「立華高校マーチングバンドへようこそ 後編」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|武田綾乃

「立華高校マーチングバンドへようこそ 後編」

【ネタバレ有り】立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:武田綾乃 2016年9月に宝島社から出版

「立華高校マーチングバンドへようこそ 前編」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|武田綾乃
【ネタバレ有り】立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 の...

立華高校マーチングバンドへようこそ 後編の主要登場人物

佐々木梓(ささきあずさ)
1年生。トロンボーン担当。物語の主人公で、名瀬あみかがフラッグを希望したことを快く思っていない。

名瀬あみか(なせあみか)
1年生で、トロンボーン担当。楽器初心者で佐々木梓を慕っている。マーチングではフラッグを担当することにした。

�P�ア未来(せざきみらい)
3年生。トロンボーンのパートリーダー。誰もが認めるトップ奏者でマーチングではソロを担当する。佐々木梓のことを気に掛け、ここぞと言うときに声を掛ける。

小山桃花(こやまももか)
マーチングではフラッグのパートリーダーでスパルタ式の練習は1年生に恐れられている。

立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 の簡単なあらすじ

楽器初心者のあみかはマーチングではフラッグで参加することを決めました。あみかに優しくしてきた梓はそれを素直に受け入れることができません。あみかを一人前にしようと厳しく指導する桃花に梓は文句をつけようとしますが、あみかのためにならないと友達は止めます。そして、梓はあみかと距離を置きますが、梓はもやもやとした気持ちがどんどん膨らんでいってしまします。

立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 の起承転結

【起】立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 のあらすじ①

桃花先輩の厳しい指導と、あみかの思い、梓の思い

吹奏楽コンクールで関西大会出場を決めた立華高校吹奏楽部の練習は座奏と最終目標であるマーチングコンクールの練習を並行して行うことになりました。

しかし、佐々木梓は自分を慕っていた名瀬あみかがマーチングではフラッグを自ら希望したことが気に掛かっていました。

マーチングコンクールに向けた合宿が始まり午前の練習が終わり、1年生の皆と弁当を食べているところにあみかはいませんでした。

フラッグのパートリーダーである3年生の小山桃花の個人レッスンを受けていたのです。

桃花の指導は厳しいことで有名でした。

午後の練習が終わってからもあみかは戻りませんでした。

梓がその練習を覗きに行くと、桃花から罵声を浴びせられ泣きながら練習しているあみかがいました。

結局あみかが目を腫らして戻ったのは消灯時間直前でした。

梓が練習について尋ねると、辛いけどできるとこまでやってみる、とあみかは返事しました。

翌日も練習が続きましたが、休憩中もあみかは個人レッスンでした。

梓は志保とその練習を見に行くと、昨日と同じように泣きながら桃花の指導を受けているあみかがいました。

梓は桃花のあまりにぞんざいな言い方に腹を立て、2人のところに行こうとした瞬間志保に腕を掴まれ、あみかは梓を頼らないことを選択したのに梓はいつまであみかに頼るのか、と諭されました。

しかし、梓には頼っているという自覚は全くありません。

志保は何を言っても聞く耳を持たない梓の頬を思わず平手打ちしてしまいました。

そして、志保は、あみかは初心者じゃなく一人前の奏者として扱われている、それを邪魔してはいけない、梓は自分の事に専念すべき、と訴えました。

【承】立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 のあらすじ②

悩む梓

戻った梓に2年生の橋本杏奈は、桃花先輩は面倒見が良いことや先輩達は厳しいけど八つ当たりする人はいないと伝えました。

練習は進み、桃花先輩は鬼だという1年生の中で、桃花先輩は良い人だ、とあみかが言うようになっていました。

一方梓はあみかの誘いを断るようになり、心の中でもやもやしたものが渦巻いていました。

そして吹奏楽コンクール関西大会、梓はミス無く演奏を終えたのに、音楽に集中できていない自分に腹が立っていました。

それを感じた3年生でパートリーダーである�P�ア未来は、梓は自分に厳しすぎるから息抜きすることも大切だ、と話すのでした。

結果は銀賞、立華高校の吹奏楽コンクールはここで終わり、マーチングコンテストに向けての練習が本格化するのでした。

その後も桃花とあみかの厳しい個人練習は続いていました。

梓が練習を終えて帰ろうとしたとき2人の声が聞こえてきました。

桃花の罵声は相変わらずですがその中に、あんたは確かにトロいけど誰よりも努力する才能だけはあるから後は結果を出すだけだ、という言葉がありました。

あみかの返事は、ありがとうございます、でした。

梓はその言葉を聞いて嫌だなと漠然と思いました。

その後の梓はずっと暗い気持ちを引きずっていました。

そんな時、ドラムメジャーの3年生神田南が梓に、とりあえず馬鹿になって目の前のことに夢中になれば悩むことはなくなる、と声を掛けました。

梓のお礼の言葉に南の返事は、お礼は本番の演技で良いよ、でした。

そして、梓は練習に集中した一方あみかとは距離を置きました。

あみかがつけてくれたミサンガが切れ、マーチングコンテストの京都大会が始まりました。

結果は金賞で関西大会出場が決まりました。

関西大会は3週間後です。

【転】立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 のあらすじ③

自分を知った梓

練習は更に密度を増しました。

休憩中にあみかは梓にマーチングはどこが強いか尋ね、梓は自分で調べればと返しました。

それを聞いた志保は梓を呼び出しました。

志保はあみかから梓と上手くいっていないことを相談されていたのです。

志保は、梓があみかを突き放し、心を閉ざしている、2人に対等な友達でいて欲しかった、と訴えました。

しかし、梓にはその自覚は全くありません。

その後も梓はあみかを避けるような行動を取っていました。

梓には中学校時代に同じような友達関係のもつれがありました。

独りぼっちだった柊木芹菜と仲良くなったのですが、芹菜が自分を変えようと他の友達を作った途端、梓は芹菜を突き放したのです。

今でも芹菜との確執は続いたままです。

そんな時、梓が尊敬している未来が練習に付き合って欲しいと言ってきました。

練習は口実で梓に言っておきたいことがあったのです。

初めはあみかが梓を頼っていると思ったが、実は梓があみかを頼っていること、あみかは梓と同じ目線に立ちたかったが、梓はそれを怖がっていること、などを1年生の時に初心者だった自分の面倒をみてくれた高木栞のことを例に挙げて話したのです。

梓は初めて素直になれました。

芹菜のことを話し、誰かを助けている間は自分が必要とされていると思っていたことを涙ながらに話しました。

初めて自分が素直にあみかの事が好き、芹菜のことが好きと思ったのです。

梓の涙は止まりませんでした。

未来はそっと梓の背中を撫でていました。

その日の帰り梓はあみかを誘い今までの事を謝り、あみかの事が好きだと伝えたのです。

未来と話した後の梓は曇っていた視界が一気に広がり、楽器の音も鮮明に聞こえるようになりました。

そして関西大会、立華高校吹奏楽部は金賞に輝き、しかも全国大会の切符を手に入れたのでした。

【結】立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 のあらすじ④

憧れの先輩 未来

全国大会まで残り3週間、ドラムメジャーの南が毎日同じ練習を繰り返すのは、たまでは駄目、100回やったら100回できないと意味はないと言う考えからでした。

それは部員も十分理解していました。

そんな時、未来が他の部員と接触して倒れたのです。

マーチング練習ではたまにあることです。

しかし、未来の足は骨折でした。

未来は部のエースでありソリストです。

梓は未来のいる保健室に呼ばれました。

未来は明るい顔つきで、梓ならできるという言葉と共にソロを託しました。

その後、南が保健室に来て梓は外に出ました。

出た時、未来のすがるような嗚咽が聞こえました。

ソロを任された梓は、未来のように上手にやらなくてはと、鬼のように練習に励みました。

そしてある日、練習中に足が絡まり倒れてしまいました。

そこに駆けつけたのは練習を見に来ていた未来でした。

未来が梓を抱き起こすと梓には熱があり、保健室に連れて行きました。

そして、未来はソロについて話しました。

私の代わりをしなくて良い、梓は梓なのだから自分の思うように吹けば良い。

梓のお礼の言葉に未来が返した言葉は、お礼は本番の演技で良いよ、でした。

次の日梓は学校を休みました。

その日思いがけず芹菜が見舞いに来ました。

梓と芹菜の関係が悪いことに気付いていたあみかが芹菜に頼んだのです。

梓はそこで中学時代のことを謝り、芹菜のことが好きだったし今も好きなことを素直に伝えました。

怒りながら流す芹菜の涙に梓は今までの呪縛から解放されました。

その後はソロも自分を取り戻し、自信を持って吹けるようになり、全国大会を迎えました。

あみかは、パート全員分のミサンガをつくり、梓とあみかは互いに付け合いました。

結果は金賞、そこには涙して喜ぶ全部員の姿がありました。

そして2年後、梓は部長として引退式を迎えていました。

お礼に来た1年生に返した言葉は、お礼は本番の演技で良いよ、でした。

立華高校マーチングバンドへようこそ 後編 を読んだ読書感想

あみかは中学校時代の引っ込み思案で友達を避けていた自分を変えるために立華高校の吹奏楽部に入ってきました。

そして梓に頼りきりになっている自分を変えるためにフラッグへの移籍を自ら決めました。

芹菜は友達を拒絶していた自分を変えたくて友達の多い梓と仲良くなりました。

そして友達が梓だけの自分を変えたくて多くの友達と自ら関わるようになりました。

しかし、梓は頑なに自分を変えようとしませんでした。

梓は心の奥底ではほのかに気付いていても、固い殻を纏ってしまっているのです。

その殻を上手に割ってくれたのが未来であり南のような先輩達です。

そんな先輩と関われた梓は幸せだと思います。

皆が同じ方向に向いて真剣に取り組んでいる部活だからこそ、そのような関係が生まれるのでしょう。

不安定な年頃の小さな心の動きを巧みに表現し、登場人物の成長を感じさせてくれるとても良い作品だと思います。

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