【ネタバレ有り】ゴールデンスランバー のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:伊坂幸太郎 2007年11月に新潮社から出版
ゴールデンスランバーの主要登場人物
青柳雅春(あおやぎまさはる)
主人公。大統領殺しの濡れ衣を着せられる。元配達員だがアイドルを助けたことで騒動になり辞めていた。
樋口晴子(ひぐちはるこ)
青柳の元恋人。結婚して、娘がいる。青柳のことを今でも忘れられないでいる。
森田森吾(もりたしんご)
青柳の大学時代の友人。妻子持ち。妻がパチンコで借金を作っている。的確なアドバイスをでき、それらは森の声のおかげだと言っている。
ゴールデンスランバー の簡単なあらすじ
その日、仙台市には時の首相、金田貞義がパレードを行っていました。時を同じくして青柳雅春は学生時代の友人である森田慎吾と再会していました。そこで金田首相暗殺犯に仕立て上げられると言われ、青柳はその場から逃げ出します。世間も警察からも追われる青柳は樋口や小野といった大学時代の友人たちのおかげで逃げ切ることができました。
ゴールデンスランバー の起承転結
【起】ゴールデンスランバー のあらすじ①
仙台市で金田貞義首相がパレードを行っている時、青柳雅春は大学時代に仲が良かった森田慎吾と再会していました。
森田は樋口が結婚したことを告げます。
樋口晴子は青柳の前の恋人でした。
二人は板チョコをきっかけに別れていました。
樋口は青柳といても「よくできました」ぐらいの人生になると説明しました。
樋口は「たいへんよくできました」と評価されるような人生を求めていました。
人の良い青柳は押し切られる形で樋口と別れました。
青柳は森田の言葉で目を覚まします。
車の中で寝ていました。
それを森田が薬を飲ませたと告白します。
そこから過去に痴漢の冤罪で捕まりそうになった時に森田が救ってくれたことが偶然じゃないと説明します。
全ては仕組まれたことだったのです。
森田はオズワルドに仕立て上げられるぞと力説しました。
青柳は逃げろという森田に促され車を降ります。
すると森田が乗っていた車が爆発し、不審に感じた警察が走ってきました。
青柳は危機感を覚えて、その場から走り出します。
【承】ゴールデンスランバー のあらすじ②
青柳は大学時代の後輩である小野一夫に連絡をし、匿ってもらいました。
しかし小野は警察に通報し、青柳は再び逃げ出しました。
樋口はテレビで報道される青柳について疑問を持ちました。
茶碗にご飯粒を残す、痴漢して逃げ出したことがあるなどは青柳は絶対にしないという確信があったからです。
青柳の携帯の留守電に小野から逃げるようにと忠告が入っていました。
公衆電話から小野に連絡すると警察の人間が出ます。
彼らは小野を人質に自首するように脅迫します。
青柳は小野を救うために、マンションに向かい、捕まります。
東京へと向かう途中で巷を騒がせている通り魔のキルオに救われます。
そこでテレビ局員の矢島に電話し、保護を頼むが、矢島からは断られます。
青柳はかつて務めた配送会社の同僚だった岩崎に助けを求め、ダンボールに隠れて逃げようとします。
テレビでは青柳の偽物が怪しい行動を行なっている映像が監視カメラに映っていたと報道されていました。
青柳は岩崎と別れて、昔、川縁に放置した車に向かいます。
古ぼけた車だが、鍵を回すとエンジンが掛かかりました。
何故なら樋口が先に車のバッテリーを購入して、付け替えておいたからでした。
青柳は車中で樋口の仕業だと気づき、感動しました。
そしてキルオの話で偽物がいる病院に向かい、偽物を引っ張り出せば民衆も青柳を疑わないんじゃないかと作戦を立てました。
しかしその情報は罠でした。
キルオは待ち構えた相手に銃で打たれ絶命します。
樋口は仲間たちと一緒に青柳を助けられないかと模索します。
【転】ゴールデンスランバー のあらすじ③
逃げ回っていた青柳だが、テレビでインタビューされている父親の言葉に力を貰います。
そこで自身の無実を証明しようとテレビの力を借りようとテレビ局員の矢島に電話をかけます。
目的は衆人環視のもとで姿を現して警察に包囲されることです。
理由は人目のある場所では口封じに撃たれることがないからでした。
そのときにカメラがその様子を遠巻きから中継します。
そして包囲されている時にテレビと青柳の電話を繋ぎ、全国放送で無実を訴える作戦でした。
青柳はギリギリまで気づかれないように目的地までマンホールの下を通って向かいます。
目的地に着いた時に矢島と最終確認をします。
しかし不自然なタイミングで電話が切れ、掛け直すこともできませんでした。
瞬時に青柳は負けを認め、逃げることに決めます。
最後に両親に向けてカメラに向かって手を振りました。
計画が失敗した時のために、逃げ道を樋口たちが作ってくれていました。
ただもう一度、マンホールに入ろうとすると狙撃銃で撃たれかねません。
そのときに大きな花火が打ち上がりました。
それは青柳や樋口、森田にとって思い出のある轟煙火工場の花火でした。
青柳はマンホールに入り逃げ果せます。
川縁で休んでいると、使いが来て車に乗って美容整形の医師の下へと向かいました。
【結】ゴールデンスランバー のあらすじ④
青柳は事件から2ヶ月半後に仙台に戻ってきました。
顔を整形し、偽物の死体で逃げおうせてから初めてのことでした。
青柳は定職に就けず、日払いの仕事でなんとか食いつないでいる日々です。
目的は友人の森田の墓参りでした。
森田は死に、今回の事件のせいで家族までが雑誌で面白おかしく取り上げられています。
森田は死に、周りの多くの人たちも被害を受け、迷惑を被っています。
その実情に助けたいと思うが、何もできないと思い知ります。
自分自身が生き延びたことに罪悪感を覚えていました。
仙台市内にある霊園で森田の墓に手を合わせます。
青柳はそのまま仙台駅横の商業ビルに向かいました。
そこには何も変わらない日常がありました。
エレベーターにのると鏡には全く顔の変わった青柳の姿がありました。
今でも慣れることはありません。
ちょうど同じタイミングで一組の家族が乗ってきました。
青柳はうつむいて隣に立ちます。
娘が玩具の印鑑を振り回し、母親に注意されていました。
青柳はその声で樋口だと気付きます。
逃走に際して樋口にも力になってもらったことを知っています。
しかし声をかけるわけにもいかないので、心の中でお礼を言いました。
樋口一家が降りるとき、青柳はドアが閉まらないようにボタンを押しました。
しかし癖で親指で押していることに気づき、慌てて人差し指に変えます。
そのまま樋口一家は去りますが、扉が閉まる直前に娘が戻り、青柳の手に印鑑を押しました。
青柳の手のひらには赤いインクで「たいへんよくできました」と記されていました。
ゴールデンスランバー を読んだ読書感想
とにかく一気に読める作品でした。
ケネディ暗殺を模倣したような展開にもすぐにのめり込めました。
主人公と圧倒的な力を持つ公権力の戦いですが、主人公には助けてくれる仲間がいます。
それらの人々は青柳の人となりによって信頼をしていた人たちです。
公権力がありとあらゆる手を使って青柳が犯人であると印象付けます。
しかし青柳を知っている人たちはテレビの報道を一切信じません。
人徳とはまさにこのことですね。
一番好きな場面は車のバッテリー交換ですね。
青柳と樋口が接点がないにも関わらず通じていることに感動しました。
本屋大賞受賞は文句なしの傑作です。
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