「桜の森の満開の下」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|坂口安吾

坂口安吾「桜の森の満開の下」

著者:坂口安吾 1989年4月に講談社から出版

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桜の森の満開の下の主要登場人物

山賊(さんぞく)
主人公。山に住み、人を殺して物を奪って暮らす情け容赦のない山賊の男。

女(おんな)
主人公の八人目の妻で、とても美しい女。主人公に夫を殺され、さらわれてきた。

ビッコの女(びっこのおんな)
主人公の妻の一人。醜く、足が不自由。女の世話をすることとなる。

桜の森の満開の下 の簡単なあらすじ

昔、通った旅人が皆、気が変になるという桜の森がありました。

この山の秘密を探ろうとしている山賊の男がいました。

男はある時、妻にしようと美しい女を街からさらってきました。

しかし、その女はわがままで山の暮らしに満足せず、女の願いで都で暮らすことになりました。

女は男に命じて多くの人を殺して首を持ってこさせ、その首を使って遊び続けました。

そのような暮らしが続くことに嫌気が差した男は山に帰ることを決め、女と一緒に戻ることになりました。

帰り道、桜の森で女は鬼の姿になり、男に首を絞められて殺されました。

女の姿は消えて花びらとなり、男も消えてしまいました。

桜の森の満開の下 の起承転結

【起】桜の森の満開の下 のあらすじ①

さらってきた美しい女

昔、鈴鹿峠というところに桜の森がありました。

その花の下を通ると旅人は皆、気が変になったといいます。

そのため桜の森を通る人は誰もいなくなりました。

それから数年後、この山に一人の山賊が住み始めました。

この山賊は容赦せずに人を殺す男でした。

しかし、こんな男でも、桜の森の花の下へ来ると怖くなり、気が変になりました。

男は不思議に思ったのですが、また来年にでも考えようと思っているうちに十数年も時が過ぎていきました。

その間に始めは一人だった妻は七人にもなっていました。

八人目の妻をさらってきたときのことです。

女があまりにも美しく、夫は斬り捨てました。

驚いて腰を抜かした女を背負って山の家まで歩きました。

疲れて苦しかったのですが、男は美しい女との将来を考えると幸せな気持ちでした。

家に着くと、七人の妻が迎えに出てきました。

女は妻たちの姿が汚いことに驚き、妻たちを斬り殺すよう男に命じました。

男は最初は断っていましたが、責め立てられて次々と斬り倒しました。

たった一人だけ逃げ遅れた足の不自由な最も醜い女房だけは、女がお手伝いにすると言ったので殺しませんでした。

男は不安を感じました。

桜の森の満開の下を通る時とどこかが似ているのです。

今年こそは、あの花の下で思い切って座ってみようと思いました。

女も連れて行こうかと思って顔をちらっと見ましたが、胸騒ぎがして目をそらしました。

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【承】桜の森の満開の下 のあらすじ②

わがままな女

女はとてもわがままで、いくら心を込めた料理をつくっても文句を言いました。

熊などをつかまえてきても女は満足しません。

男は、女がなぜこの生活に不満なのかがわからず、苦しみました。

女は着物など装飾品を命のように大切にし、身の回りを清潔にさせました。

男は女に命じられるまま、椅子や肘掛けもつくりました。

それにもたれる女の姿はなまめかしく、悩ましい姿でした。

女は男に都に連れていくよう頼みました。

都で自分のことを心から楽しませてくれたら本当に強い男だ、と言いました。

男は応じて都に行くことを決めました。

ただ、桜の森のことだけが気がかりでした。

女にそのことを伝えると、一緒に花の下に連れて行くよう言ってきました。

しかし、男は一人で行く必要があると断りました。

それを聞いて女は苦笑しました。

男はそんな笑い方を初めてみたので頭にその姿が刻みつけられました。

そして、桜の森が満開のとき、男はこっそりと出かけました。

しかし、足を踏み込むと、女の苦笑いを思い出して混乱し、叫んで走り出し、泣いて逃げ去りました。

【転】桜の森の満開の下 のあらすじ③

女のために首をとり続ける男

男と女と足の不自由な妻は都に住み始めました。

男は毎晩、女が命じる家に忍び込みました。

宝石なども盗みましたが、女は何より、その家に住む人の首をほしがりました。

男たちの自宅には何十もの家の首が集められていました。

男が首の場所を変えるとやかましく怒りました。

女は毎日、首を使ってママゴトのようにして遊びました。

首は毛が抜け肉が腐り、ウジ虫がわいていました。

顔の形がくずれるたびに女は喜び、カラカラと笑いました。

女に命じられ、僧侶の首や美しい娘の首など、男はもっと首を持ってきました。

男は都が嫌いで、人を殺すことにも退屈してきました。

女の欲望はキリがなく、そのことにも退屈していました。

そんな日々が無限に繰り返されることを思うと、頭が割れそうになりました。

女はまた別の首を持ってくるよう命じましたが、男は嫌だと断って逃げました。

男は女を殺して無限の日々を止めようとも思いましたが、数日後、山へ帰ろうと思い立ちました。

家に帰って女に山に帰ることを告げると、女は裏切られた悔しさで怒りましたが、男が聞かないことがわかると、「一緒に山へ帰る」と涙ながらに言いました。

山には首はありませんが、首をあきらめて男を選びました。

足の不自由な妻を残して2人はすぐに出発しました。

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【結】桜の森の満開の下 のあらすじ④

女の正体と別れ

男の目の前に山が現れました。

その道を行くと、桜の森の下です。

道のない山の坂だったため、女は背負うよう男に頼みました。

男は軽々と女を背負うと、女を初めて背負った日のことを思い出しました。

今日の幸せはその時よりもさらに豊かなものでした。

そして、桜の森が目の前に現れました。

一面の満開でした。

花の下を歩くと、男はふと女の手が冷たくなっているのに気付いて不安になりました。

とっさに男は女が鬼であることがわかりました。

背中にしがみついているのは、全身が紫色の顔が大きい老婆でした。

口は耳までさけ、髪の毛は緑です。

男は走って振り落とそうとしました。

鬼の手が男の喉に食い込みました。

夢中で鬼の手を緩めました。

鬼が落ちると、男は鬼の首をしめました。

男がふと気づくと、女の首をしめつけており、女はすでに死んでいました。

男はワッと泣き伏しました。

男は初めて桜の森の下に座っていました。

桜の森の秘密は今も誰にもわかりません。

男は女の顔の上にあった花びらをとろうとしましたが、手が届こうとした時には女の姿は消え、花びらだけになっていました。

そして、その花びらをかきわけようとした男の姿も消えていました。

桜の森の満開の下 を読んだ読書感想

子供向けのようなやさしい語り口で書かれていますが、狂気を感じる描写もある怖ろしくも美しい男女の物語です。

山賊が女の美しさに魅了されてハマっていき、首をとるために殺人を重ねていくさまは、怖ろしくもひきつけられていきました。

坂口安吾は冒頭で「桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色」になると書いています。

桜といえばただ美しいものという印象を持っていましたが、言われてみると確かに美しさだけでなく、その中には何かぞくぞくとした怖ろしさのようなものを感じることに気付かされました。

怖ろしさと美しさが絶妙に混じり合った物語で、読後にはひっそりとした静けさを感じました。

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