「疫病神」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|黒川博行

黒川博行「疫病神」

【ネタバレ有り】疫病神 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:黒川博行 1997年3月に新潮社から出版

疫病神の主要登場人物

二宮啓之(にのみやけいすけ)
本作の主人公。ギャンブル狂で常に金がない状況。借金が50万ある。父親は脳梗塞で倒れてから寝たきり状態が続いている。

桑原保彦(くわはらやすひこ)
二宮の相棒。ニ蝶会の組員。かつて敵組にダンプで突っ込むほど恐れ知らずな男。二宮にとって疫病神になる。

小畠一三(こばたけじゅうぞう)
小畠総業の社長。産業廃棄物施設の建設で一儲けしようとしている。妻と娘と暮らしているが、愛人もいる。

疫病神 の簡単なあらすじ

二宮は小畠総業が行う産業廃棄物処理施設の建設のために必要な同意書に橋本の判を捺させてくれと依頼されます。その金の匂いを察したヤクザの桑原とともに橋本に判を捺させることに成功します。しかし小畠が行方をくらまし、多くのヤクザに追われる羽目になります。その中で一連の騒動の大元である船越建設から小畠が払うはずの報酬を貰い、仕事から無事足抜けできました。

疫病神 の起承転結

【起】疫病神 のあらすじ①

オイシイ話

建設コンサルティング会社を経営している二宮啓之は知り合いの解体屋から小畠一三という男を紹介されます。

小畠も小畠総業の社長で、産業廃棄物施設の廃棄物を埋める処理場を作ろうとしていました。

そこで目をつけた場所に許可が出る寸前になって水利組合の橋本が突然、反対の意思を示しました。

そこで小畠は二宮に橋本の弱みを見つけ、同意書に印鑑を押させて欲しいと依頼してきました。

二宮はギャンブルにはまり金欠状態だったため、報酬につられ依頼をいけます。

橋本の知り合いに頼み込み、橋本が出席しているパーティーに潜入し、その後も橋本の後をつけます。

橋本に懇意にしている水商売の女の存在を見つけると、そこで調査をやめて家に帰ります。

家に帰るとテレビのニュースで小畠総業から出火があったというのを見ます。

そこで車に飛び乗って小畠総業に向かいます。

小畠は放火であると断言します。

脅迫電話も受けていました。

しかし実行犯には思い当たる節がありません。

当然、埋立地建設も諦めていません。

だから二宮に更なる調査を命じました。

【承】疫病神 のあらすじ②

疫病神

小畠に土地を売ったブローカーが同じように別の建設会社にも土地を打っていたことが判明しました。

そこで小畑と二宮はその土建会社に向かいます。

社長の松浦は一切、土地の買収に引く気はない姿勢を見せ、話し合いは平行線で終わります。

その後、二宮が一緒に仕事をしていたヤクザの桑原との仕事が一方的に無くなります。

そこで二宮は桑原を仲間に引き込むことを決めます。

松浦たちのバックにヤクザがいるような気がしていたのです。

そこで桑原は松浦を拉致して無理やり聞き出しました。

その後も倉石に話を聞くが、実際の橋本の弱みは掴めませんでした。

業を煮やした桑原はすぐにでも橋本の下へ行けと二宮に命令します。

そこで同意書と手付金の二百万円を持って橋本の家に向かいます。

橋本は当然、判を捺そうとはしません。

しかし橋本が水商売の女にマンションを借りてあげていることや、水利組合員に黙って補償金を吊り上げ、自分の懐に入れようとしていることを追求します。

そこで橋本は白旗を上げて、同意書に判を捺しました。

そこで同意書を小畠に渡そうとしますが、小畠は失踪していました。

【転】疫病神 のあらすじ③

クズだらけ

失踪した小畠を探している途中で廃棄物処理場の争いに舟越建設が関わっていることが判明します。

二宮は小畠が寄ったという前の仕事仲間である土屋の下を訪れた。

しかし土屋の家から出たところを白燿会の構成員に捕らえられ監禁されました。

しかし窓から海へと飛び込み、何とか逃げ出すことに成功しました。

しかし白燿会は桑原と二宮が落ち合うことを見越して二宮をつけていました。

気づいた桑原と二宮は急いでタクシーで逃げます。

タクシーで巻いた後に追っ手の後を追跡し、その車が本蔵環境開発のビルで停まったことを確認しました。

その後、本蔵環境と大沢土木が繋がっていることが判明します。

そこで船越建設が色々な力を使って小畠の処理場建設を妨害していると分かりました。

そこで二人は小畠が何かを隠していると疑惑を持ちます。

小畠は処理場を作る際に大手ゼネコンからは出資を断られたと説明していました。

桑原は小畠が誘拐されたのではなく、自ら行方をくらませたんだと言い切りました。

【結】疫病神 のあらすじ④

真相

小畠の居所を探していたところで白燿会の組員に襲われ、桑原が拉致されます。

二宮は何とかその場を逃げ出しました。

そこで小畠と連絡がつき、行方をくらました当日の話を聞きました。

処理場建設が妨害により、ほぼ不可能だと小畠は直感していました。

そこに神栄土砂が経費の肩代わりを申し出て、手を引くように言ってきました。

小畠は交渉を断り、身を隠していました。

事情を聞いた二宮は神栄土砂を操っていた坂本から船越建設の狙いを聞きます。

船越の狙いは小畠が作ろうとしている処理場の十倍ある更に巨大な処理場の建設でした。

しかしそのためには小畠が持っている土地がどうしても必要でした。

二宮は桑原が捕まっているビルに侵入し、命からがら桑原の救出に成功します。

全ての真相に気づいた二人は船越建設に乗り込みます。

そこで常務の藤田に二人が持っている申請書類と引き換えに五百万円を要求します。

藤田は要求に応じ、五百万を払い、二宮はようやく一連の騒動から足抜けすることができました。

疫病神 を読んだ読書感想

ハイスピードな展開で読む手が止まりませんでした。

出てくる登場人物が主人公も含めて全員、クズでした。

それでも産業廃棄物処理場がらみの利権に関する話で、実際にこういうことが起こっているんだろうなと思えるほどに薀蓄や描写がリアルでした。

金に群がるのは企業とヤクザでそれぞれが代わる代わる出てきて混乱しました。

ただ二宮は持ち前の嘘でその場を乗り切り、桑原は暴力と勢いで形成を切り開いていく関係性はデコボコ感も含めて良かったです。

これが始まりのシリーズというのも嬉しいです。

またこの二人の活躍が読めるのが楽しみです。

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