「苦悩」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|マルグリット・デュラス

苦悩 マルグリット・デュラス

【ネタバレ有り】苦悩 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:マルグリット・デュラス 2019年1月に河出書房新社から出版

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苦悩の主要登場人物

私(わたし)
物語の語り手。第二次大戦中に抵抗運動に加担する。

ロベール・アンテルム(ろべーる・あんてるむ)
私の夫。政治犯として逮捕され現在では消息不明。

ディオニス・マスコロ(でぃおにす・ますころ)
私のレジスタンス運動の同志。

マリー=ルイーズ(まりー=るいーず)
ロベールの妹。

苦悩 の簡単なあらすじ

第二次世界大戦が終わりを迎え華やぐパリの街に、政治犯として逮捕されて収容所に送られた「私」の夫・ロベールが帰ることはありません。ようやく発見されたロベールは極度の衰弱状態にあり、生死の境を彷徨い続けていきます。奇跡的に回復したロベールでしたが、私は彼にふたつの残酷な現実を打ち明けることになるのでした。

苦悩 の起承転結

【起】苦悩 のあらすじ①

春爛漫のパリと沈んでいく私の心

1945年の4月、ナチスドイツによって支配されていたパリは既に解放されていて6年に渡る世界大戦も終わろうとしています。

春を迎えたセーヌ河畔は素晴らしい天気で大通りでは若者たちが浮かれ騒いでいましたが、私の気持ちは落ち込んでいく一方でした。

夫のロベール・アンテルムが政治犯として収容所に送られてしまったのは、今から1年ほど前のことです。

私は仲間たちと共にリーブル(自由)という名前の新聞を立ち上げて護送列車や戦犯の輸送に関する情報を集めていましたが、未だにロベールの消息は掴めていません。

次第に自宅のアパートに引きこもりがちになっていく私を何かとサポートしてくれるのは、ディオニス・マスコロです。

レジスタンス運動で共に闘ったパートナーでしたが、何時しか彼との関係性は恋人へと変わっていました。

ディオニスは毎日のように私のもとを訪れて励ましてくれましたが、近頃では彼自身もやせ細ってしまい疲れ果てているようです。

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【承】苦悩 のあらすじ②

収容所で発見されたロベールの奪還作戦

私たちのもとにロベールの目撃情報が入ってきたのは、4月も残り僅かとなったある日の明け方のことでした。

かつては舞台芸術の中心であり戦時下では仮収容センターとして利用されていた、ゴーモン劇場へと向かいます。

ベッドに横たわっているふたりの収容者のうちのひとりが、2日前にロベールと別れたばかりです。

彼の証言からは、ロベールがミュンヘンから北に17キロほど離れた場所にあるダハウという収容所にいることが判明しました。

相当弱り切っているようで、パリに移送して適切な治療を受けさせなければ3日ともつか分かりません。

ディオニスは知り合いの神父が組織した使節団の一員として現地に赴き、重症患者として収容されていたロベールをシーツに包んでシトロエンの後部座席に詰め込みます。

道中の検問所ではロベールにフランス将校の軍服を装着させていたために、呼び止められることはありません。

パリのサン=ブノワ街で私が1年ぶりに見たのは、ロベールの変わり果てた姿です。

【転】苦悩 のあらすじ③

ロベールの闘病生活と妹との死別

ロベールはディオニスや支援者たちに両脇を支えられて、辛うじて歩けるほどの瀕死の状態でした。

熱は40度を超えていて、1メートル78センチの彼の体重は38キロしかありません。

食事は医者のアドバイスに従って、お粥をコーヒースプーンで1日6〜7杯くらい与えるだけです。

17日間死の淵を彷徨い歩いていたロベールは、ようやく熱が下がって意思疎通が取れるようになります。

羊の肉のスープやパンも食べるようになり、徐々に体重も増えていきました。

体力を取り戻していったロベールは、パリ郊外にある強制収容所からの生還者のための療養センターに滞在することになります。

お見舞いに行った私は、ロベールに哀しい知らせを伝えなければなりません。

彼の最愛の妹・マリー=ルイーズが、24歳の若さでこの世を去ってしまったことです。

夜が明けるまで私はセンターの彼の個室に付き添っていましたが、ロベールはベッドに座ったまま呆然として涙を流すことさえありませんでした。

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【結】苦悩 のあらすじ④

未来に向かって歩き続けるロベール

広島への原爆投下を新聞各紙が報じる1945年8月、ロベールが療養生活を送っているのはアルプス山麓に佇むサン=ジョリオの保養所です。

国道に面したホテルのレストランで、私はふたりの今後について切り出します。

ディオニスとの間に子供を持つ意志があること、子供の将来のためにもロベールと離婚しなければならないこと、もう2度とロベールのもとには戻らないこと。

体重が回復してステッキをついて歩けるようになったロベールは、私とディオニスとは今後も最良の友達であることを約束しました。

再び私がロベールと会ったのは1946年の夏で、場所はイタリアのリグリア海沿岸です。

知人の小説家とバカンスを楽しんでいた私は、砂浜のパラソルの下で横になっているロベールを見かけます。

強制収容所での過酷な日々、目が見えず足は凍傷にかかり結核の末期症状に苦しんだ末になくなった妹、私との別れ。

全てを乗り越えたロベールは、波打ち際で私に微笑みかけるのでした。

苦悩 を読んだ読書感想

第二次世界大戦の終結を目前にして人々の喜びが満ち溢れている、パリの街並みが美しさ溢れていました。

灯台でライトアップされたサン=ジェルマン広場や連日のように満員となるカフェ「ドゥ・マゴ」とは対照的に、愛する人を待ち続けるヒロインの憂鬱な眼差しが印象深かったです。

ドイツの収容所で発見されたロベールを変装させてパリに呼び戻すシーンには、スパイ映画のようなスリリングな味わいがあります。

ようやく夫とドラマチックな再会を果たしながらも、ディオニスと生きていくことを選んでしまうクライマックスが何とも切ないです。

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