「ザ・チェーン 連鎖誘拐」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|エイドリアン・マッキンティ

ザ・チェーン 連鎖誘拐

著者:エイドリアン・マッキンティ 2020年2月に早川書房から出版

ザ・チェーン 連鎖誘拐の主要登場人物

レイチェル(れいちぇる)
シングル・マザー。

カイリー(かいりー)
レイチェルの娘。

ピート(ぴーと)
カイリーの叔父で元軍人。

ジンジャー(じんじゃー)
FBI捜査官。レイチェルの元夫マーティの彼女。

オリー(おりー)
ジンジャーの双子の兄。

ザ・チェーン 連鎖誘拐 の簡単なあらすじ

レイチェルは一本の電話から悪夢に引き込まれます。

その電話の主は、レイチェルの娘カイリーを誘拐していたのです。

娘を返してもらう条件は、身代金の支払いに加えて、<チェーン>の一員になって他の子供を誘拐して、相手の親に同じ要求をすることでした。

こうして<チェーン>による誘拐は繰り返されてきたのです。

レイチェルは無事にミッションをやり遂げてカイリーを助け出しますが、<チェーン>の影におびえる日々が続きました。

そんな日々に耐えられなくなったレイチェルは、<チェーン>を破壊するために行動を開始するのでした。

ザ・チェーン 連鎖誘拐 の起承転結

【起】ザ・チェーン 連鎖誘拐 のあらすじ①

恐るべき<チェーン>

シングル・マザーのレイチェルの元へ、ある一本の電話が入ります。

電話の相手は誘拐犯で、レイチェルの娘カイリーを誘拐したと伝えます。

誘拐犯の目的は二万五千ドルの身代金、そしてレイチェルが他の子供を誘拐して〈チェーン〉に加わることでした。

〈チェーン〉とは、いびつな誘拐システムの名称です。

〈チェーン〉から連絡された人間は、子供を誘拐されて人質にとられています。

子供を無事に帰して欲しければ、自身も誘拐犯となって他の子供をさらい、その子の親に同様のミッションを課さなければいけません。

誘拐した子供の親が、身代金を送金して他の子供を無事にさらったら、誘拐犯の子供が戻ってくるというシステムが構築されているのです。

つまり、カイリーを誘拐した人物もわが子を人質にとられているのです。

こうして、〈チェーン〉による誘拐はどこまでも続き、〈チェーン〉の中枢にいる人間には金が入り続けるという仕組みです。

レイチェルはカイリーを救うために、お金を工面し、誘拐の準備を整えます。

彼女がターゲットに選んだのは、トビー・ダンリーヴィという少年でした。

レイチェルはカイリーの叔父のピートを仲間に引き入れて、計画を実行に移すのでした。

【承】ザ・チェーン 連鎖誘拐 のあらすじ②

被害者から加害者への転身

レイチェルとピートはSNSなどを利用して、ダンリービィ家の行動パターンを分析します。

そして、トビーがアーチェリークラブから帰宅するときを狙って誘拐することを決めました。

しかし、誘拐当日、アーチェリークラブは暖房器具の故障で、予定より早く子供たちを帰らせていました。

トビーの姿はすでにありませんでしたが、彼の妹のアミーリアがいました。

レイチェルは急遽計画を変更して、アミーリアをさらうのでした。

レイチェルはアミーリアの母親ヘレンに、娘を誘拐したことを話し、身代金を支払い〈チェーン〉に加わることを要請します。

しばらくすると誘拐犯からカイリーを解放するという連絡がきます。

レイチェルはカイリーを迎えに行き、娘の無事を喜びます。

ところが〈チェーン〉の黒幕からメールが届きます。

ダンリービィ夫妻が選んだターゲット、シェイマス・ホッグが、連邦保安官局に通報しようとしているというのです。

レイチェルは黒幕から、ダンリービィ夫妻を選んだ責任があるのだから、夫妻と一緒にホッグの通報を思いとどまらせるよう指示されます。

レイチェルはホッグに立場をわからせて通報を思いとどまらせますが、今後も〈チェーン〉の影に怯えて生きていかなくてはならないことに不安を覚えます。

【転】ザ・チェーン 連鎖誘拐 のあらすじ③

反撃するレイチェル

レイチェルは〈チェーン〉を破壊するべく行動を起こします。

密かにブログを立ち上げて、〈チェーン〉に関する情報を集め始めました。

何者かが警告をして、ブログは閉鎖しましたが、新聞広告蘭に”鎖、売ります・買います”という広告が出ました。

レイチェルがその番号にかけると、相手も〈チェーン〉の被害者で協力相手を探していました。

レイチェルとピートが待ち合わせ場所に向かうと、そこに現れたのはエリックという数学者でした。

彼らは場所を変えて〈チェーン〉を破壊する計画の話をします。

エリックには秘策がありました。

彼は索敵アルゴリズムの研究をしていて、彼のプログラムを使えば、使い捨て携帯電話を基地局レベルで逆探知することができるのです。

これで〈チェーン〉の黒幕のだいたいの居場所を突き止めることができます。

レイチェルはエリックに協力して、〈チェーン〉と連絡を取る役割を担うことにします。

一方、私生活では、元夫のマーティがジンジャーという新しい彼女をレイチェルに紹介します。

レイチェルは、計画を実行する日はカイリーと彼女の友達のスチュアートを、マーティとジンジャーに預けることにします。

しかし、計画実行前にエリックは〈チェーン〉の手先によって殺害されます。

エリックから連絡が来ないことに心配するレイチェルとピートの元に、メール自動配信システムからメールが送られてきます。

それはエリックがもしものときに遺したメールで、逆探知プログラムのダウンロード先が記されていました。

レイチェルはプログラムを立ち上げ、メールをしつこく送り、〈チェーン〉の黒幕が電話をしてくるように仕向けます。

通話中に、エリックのプログラムは電話の基地局を突き止めます。

それはエセックス郡のチョート島という場所でした。

レイチェルとピートはその島に向かいます。

【結】ザ・チェーン 連鎖誘拐 のあらすじ④

断たれた環

レイチェルはある家で、マーティとジンジャーに預けたはずのカイリーの姿を見ます。

家に近づいたところを、最初はピート、次にレイチェルが見つかってしまいます。

レイチェルはジンジャーの目に映る冷ややかなものを見てとり、彼女が〈チェーン〉の黒幕と悟ります。

ジンジャーは<チェーン>の名簿を利用して男漁りをしていて、マーティに目をつけたのでした。

<チェーン>の黒幕がわかったことで銃撃戦が始まります。

<チェーン>の運営者であるジンジャーと彼女の双子の兄オリー、そこに彼らの祖父のダニエルとダニエルの部下も双子に味方して銃撃戦に加わります。

ピートはダニエルの部下を射殺し、レイチェルはダニエルを負傷させます。

二人は家の中で負傷したマーティを見つけます。

さらに、カイリーと彼女の友達のスチュアートがジンジャーとオリーに人質に取られて、ピートが撃たれてしまいます。

オリーはレイチェルに投降を呼びかけます。

レイチェルは武器を捨てると、オリーは子供たちを解放します。

しかし、レイチェルたちを生かしておくつもりはありませんでした、ジンジャーとオリーは引き金を引こうとしますが、カイリーは解放されたときに地面に落ちていた銃をこっそり拾っていて、それでオリーの頭を撃ち抜きます。

ジンジャーは銃弾を撃ちつくしてしまったため、白兵戦でレイチェルに襲いかかります。

レイチェルは首をしめ上げられますが、地面に落ちていたガラス片をジンジャーの喉に突き立てて彼女を倒します。

ダニエルはグレネードランチャーを引っ張り出してきますが、ピートが彼を射殺して発射を阻止します。

負傷しながらも、レイチェルたちは全員生還することができました。

事件後、〈チェーン〉の存在は明るみに出て、レイチェルたちはFBIからの捜査対象になりますが、裁判にかけられることはなく、平穏な暮らしが戻るのでした。

ザ・チェーン 連鎖誘拐 を読んだ読書感想

〈チェーン〉という恐るべき誘拐構造と、〈チェーン〉から逃れるために立ち上がった女性との戦いを描いた緊迫のスリラーでした。

誘拐被害者なのに、子供を助けるために別の子供を誘拐させることで、否応なしに誘拐加害者にして警察への駆け込むを封じるというのが〈チェーン〉の恐ろしいところだと思いました。

前半は娘を取り戻すために他人の子供を誘拐し、後半は〈チェーン〉を破壊するために悪と戦うという、常に緊迫感が付きまとうストーリーで、次の展開が気になり流れるようにページをめくりました。

誘拐されたカイリーが自力で脱出を試みて失敗するシーンがあるのですが、それがラストの伏線になっているなど、冗長だと思えた箇所があとになって生きてくるという細やかさもグッドです。

緊迫の連続から最後は派手なアクションに繋がり、ハリウッド映画を彷彿とさせる物語でした。

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