「昨夜のカレー、明日のパン」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|木皿泉

「昨夜のカレー、明日のパン」

【ネタバレ有り】昨夜のカレー、明日のパン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:木皿泉 2016年1月に河出文庫から出版

昨夜のカレー、明日のパンの主要登場人物

テツコ(てつこ)
主人公のOL。夫の一樹を病で亡くしてから、ずるずると義父と一緒に住んでいる。

ギフ(ぎふ)
テツコの義父。気象予報士として働いている。

岩井(いわい)
テツコの恋人。そろそろテツコと結婚をしたいと考えている。

昨夜のカレー、明日のパン の簡単なあらすじ

テツコとギフの暮らしを中心に物語は展開します。テツコが結婚を考えたり、ギフが新しい趣味を作ろうとしたり。常に亡くなったテツコの夫・一樹の不在の悲しみがつきまといますが、それでも二人は懸命に生きようともがくのです。

昨夜のカレー、明日のパン の起承転結

【起】昨夜のカレー、明日のパン のあらすじ①

笑えないCA

テツコとギフの隣には、タカラというキャビンアテンダントが住んでいました。

彼女は常ににこやかな笑顔を振りまかないといけない環境にいたせいで、そのストレスから笑えなくなってしまい、休職することになりました。

その様子を見守っていたテツコとギフは、彼女のその表情から「ムムム」というあだ名をつけて、いつになったら笑えるようになるだろうかと心配します。

タカラのストレスの一因は、一樹の死にありました。

タカラと一樹は幼馴染として育ちました。

そのため、一樹が若くして死んでしまったことに心を痛め、大切な家族がいてバリバリ働いていた一樹よりも、笑えなくなって使い物にならないタカラのほうが死ぬべきだったと落ち込んでいるのです。

そんな時、タカラは気象予報士の義父と偶然流れ星を見ることになります。

死者が星になるなんて信じたいけども信じられないというギフに対し、タカラはなんとしてでも空に一樹がいるということをギフに信じてほしいと思うようになります。

考えた結果、タカラが一樹に修学旅行のお土産にあげた雪だるまのぬいぐるみを、キャビンアテンダントの後輩に頼んで常に飛行機に乗せてもらいます。

これで常に一樹は上空にいるのです。

ギフもこれには大喜び。

これをきっかけに、タカラは少しずつ笑えるようになるのでした。

【承】昨夜のカレー、明日のパン のあらすじ②

家族嫌い

一樹の死後、テツコは岩井と交際していました。

そしてその岩井はそろそろテツコと結婚をしたいと考えています。

テツコは、「岩井テツコなんて硬そうな名前嫌だ」という名目で結婚をそれとなく遠ざけますが、本当の理由は別のところにありました。

テツコは実家の母親と折り合いが悪く、家を飛び出すようにして19歳で一樹と結婚しました。

そして、その一樹との幸せな暮らしは一瞬で終わってしまったのです。

そのせいで、テツコは家族というものに恐怖心を持っていました。

これ以上家族という人間を増やしても、結局は死んでしまう、取り残されてしまう、という気持ちが強く、結婚に踏み切れなかったのです。

そのことをさりげなく岩井には伝えましたが、あまり真剣に取り合ってくれません。

しかし、テツコはこのままギフと二人で暮らしていることに対しても不安を持っていました。

このまま高齢のギフと一緒に暮らしていって、二人とも高齢になったときはどうしようと思っています。

そんなモヤモヤした気持ちをギフにも伝えられず、テツコは困っていました。

【転】昨夜のカレー、明日のパン のあらすじ③

ギフの自立と失敗

ギフもそんなテツコの気持ちには薄々気付いていました。

このままテツコに迷惑をかけるわけにはいかないと、自立することを考えます。

そんな時、ギフは習い事先で、一人の女性と出会います。

最初は、ギフのような高齢男性が若い女性と交際できるわけがないと思いますが、女性はギフになつきます。

ギフは、この女性と交際して、テツコと住む家を出て、自立した生活を送ろうかと考えるようになります。

しかし、この女性は詐欺師だったのです。

女性はギフに自分は家具の小売店をやっているのだが、売り上げが不振なので家具を買ってほしいと頼みます。

女性の役に立ちたいギフは家具を購入しますが、テツコと住む家に配送するわけにはいかず、岩井の住所を発送先に指定します。

そして、女性に頼まれてギフはお使いに出ますが、その隙に女性は姿をくらましてしまったのです。

困ったギフは岩井に助けを求めます。

岩井はその家具を仲間に売ったり、テツコを作り話で説得したりと大活躍し、トラブルを解決させるのでした。

【結】昨夜のカレー、明日のパン のあらすじ④

新しい家族

ギフの詐欺問題を解決してからというもの、岩井はテツコとギフの家に頻繁にやってくるようになります。

しかし、岩井には「まだテツコとは家族ではない」という思いがあるため、少し家で過ごす態度は遠慮がちです。

テツコも、今の状況をどうしようかと悩んでいましたが、やっと一樹の思い出にしがみついて生きるのはやめようと思うようになります。

最初に、テツコはこっそりと隠し持っていた一樹の遺骨の一部を墓に返却しようと考えます。

こっそりと家を出て、車を出せるいとこと、そのいとこの友人の元僧侶に頼んで、一樹の墓を掘り起こし、そこに骨を納めます。

そのあとは、今は宙ぶらりんの立場の岩井のために、京都に行ってお茶碗を買います。

今までは、テツコとギフがお揃いの京都のお茶碗を使い、岩井は持参した自分のお茶碗を使っていたのです。

この買い物は、テツコが岩井を家族の一員として認めたという証拠でもありました。

まだ結婚だなんだということは考えられませんでしたが、とりあえず、テツコはギフと岩井と三人で暮らしていこうという決意を固めたのです。

昨夜のカレー、明日のパン を読んだ読書感想

優しい雰囲気のまま読み進められるストーリーでした。

登場人物全員がそれぞれの悲しみを抱えたまま生きていて、思うようにならない人生を懸命にもがいている様子がリアルでした。

テツコの恋人、岩井は最初は強引にテツコとの結婚を進めようとし、テツコが拒否感を示すといらだちを表に出したりと、身勝手な部分が目立ちますが、テツコやギフと接するうちに、少しずつ性格が丸くなり、テツコたちのことを思いやるようになる様子がほほえましかったです。

そのほかにも、テツコたちの身の回りの人たちのキャラクターたちがとても魅力的なので、続編を出してほしいと思いました。

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