江國香織「ホリー・ガーデン」のあらすじと結末をネタバレ

ホリー・ガーデン

【ネタバレ有り】ホリー・ガーデン のあらすじを起承転結で解説!

著者:江國香織

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ホリー・ガーデン の簡単なあらすじ

高校まで同じ女子校に通っていた果歩と静枝。

現在はそれぞれ眼鏡屋の店員と美術教師になり、三十歳を目前にしている。

穏やかn日々だが、過去には果歩の苦しい失恋があり、静枝は現在不倫中である。

そこへ果歩の同僚である中野も加わり、二人の友情にわずかな変化が訪れる。

ホリー・ガーデン の起承転結

【起】ホリー・ガーデン のあらすじ①

長い友情とティーカップ

眼鏡屋に勤務する果歩の朝はトーストと果物、そしてミルクを入れた紅茶という朝食ではじまる。

そしてその日かけていく眼鏡選びである。

同じ職場の中野は、果歩の眼鏡姿をコケティッシュと評するが、親友の静枝はそれは知性が感じられないという意味なのだと言う。

そんなことを考えながら同時に、果歩は過去に紅茶の茶碗やコーヒー茶碗を粉々に割った日のことを思い出している。

その日の午後、静枝から店に電話が入る。

しかしそれはいつものように、これといって特別用があるものではなく、世間話のような他愛もないものである。

声を聞いて安心したような静枝は、来週あたり食事にでもいこうと言い、電話を切る。

果歩にとって静枝は、小学校に上がった時からのつきあいで、もう二十数年になる。

お互いに、何でも知っている間柄なのである。

電話を終えた静枝は、自分の部屋のように使っている勤め先の学校の美術準備室で、今では心を閉ざしてしまったと思う果歩のことを思う。

一体いつになったら、元の果歩に戻るのだろう、と。

そして、それは果歩が、五年前までつきあっていた、津久井という男を好きになってしまったせいだと思う。

いい加減で軟弱な大嘘つきの津久井が、なぜ果歩をひきつけたのか、静枝にはさっぱりわからない。

その夜、一人で食事をするのが嫌いな果歩は、たくさんいる女友達の一人を誘い、夕飯を振る舞う。

彼女はいつも、オーデコロンエルメスの匂いをさせている。

食後の紅茶をカフェオレボウルに注いで飲んでいると、女友達が食事の礼に今度、紅茶茶碗をプレゼントしようかと言うのだが、果歩はきっぱり断り微笑む。

紅茶茶碗は持たない主義なのだと。

台所に食器を運びながら、果歩は静枝は最初から津久井を嫌っていたのだと思う。

しかし静枝は津久井がどんなに優しかったか、どんなに子供っぽい顔で笑ったのかも、知らないのだと思う。

【承】ホリー・ガーデン のあらすじ②

友情という不可解なもの

静枝の恋人である芹沢は月に一度だけ、東京へやって来る。

それでもいつもそうするように、静枝は芹沢と別れ、休日の朝の習慣として、プールに向かう。

お互いの生活に侵食しないことが、ルールのようになっているのである。

プールから上がり、髪を乾かしながら、静枝はしばらく実家に帰っていないことを思い出す。

自転車でも帰れるのに、帰らない理由は結婚をしないと宣言したことを、親不孝に思っているからである。

しかし両親に責められたわけでもないのに、どうして実家からこんなに足が遠のいてしまったのかと思う。

その日、待ち合わせをしていた果歩と静枝は、果歩の提案で東横線に乗ることにする。

平日の午後に空いている電車に乗ることは、まぬけなほど気持ちが良いと果歩が言う。

十二年間、一緒に通学した電車で、昔を思い出していると、静枝はうとうとと眠り込んでいる。

ある日、果歩と静枝、中野は一緒に食事をすることになる。

不穏で和やかではない空気を醸し出す静枝に、中野は身構える。

その後、食事中に果歩と静枝は些細なことで言い合いになってしまう。

果歩が化粧室にたっている間に、ケーキを食べる中野を見て、静枝は果歩も、いつまでも甘いものを怖がらずに食べるべきだと言う。

しかしその意味を、中野は聞くことができない。

中野にとって、友情というものは理解不能なものである。

【転】ホリー・ガーデン のあらすじ③

捨てられない過去

ある日、果歩は帰宅すると、自分の部屋の前で待っていた中野と遭遇する。

突然尋ねて来られるのは苦手だと、中野を帰そうとするが、次の瞬間、引き止めてしまう。

それ以来、今夜急に遊びに行こうかな、と中野が言い、果歩は返事こそしないが受け入れる、というのが二人の日常となる。

そんな中、果歩は昔、摂食障害で入院したことを思い出す。

病院に二十一日間閉じ込められ、夜になるといつも津久井の夢を見た。

静枝は毎日来てくれたが、津久井が果歩を見舞ったのはたった一度で、それもほんの五分であった。

静枝もまた、不倫相手の芹沢に自分は幸せだと言うのだが、その直後、津久井と別れる前の果歩もまた、自分は幸せだと言っていたのを思い出す。

混乱し、号泣していた果歩の後ろ姿が蘇り、静枝は芹沢に別れようなんて言わないで、と珍しく感情的になる。

果歩の部屋で、中野は津久井と付き合っていた当時の果歩の写真がたくさん入った缶をあけてしまう。

そのことを静枝に相談すると、捨てるか、捨てられないなら帰りなさいと言われてしまう。

【結】ホリー・ガーデン のあらすじ④

冷たい鍵

男を誘い、夜遊びが多くなった果歩は、それが中野のせいのような気がしている。

ある朝、ほんの出来心で合鍵を作り、中野に渡してしまったことを後悔しているのだ。

誰かの待っている家に帰るのはひどい恐怖だ、と果歩は思う。

そして中野に鍵を返してもらおう、と考える。

静枝は芹沢を果歩に初めて会わせる。

その後、帰る芹沢を見送る静枝は、駅のホームでほんの一瞬、すまなそうな顔をする彼を見て、好きな男とずっと一緒にいては、身が持たないと思う。

このくらいの距離がいいのかもしれないと。

芹沢と会ったその日、果歩は中野と帰り道を歩くことにする。

予想外に、中野から鍵を返すと言われ、果歩は戸惑う。

返してもらうと、鍵はとても冷たく、これが本当に返して欲しかったものだろうかと考えてしまう。

結局、二人で黙ったまま一時間半歩き通し、中野をまた誘い掛ける果歩に、「ちゃんと言ってくれなくちゃわからない」と中野は言う。

果歩ははじめて、きょうは帰らないで、と言うのだった。

ホリー・ガーデン を読んだ読書感想

恋愛は、人を成長させるのかもしれないが、逆に人の心を凍らせてしまうこともあるのかもしれない。

この物語の主人公の果歩は、かつて深い傷を負うほどの恋をして、その傷を癒せないまま、蓋をするようにして、現在を生きている。

彼女を心配する親友の静枝もまた、果歩の本心を聞くことはできないほどに、彼女は心の奥の扉を閉め切っている。

そんな中、能天気でおっとりとした中野に救われ、彼が日常に入って来たことにより果歩にも変化が表れるのだが、しかし果歩はそれを完全には受け入れられない。

作者が後書きで言っているのだが、この小説は「余分」の集まった物語である。

大きな出来事ではなく、それ以外の膨大な時間を、私たちは確かに長く生きる。

日常の些細な変化、誰かの言葉、そして頭をよぎる過去の思い出。

それらを漂い、今を生きようとする登場人物たちの心情が、切なく、時におかしくて、あたたかい物語になっていると思います。

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