【ネタバレ有り】贖罪 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:湊かなえ 2009年6月に東京創元社から出版
贖罪の主要登場人物
紗栄(さえ)
物語「フランス人形」の主人公。当時、エミリの死体を見張っていた。
真紀(まき)
「PTA臨時総会」の主人公。当時、助けを呼びに先生を探しに行くが見つからず、1人だけ家に帰ってしまう。
晶子(あきこ)
「くまの兄弟」の主人公。エミリの母親を呼びに行ったとき、母親に突き飛ばされ額に傷ができる。
由佳(ゆか)
「とつきとおか」の主人公。助けを呼びに行った警察官に恋心を抱き、現在と警察官である義兄と関係をもつ。
麻子(あさこ)
「償い」の主人公。エミリの母。娘を亡くした喪失感から4人の子供達に罪を償えと脅す。
贖罪 の簡単なあらすじ
「罪を償え」小学生の頃に殺された友達の母親から言われた言葉が、15年経って大人になった少女達を苦しめ、あの時の償いを果たす為にある事件を起こす。その時、その言葉を言った母親は何を思うのか。また、自身の償いとは。
贖罪 の起承転結
【起】贖罪 のあらすじ①
とある田舎町に越してきたエミリは同じ年の紗英、真紀、晶子、由佳と仲良くなりよく5人で遊んでいた。
事件当日も5人で学校の校庭で、バレーボールをして遊んでいた。
そこに、見知らぬ男性が5人に近づき「プールの更衣室の換気扇の点検に来たが、脚立を忘れたから手伝ってほしい」と声を掛けてきた。
そして、エミリ1人だけが男に連れられ更衣室の方へ行った。
防犯性の薄い田舎で育った4人は気にも留めず、バレーボールで遊び続けていたが、帰ってこないエミリを不思議に思って4人で更衣室を見に行くことにした。
そこには男の姿はなく、エミリの死体だけが残されていた。
慌てた4人は、真紀の指示で紗英はエミリの死体を見張り、真紀は先生を呼びに行き、晶子はエミリの母親を呼びに行き、由佳は警察に知らせに行ったのであった。
警察から事情聴取を受けた4人は、恐怖のあまりか犯人の顔を思い出すことが出来なかった。
事件後、エミリの母親の麻子は4人を呼び出し、4人に「あなた達は人殺しだ。
犯人を見つけるか、罪を償え」と言い放った。
そして、15年後、4人はエミリに対する償いの為か、事件を起こした。
紗英は麻子を結婚式に招待し、そのお礼の手紙で事件の真相と紗英自身の心情を綴った。
当時、紗英たちの間でフランス人形を見に色んな家を回ることが流行っていた。
そんなある日、事件が起きエミリはある男に殺された。
エミリの死体を見張るよう言われた紗英は、事件後も犯人に見張られ、いつか自分も殺されるのではないかと恐怖に感じていた。
そのストレスか、紗英は大人になっても初潮を迎えていなかった。
大学を卒業した紗英は商社に就職し。
そこの上司から勧められた見合い相手の貴博と結婚した。
【承】贖罪 のあらすじ②
2人が初夜を迎える時、貴博は紗英にフランス人形が着るようなドレスを着せられた。
実は、貴博はエミリと同じタイミングであの田舎町に越してきた子供であった。
当時、フ貴博はランス人形を見て回っていた時、紗英の家にもフランス人形があり、また、そのフランス人形に似ていた紗英に一目ぼれをしたのだ。
その執念から彼女と結婚した貴博は紗英にドレスを着せ、フランス人形として扱った。
何度も逃げたいと思っていた紗英は、いつしか諦める。
そんな時、紗英の整理が始まってしまった。
なので、貴博から体を求められるが、断る。
それに激昂した貴博を止めるため、気づいとき紗英は置時計で貴博を撲殺していた。
手紙の最後に、エミリ殺害の犯人は、おじさんではなく30代半ばくらいだったと書いてあった。
その後、紗英は警察に自首した。
真紀は勤めている小学校でPTA総会の場で、保護者にとある事件について説明していた。
その事件とは、7月のプールの授業中に見知らぬ男がナイフを持って乱入してきたのだ。
真紀は生徒を守るため、その男を取り押さえようとし殺してしまった。
最初は称賛されるが、後に殺人犯として罵られるようになった。
真紀は状況を説明し、何故、自分がその行動をとったのか、総会に参加している麻子に向けて話した。
15年前、真紀はみんなの中心人物であった。
しかし、エミリは転校してきその存在がエミリへと移ってしまった。
そんな中、暑いし家の中で遊ぼうと提案したエミリに対し、バレーボールがしたいと言い、校庭で遊ぶことになった。
事件当時、真紀は先生を呼びに行ったが誰もおらず、怖くて先に1人だけ家に帰ってしまった。
その後ろめたさがあったのか、今回の行動を取ったのだ。
真紀もまた償いを果たしたのだ。
そして、最後に言う、乱入してきた男の顔をけったとき、犯人の顔を思い出た。
その男は、フリースクールを経営している南条弘章によく似ていたと。
【転】贖罪 のあらすじ③
晶子は、エミリが殺されてから家に引きこもるようになった。
晶子はがっしりとした体形の割に可愛い物が好きだった。
晶子には優しい兄がいた。
2人は仲良く、周りからくまの兄弟と呼ばれていた。
ある日、晶子が着ていたお気に入りのブラウスをエミリに褒められ、エミリと仲良くなりたいと思った。
そんな時、事件が起きたのだ。
エミリの母親の麻子を呼びに行った晶子は、慌てた麻子に突き飛ばされてしまい、額に傷を負った。
また、エミリが殺されたことにより、自分みたいなくまが高望みしたから悪いんだと思い込むようになり、不登校になってしまった。
それから15年後、兄は春花という女性と結婚をした。
春花には若葉という娘がいた。
幸せそうな兄を晶子は祝福したが、ある日晶子はある現場を目撃した。
若葉の忘れ物を届けに兄の家へ行った晶子は、兄が若葉を強姦していたのだ。
晶子は若葉をエミリに重ねてしまい、助けようと兄の首を絞めて殺してしまった。
晶子は今度は助けることができたと安堵したが、晶子の目の前に倒れるいるのは大好きな兄だった。
最後に、晶子はエミリ殺害事件の新たな証言をした。
当時、関西に住んでいるはずのフリースクール経営者の南条をこの町で見たと言うのだ。
由佳は現在妊娠をしていた。
相手は姉の夫であった。
事件当時、由佳は警察を呼びに行った。
そこで、警官のおじさんに優しくしてもらい好きになる。
その頃こ由佳は、体の弱い姉につきっきりだった両親に相手してもらえないことから非行にはしる。
それから15年後、姉は警察官と結婚した。
由佳は当時の警察官と義兄を重ね、不倫をし、義兄の子供を妊娠した。
姉には黙っているよう襲いかけられたとき、咄嗟に階段から突き落として殺してしまった。
警察が駆けつけたとき、由佳は産気づき、病院に運ばれて、麻子に言うのだ。
エミリの顔は麻子にもその夫にも似ていなかったと。
これで、4人の償いは終わったのだ。
【結】贖罪 のあらすじ④
麻子は大学2年生の時、秋恵という友人がいた。
麻子は秋恵に男性を紹介してもらい、付き合うが、後にその男性と秋恵は関係があった事を知った。
それを知った麻子は既にその男の子供を妊娠していた。
その子供が、エミリだった。
麻子は妊娠をしていたがその男と別れて今の夫と結婚した。
事件が起きた当時、エミリの喪失感で子供である紗英たち4人に罪を償えと言ったが、その事を後悔した麻子は紗英の結婚式で「あの事件の事は忘れてほしい」と言った。
しかし、紗英は結婚式後、事件を起こすのだった。
麻子は他の3人が心配になり、会いに行くが3人の事件も止める事ができなかった。
麻子は自身も罪を償わなければならないと思い、ある男に会い行った。
その男とは、南條弘章だった。
南條とは大学生の頃付き合っており、エミリの本当の父親だった。
また、4人の証言により、エミリを殺害したのは南條だということが分かる。
麻子は南條に会いに行き、15年前、南條が殺したのは自分の娘だと伝えに行った。
麻子の償いも終わらせたのであった。
贖罪 を読んだ読書感想
娘が殺されたのは決して少女達のせいではなかった。
引き金となったのは麻子自身だったのに。
昔言われた言葉から紗英達はそれぞれに人を殺してしまった。
それが、あの時の償いだというように。
殺す引き金となったのは、15年前のあの時間かもしれないが、それを償いとしてはいけない気がする。
もしかしたら、紗英たちは言い訳の為に償いだと言ったのかもしれないし、逆にあの時の償いをしたいが為に殺したのかもしれない。
真相は分からないが、その殺人で本当に償いができたのかどうかは分からない。
麻子もまた、罪なき子たちを脅し、呪いをかけてしまった償いとして、南條に会いに行った。
実の娘を強姦し、殺してしまったということを知った南條はどう思うのだろうか。
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