【ネタバレ有り】後妻業 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:黒川博行 2016年6月に文春文庫から出版
後妻業の主要登場人物
武内小夜子(たけうちさよこ)
69歳で中瀬耕造(なかせこうぞう)の後妻として結婚してきた女性、実は後妻として数多くの資産持ちの老人と結婚を繰り返す後妻業を生業としている。
柏木亨(かしわぎとおる)
結婚相談所の所長で武内小夜子に資産を持っている老人を紹介している。
中瀬朋子(なかせともこ)
中瀬耕造の次女で武内小夜子を怪しく思い調査する。
本多芳則(ほんだよりのり)
元マル暴担当の警察官、現在は興信所の捜査員をしており、武内小夜子の調査をする
後妻業 の簡単なあらすじ
物語は91歳の中瀬耕造が突然倒れたところからスタートします。
この時、耕造の娘である中瀬朋子が病院に駆けつけるとそこには耕造が後妻に迎えた69歳の武内小夜子がいました。もともと朋子は突然結婚すると父親に紹介された小夜子に良くない感情を持っていたのですが、病院に似つかわしくない派手な服装で夫の看病もせず、葬式の準備をするなどまるで耕造に早く死んで欲しいかのような小夜子に対して悪感情は強くなりました。
そんな中一度は回復の兆しが見られた耕造が急死してしまいます。すると小夜子は耕造の死を悲しむどころか結婚相談所の柏木亨と結託し遺言を盾に、資産家であった耕造のすべての遺産を手に入れようとしたのです。もともとよくない感情を持っていた朋子は、耕造が倒れてからの小夜子の不可解な様子に懐疑的な感情を持ち、遺産を取り戻そうと弁護士に相談します。
その弁護士から依頼を受けた興信所の捜査員である本多芳則が小夜子の過去を洗い出したところ、小夜子の正体が後妻業であったと知るのでした。
後妻業 の起承転結
【起】後妻業 のあらすじ①
中瀬朋子の父親の中瀬耕造が倒れます。
倒れた父親を看病するために中瀬姉妹が病院を訪れるとそこには後妻の武内小夜子がいました。
武内小夜子との以前に会った事がありましたが、きちんと話をした事がない中瀬姉妹は、武内小夜子の病院に合わない派手な格好にびっくりしました。
また後妻なのに武内小夜子はぜんぜん看病しない事や最初から突然、結婚すると紹介された武内小夜子に良くない印象を持っていた中瀬姉妹の次女朋子は武内小夜子に何かしらの怪しさを感じます。
そして、武内小夜子はまだ亡くなっていない父親の葬式の話をし出し、早く亡くなってほしいみたいでしたが、その武内小夜子の対応と違って、中瀬姉妹の熱心な看病の結果、父親は回復して行きます。
【承】後妻業 のあらすじ②
倒れた父親に回復の兆しがあった中、父親が急死します。
回復の過程で安心していた中瀬姉妹にとっては、驚きの結果でした。
普段は看病しない武内小夜子が唯一、病院にいた時に急死したので、その状況に中瀬朋子は不審に思いました。
そして、葬式の話になり、武内小夜子は豪華な葬式を行うとの一点張りで、耕造は友達が少ないので豪華な葬式を行う必要がないと思う中瀬朋子と意見が分かれます。
結局、小夜子に押し切られて豪華な葬式となりました。
小夜子が豪華な葬式にこだわった理由はすぐに明らかになります。葬式のあと武内小夜子は柏木亨と結託し、葬式代の一部を懐に入れていたのです。
その後、遺産の話になり、小夜子は公正証書遺言を盾に、預金、株、現金、そして土地や建物まで中瀬耕造の遺産をすべて手に入れようとしました。
【転】後妻業 のあらすじ③
父親の急死や武内小夜子の遺産相続の手口を不審に思った中瀬朋子は、同級生の弁護士に相談します。
そしてその弁護士は武内小夜子の正体を探るために、興信所の捜査員に武内小夜子の素性捜査を依頼します。
捜査員として本多芳則は武内小夜子の過去を調査します。
そして本多芳則はその結果として、武内小夜子が数多くの結婚と結婚した老人の事故死と公正証書遺言による資産入手を数多く繰り返す後妻業だと知ります。
そのいくつかの事故死した中で、怪しいと思われる事故死を詳細に調査した結果、その事故死が、武内小夜子と柏木亨が仕組んだ殺人の証拠を手に入れます。
そして本多芳則は内縁の妻との生活を考えて、殺人の証拠をネタに武内小夜子と柏木亨を恐喝します。
【結】後妻業 のあらすじ④
本多芳則は弁護士に武内小夜子は後妻業であるとの報告をし、弁護士は武内小夜子に民事裁判を起こすと交渉する事で遺産を取り戻そうとします。
また本多芳則は老人の事故死が武内小夜子と柏木亨の殺人である証拠を握って、武内小夜子と柏木亨を脅します。
武内小夜子と柏木亨は民事裁判になると後妻業がばれるので、中瀬朋子には遺産を渡す事にします。
そして、本多芳則には武内小夜子のヤクザの弟を使って殺そうとします。
しかし、元マル暴の本多芳則の方が上手で殺しに失敗します。
その失敗を武内小夜子になじられた弟は逆上し、武内小夜子の首を締めて殺してしまいます。
そのことを知った柏木亨は、夜中に武内小夜子をキャリーケースに詰めて、埋めに行こうとしますが、その時、夜中にキャリーケースを運ぶ不審者として柏木亨は警察に職務質問を受けます。
後妻業 を読んだ読書感想
後妻業の武内小夜子のキャラクターが非常に強烈でしたが、まして、大阪弁がストーリーにマッチしていて、強烈だけども愛らしさを感じました。
事故死に見せかけて殺人を起こしていく過程がつぎつぎに暴かれていく箇所は恐怖が湧いてきて、頁を進めるこが怖かったです。
後妻業の手口があからさまにストーリーになっているので、小説の中の話だと思えない現実感がありました。
武内小夜子以外に柏木亨や中瀬朋子や本多芳則のそれぞれのエピソードもあり、登場人物への感情移入もし易い小説でした。
最後に武内小夜子がもっと暴れてくれると思っていましたが、あっさりと弟に殺された所が少し残念でした。
違う作品にも登場できる個性的なキャラクターでしたので、もっと見たかったです。
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