラリーマンで、年は47歳です。

42歳の妻(八重子)、14歳の息子(直巳)、認知症の母(政恵)と同居しています。

妻は義母を毛嫌いし、夫に愚痴を言って、当たり散らす。

甘やかされて育てられた息子は、内弁慶で何かと癇癪を起こす。

そんな息子に対して、妻はご機嫌取りに終始徹しており、 昭夫も父親としての威厳を発揮できないでいます。

こんな悩み多き家庭に戻りたくないと、会社で故意に仕事を遅らせダラダラ残業をしていた時、八重子から、切迫した声で「お願い。

早く帰って来て欲しい」と電話が入ります。

急いで家に帰った昭夫は、庭で幼女の遺体を見せられます。

事情を聞くと、直巳が衝動的に殺害したとのことでありました。

昭夫は、直ぐ警察に通報しようとしたが、直巳の将来を案じる八重子の説得を受けて、事件の隠蔽を実行します。

深夜、家から遠く離れた公園まで、自転車で幼女の遺体を運び、トイレの中に遺棄したのです。

【承】赤い指 のあらすじ②

前原家を訪ねた加賀刑事は、認知症の政恵の奇行に疑念を抱く

日が明けると間もなくして、幼女の遺体は発見されました。

殺人事件と判断され、警視庁練馬署に捜査本部が設置されます。

捜査担当になったのは、これまで数多くの難事件を解決し、敏腕刑事として署内で評判の加賀恭一郎です。

加賀刑事は、事件現場に自転車のタイヤ痕を上から靴で踏み消したような跡が残されていたこと、遺体に芝が付着していたことに着目し、事件現場の付近の住宅街で聞き込みを開始します。

目撃情報がなく、めぼしい情報も引っかからない中、徐々に、聞き込みの対象範囲は広がっていきます。

ついに、前原家のところまで捜査が及びます。

昭夫と話をしていた時、突然、認知症の政恵が軍手を両手にはめて、加賀の方に駆け寄ってきます。

その軍手は、昭夫が遺体を運ぶ際に使用したものです。

それを見た昭夫の表情など前原家の様子に疑念を抱いた加賀刑事は、庭に張られた芝を持ち帰ります。

照合した結果、遺体に付着していた芝と同種であることが判明します。

【転】赤い指 のあらすじ③

夫婦は認知症の政恵へ罪をきせる。

でも、政恵の指は口紅色

その後、何度も足を運んでくる加賀刑事に、不気味さを感じ、もう誤魔化すことはできない、隠蔽は不可能だと悟った昭夫は、息子に自首させるべきだと八重子に進言します。

しかし、八重子からは、とんでもない提案がなされます。

幼女殺人の罪を認知症の政恵になすりつけようというのです。

認知症であれば、情状酌量が働き、重い罪にはならないであろうと言うのです。

そこで、大事にしていた人形を幼女に壊され、政恵が庭で衝動的に幼女の首を絞めて殺してしまったのだと嘘の証言をします。

その話を聞いた加賀刑事は、政恵のもとに近づいて行くと、政恵は、何も言わずに加賀の目を凝視し、赤い口紅で塗った両手の指を見せてきます。

この手で首を絞めたのであれば、幼女の首の絞殺痕には、赤い色が付いているはずです。

また、政恵の目は、必死に訴えかける様子で、呆けているとは思えません。

この事件の顛末を慧眼の目で見通した加賀は、昭夫の人間性の欠片にかけるため、駆け引きにでます。

【結】赤い指 のあらすじ④

人間性に訴える加賀刑事。

思い出の杖を前に昭夫はすべてを白状

加賀は、「如何なる理由や事情があろうとも、罪を犯せば留置所に行かなければならない。

そこは、高齢者にとって、とても辛い場所であるが、お母さんを連れていってもよいのですね。」

と昭夫に問いかける。

「仕方がない」と昭夫は答えます。

次に、加賀は、政恵に、思い出の品と聞いていた鈴がついた杖をもたして、連れて行こうとします。

動きに応じて、 鈴がなります。

鈴の音を聞き、感情の抑制がきかなくなった昭夫は、嗚咽して倒れ込みます。

その杖は、昭夫の小学生時代の名札がついた思い出の品だったのです。

ついに、昭夫は、息子のしたことをすべて白状します。

その後、政恵が呆けた振りをしていたこと、犯してしまった罪に対して正しい対応を取って欲しいがために、 政恵が奇行をとっていたことを教えられます。

事件は犯人をただ捕まえればよいのではない。

関係者の人間性を取り戻させた上で、解決されなければならないと、胸に強く刻ませて、事件は終わるのです。

赤い指 を読んだ読書感想

ただ犯人の息子を捕まえただけでは、この前原一家は浮かばれません。

きっちり人として正しい道を自覚させ、 人間性を取り戻した上で、捜査を終えなければならないという、加賀刑事の捜査ポリシーに感動しました。

認知症を患った振りをしている政恵が、何とかして、昭夫らに人として正しい対応をしてもらいたいと、目で必 至に加賀に訴えかけているシーン、すべてを見通した加賀が昭夫の心に訴えているシーンを読んで、涙が出ました。

思い出の杖を目の前にして、感情のコントロールができなくなり、倒れ込んでしまう昭夫が、すべてを白状します。

心が完全に腐ってなくて本当によかったです。

それにしても、妻の八重子、本当に憎たらしいで すね。

八重子を見ていると、十分に人間性テストをしたうえで、結婚を判断すべきと感じてしまいました。

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