予期せぬ方程式(横田順弥)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

予期せぬ方程式

【ネタバレ有り】予期せぬ方程式 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:横田順弥 1984年1月に双葉社から出版

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予期せぬ方程式の主要登場人物

俺(おれ)
宇宙船のパイロット。

ハチャ博士(はちゃはかせ)
天才的な生物学者。

マリア(まりあ)
ナザレ地方に住む女性。

ヨゼフ(よぜふ)
マリアの婚約者。

予期せぬ方程式 の簡単なあらすじ

3ヶ月間の人工冬眠から目覚めた「俺」は、ひとり乗りの宇宙船内に隠れている風変わりな博士を発見します。宇宙船は食糧・酸素供給が限られているために、目的地に到着するまでの5時間以内にふたりの内どちらかが宇宙空間に退去しなくてはなりません。非情な決断を迫られることになった俺がとった行動が、予想外の事態を巻き起こすのでした。

予期せぬ方程式 の起承転結

【起】予期せぬ方程式 のあらすじ①

緊急事態発生

人工惑星999を飛び立った1人乗りの宇宙船内で3か月間の人工睡眠から目覚めた俺は、計器盤の赤いランプを見て衝撃を受けました。

本来であれば自分以外には誰もいないはずの船内に、ふたつの生体反応を確認したからです。

密航者は発見後直ちに船外へ追放しなければならないという、「冷たい方程式」は彼のような末端のパイロットでも承知しています。

コントロールルームのすぐ横にあるトイレの扉を開けると、遺伝子研究所のハチャ博士が現れます。

天才的な才能を秘めている著名人だけあって、みだりに宇宙空間に放り出す訳にはいきません。

かと言ってこの船には2人が生き延びるだけの燃料・酸素・食糧を積んでいないために、難しい決断を迫られることになりました。

【承】予期せぬ方程式 のあらすじ②

ハチャ博士の言い分

そもそもハチャ博士がこの船に乗り込んだ理由は、積み荷の一部に欠陥があることが判明して回収しにきたからです。

宇宙船の目的地はスリポロ星という人跡未踏の惑星になり、開拓するためには多大な労働力を集めなければなりません。

遺伝子操作によって強靭な肉体を持つ人間のDNAを開発した博士は、冷凍保存したまま現地に運ぶことを思い付きます。

手違いで粗悪なDNAが紛れ込んでいたために慌てて駆けつけた時には、既に宇宙空間を漂っていたとのことです。

今からではスタート地点の人口惑星999に引き返すことも出来ずに、スリポロ星に到着するまでは5時間ほどかかってしまいます。

どちらかが船外退去をしない限り共倒れになることを悟った博士は遂に決意しました。

【転】予期せぬ方程式 のあらすじ③

ハチャ博士の最後のお願い

前途有為な若者である俺の将来を優先するために、老い先短いハチャ博士は「冷たい方程式」のルールに従って自らが船外へ退去することを申し出ました。

長年に渡る地道な研究の結果生物学の発展に多大なる功績を残して、後進の育成にも努めてきた博士に未練はありません。

ただ1つ心の中に引っかかっているのは、宇宙船内に積んである欠陥が含まれたDNAの存在です。

遺伝子生物学の権威としてのプライドだけは人一倍なために、失敗作をライバルの研究者や数多くの弟子たちに見られてしまうことだけは耐えられません。

スリポロ星につく前の宇宙空間で欠陥品を廃棄することを繰り返し俺にお願いした後に、博士はエアロックの向こうへと消え失せていくのでした。

【結】予期せぬ方程式 のあらすじ④

宇宙から愛を込めて

ガリラヤの静かな谷を見下ろす位置にある小さな村・ナザレに、ひとりの美しい女性マリアが住んでいました。

彼女はもう少しで同じ村で大工さんとして働いている男性、ヨゼフと結婚する予定です。

そんなある日のことマリアは婚約者と離れて、エルサレムの郊外にあるユダという町に従兄弟を訪ねに行きます。

道中でマリアが身体中に浴びたのは、空から降る星のように輝く雨でした。

間もなく彼女は純潔を守ったままひとりの男の子を出産し、ヨゼフは「処女懐胎」に驚きです。

生まれてきた子供は成長すると数々の奇跡を地上に巻き起こし、たくさんの人たちを病や苦しみから開放します。

常人とはかけ離れたその佇まいと言動から、しばしば彼は「宇宙人」と呼ばれるのでした。

予期せぬ方程式 を読んだ読書感想

「宇宙船内の密告者は、発見と同時に直ちに船外に遺棄すること」というSFのお約束ごとをテーマにした小説になり、「方程式」という言葉に隠された非情さが印象深かったです。

他者の生命を尊重するのか、自分自身が生き延びるためには手段を選ばないのか。

極限状態に追い込まれた時に、果たしてどのような行動を起こすべきなのか考えさせられるストーリーでした。

天才的な博士の遺言が、時空を超えて新しい生命の誕生を巻き起こしてしまうラストにも驚かされます。

海外の作家トム・ゴドウィンが残した傑作短編「冷たい方程式」や、日本SF界の御三家として名高い筒井康隆が「SFマガジン」の1970年2月号に発表した「たぬきの方程式」と読み比べてみると面白いです。

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