「失踪トロピカル」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|七尾与史

「失踪トロピカル」

【ネタバレ有り】失踪トロピカル のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:七尾与史 2011年2月に徳間書店から出版

失踪トロピカルの主要登場人物

国分隆史(こくぶたかし)
旅行で恋人の奈美とバンコクを訪れていた。今回の旅行中に27歳をむかえた。

若槻奈美(わかつきなみ)
国分の恋人で24歳、歯科医院の受付。迷子の男の子の母親を探そうと人混みに入り、そのまま行方不明になった。父親は医師で、母親と兄、妹がいる。耳たぶが小さいことがコンプレックスで、耳たぶを弄ぶ癖がある。

若槻マモル(わかつきまもる)
奈美の兄。父親とは絶縁状態にあるが、妹たちとは連絡を取り合っている。医師国家試験に受からず、父親と絶縁し出国。今はカオサンで暮らしている。

蓮見敬一(はすみけいいち)
奈美の父・惣一郎に奈美の捜査を依頼され、タイに来た私立探偵。昔は典型的な不良少年で親から盗んだ金銭でバックパッカーとなった過去がある。バンコクで過ごした時期もあったが、その生活に見切りをつけ帰国した。

失踪トロピカル の簡単なあらすじ

デビュー作・死亡フラグが立ちました!が「このミステリーがすごい!」の隠し玉に選ばれた七尾与史氏が贈るノンストップスリラー。突然、国分は旅行先のタイ・バンコクで恋人の奈美が行方不明に!国分は奈美を探し出すため、タイの裏社会へと足を進めます。そこで、国分を待ち受けるものとは?はたして、国分は無事に奈美を見つけだすことができるのでしょうか?

失踪トロピカル の起承転結

【起】失踪トロピカル のあらすじ①

奈美、失踪!手掛かりはカメラに映る謎の男

国分と恋人の奈美はタイ・バンコクに旅行に来ていました。

国分は今回の旅行中に「会わせたい人」がいると奈美から聞いていました。

その待ち合わせの前に2人は中華街を訪れていました。

そこで、2、3歳の男の子が迷子になっているのを見つけます。

奈美はその子の母親を捜しに出かけました。

奈美を待つ国分は、いくら待ってまも帰ってこない奈美を捜します。

そこで、奈美が連れて行った男の子だけを見つけます。

男の子を母親に引き渡した国分はさらに奈美を捜します。

奈美が帰ってきているかもしれないと考え、国分はホテルに帰りますが、そこにも奈美はいません。

国分は1人で奈美を捜すため、手掛かりを求め、旅行中に撮影したビデオカメラの映像を見ました。

国分はその映像に楽しそうに笑う奈美を付け狙う怪しいアジア系の男が映っていることに気がつきました。

国分はその謎の男が奈美を攫ったのだと推測します。

今回の旅行は奈美の両親には秘密でしたが、国分は奈美の父親に連絡をします。

奈美の父・惣一郎は国分から事のしだいを聞き、怒りを抑えこんだような声で、「若槻マモル」を訪ねるように国分に言います。

マモルは奈美の兄でおそらく奈美が国分に会わせたかった人物だというのです。

国分はマモルの協力を得るため、カオサンへと向かいます。

【承】失踪トロピカル のあらすじ②

捜索開始!ヤマトナデシコを狙う闇の組織を追え

若槻マモルはカオサンにあるゲストハウス・ハッピーカオサンホテルを住まいにしているバックパッカーでした。

妹の奈美から、今バンコクに来ていて、恋人を紹介したいと連絡を受けていました。

しかし、いくら待っても妹は現れず、一晩経ってしまいます。

奈美を心配するマモルを訪ねて国分が現れます。

国分は奈美が行方不明になり、拐われた可能性がある事を告げます。

マモルと国分は協力し、奈美の捜索を始めました。

そこへ、蓮見という探偵が現れます。

蓮見は惣一郎から奈美の捜索を依頼された人物でした。

蓮見は国分たちとは別行動で奈美を探し始めます。

始めに、蓮見は二階堂きよしという男を訪ねました。

二階堂はタイの裏社会に精通している人物です。

蓮見は二階堂から日本人女性=「ヤマトナデシコ」をターゲットに誘拐する闇の組織の情報を得ます。

そして、二階堂の紹介で闇の組織との仲介人・ウェイと接触します。

蓮見はウェイの手引きで闇の組織の商談会場へと潜入します。

そこで蓮見は若い誘拐されたであろう日本人女性の惨殺ビデオを見ることになります。

蓮見は奈美の手掛かりを求め、近々撮影されるという新たなヤマトナデシコのスナッフフィルムの撮影現場に乗り込むことにしました。

一方、国分とマモルは地道に奈美の足取りを追っていました。

しかし、全く手掛かりをは掴めていませんでした。

そんなある日、蓮見から連絡があります。

それは蓮見の滞在するホテルに来て欲しいということでした。

しかし、その連絡を最後に蓮見は姿を消してしまいます。

国分とマモルは蓮見の足取りを追う事にしました。

蓮見の持ち物から手帳を見つけます。

その手帳には奈美を誘拐した犯人と思われる男の手にあったマークと同じ赤いサソリのマークが描かれたカードがありました。

【転】失踪トロピカル のあらすじ③

対決!闇の組織

蓮見の失踪後、国分とマモルは「midnight CLUB」というクラブの張り込みをしていました。

そこは、奈美の聞き込みをしていた国分の後をつけていた赤いシャツの男が出入りしているクラブでした。

国分はクラブに入っていく男たちが蓮見の遺品にあったサソリのマークのカードを見せて入って行く事に気がつきます。

そこで、2人はクラブに潜入する事にしました。

クラブに潜入した2人は行方不明になった蓮見を見つけますが、蓮見は闇の組織に捕まっていました。

蓮見がギロチンにかけられそうになっているのを見たマモルは、蓮見を助けようとします。

しかし、国分は奈美の救出に失敗する事を考え、それを止めます。

そして、蓮見は殺されてしまいます。

クラブ内は蓮見の処刑ショーに盛り上がり、次々と殺戮ショーが続きます。

ついには死体を切り落とされた日本人女性がでてきます。

マモルはその女性を奈美と勘違いし、助けにステージへと向かいます。

しかし、女性は奈美ではありませんでした。

その事に気がついた2人でしたが、マモルはクラブにいた闇の組織の人間に殺されてしまいます。

なんとか、国分はひとり逃げのびる事ができます。

衝撃の一夜が過ぎ、国分がハッピーカオサンホテルに戻ると、住人たちが殺されていました。

しきも、犯人はまだ建物内におり、国分を殺そうと追いかけてきます。

国分は懸命に逃げましたが、犯人に捕まってしまいます。

捕まった国分はスナッフフィルムの被害者となり、一時は殺されてそうになりますが、応戦し、逃げ出すチャンスを手に入れます。

しかし、また捕まり車に乗せられます。

その車から脱出を試みる国分でしたが、国分の乗っていら車はスピードが時速100キロメートルを超えたまま事故を起こし、大破します。

【結】失踪トロピカル のあらすじ④

奈美の失踪から1年、事件の真相は?

セント・ジョーンズ病院の地下で、1人の日本人女性を2人のナースが品定めしています。

2人のナースのうち、1人はサユリ、もう1人は広子と言い、2人は闇の組織の人間で、ドクター・ラウの元で働いています。

1年前、国分の乗った車は事故を起こし大破しました。

しかし、国分の死体だけは見つかりませんでした。

国分は生きているのか、死んでいるのかわかりません。

最近、闇の組織は国分の目撃情報を手に入れ、組織はサユリに国分を殺すよう指示しました。

サユリは1年前、国分たちが命がけで捜していた奈美でした。

1年前のあの日、国分と分かれた奈美は謎の男に拐われます。

拐われた奈美はセント・ジョーンズ病院の地下で監禁されました。

奈美が監禁されて何日経ったかもわからなくなった頃、広子とラウに奈美の実家の映像を見させられます。

奈美の妹・由加に組織の手が伸びていたのです。

家族のため、奈美は名前や顔、声までも変えて組織のスタッフとして働く事になりました。

サユリが表の仕事をしていた時、医師の渡辺に声をかけられます。

ラウと親密になり過ぎないようにと忠告をされます。

渡辺はラウの事や本当のサユリの事、1年前に起きた奈美やマモルたちの失踪事件について調べていました。

そして、今のサユリが失踪した「若槻奈美」という事にたどり着いていました。

しかし、渡辺は広子の手によって殺されてしまいます。

その後、サユリが広子を毒殺し、ラウを殺害しようとします。

しかし、ラウの反撃にあい、サユリは気を失います。

ラウを見失ったサユリは701号室に向かいます。

701号室の患者の正体は国分でした。

サユリがラウに殺されそうになった時、サユリを助けたのは国分でした。

国分は日本に帰ろうとサユリに言いますが、サユリは国分に拳銃を向けます。

その後、奈美の妹・由加は失踪した姉達を探しにカオサンへやってきます。

由加は気になる女性を見つけ、その後を追っていきました。

失踪トロピカル を読んだ読書感想

この作品は七尾与史氏の代表作である「死亡フラグ」シリーズとは反対に暗くグロテスクな作品です。

物語が進むほどに次々と起こる戦慄の展開にハラハラさせられ、とても面白いです。

この作品は物語の展開が早く、一度読み始めると最後までイッキに読めてしまいます。

何も手掛かりがない状態での国分が巨大な闇の組織に立ち向かい、奈美にたどり着くまで目が離せません。

特に蓮見が失踪してから国分の脱出劇までの息もつかせぬ展開にドキドキハラハラし通しです。

また、最後のどんでん返しに驚かされます。

ただ、最後に国分や奈美、由加がどうなったのか気になり少しモヤモヤします。

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