【ネタバレ有り】人魚の眠る家 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:東野圭吾 2018年5月に幻冬舎から出版
人魚の眠る家の主要登場人物
播磨薫子(はりまかおるこ)
娘の「脳死」を受け入れず、特別な方法で娘と生活することになる専業主婦。
播磨和昌(はりまかずまさ)
薫子の夫。祖父が興した事務機器メーカを継ぎ社長をしている。会社の生き残りをかけ「脳と機械とを信号によって繋ぐ」ブレーン・マシン・インターフェースの研究に力を注ぐ。
播磨瑞穂(はりまみずほ)
播磨和昌・薫子の娘。プールで溺れ「脳死」状態になる。
播磨生人(はりまいくと)
播磨瑞穂の弟
宗吾(そうご)
心臓移植をした少年
人魚の眠る家 の簡単なあらすじ
夫の浮気が原因で娘のお受験が終われば離婚の約束をしていた和昌と薫子。その2人に突然の悲報が届く。娘が“おそらく脳死”という残酷な現実。一旦は受け入れた2人だったが、薫子が直前になって拒否。そして、医師も驚く特別な方法で娘との生活を続けることとなる。薫子の母の愛は狂気なのか。「脳死」とは、本当の「死」なのか。
人魚の眠る家 の起承転結
【起】人魚の眠る家 のあらすじ①
夫の浮気が原因で、娘のお受験が終われば離婚の約束をしていた和昌と薫子。
その2人に突然、娘がプールで溺れ意識が戻らないという知らせが届きます。
そして医師が宣告したのは、娘が“おそらく脳死”という残酷な現実でした。
「おそらく」というのは、肉親の同意があって初めて「脳死判定」が行われるため、「脳死判定」をしないと「脳死」とはなりません。
2人は悩むが、生前娘が四葉のクローバーをみつけた時「瑞穂は幸せだから大丈夫。
この葉っぱは誰かのために残しておく」といった娘の優しいエピソードを思い出し「脳死判定」をし「臓器提供」をすることを決意します。
ところが「脳死判定」をするため最期のお別れをした時、娘の手がわずかだが動いたように感じました。
本当に動いたのかどうかは分かりません。
しかし、母薫子は確信したのです。
「娘は生きている」と。
そして、「臓器提供」を拒否し、「脳死判定」もしないまま「延命措置」をしながら入院を続けることになりました。
【承】人魚の眠る家 のあらすじ②
入院生活も1カ月が過ぎました。
娘のために「離婚」を白紙に戻した2人でしたが、和昌は娘を退院させたい薫子に驚きます。
退院には数々の問題がありました。
その一番のネックは「人工呼吸器」の管の問題でした。
今は口から差し込まれている管ですが、もし何かの拍子に外れてしまうと医師でないとつけることはできないのです。
そこで気管を切開して直接管を繋ぐため「気管切開」の手術が必要でした。
その頃、和昌は会社で「横隔膜ペースメーカー」という機械を知ります。
そこで、もしこの「横隔膜ペースメーカー」と「コンピューター」を繋げることができたら、娘は「人工呼吸器」をつけなくても呼吸できるとが分かりました。
今、自分が娘にしてやれることは「呼吸をさせてやる」ことだと決心します。
そして、薫子にも相談し「気管切開」をせず保険が利かない分高額な医療費にはなるけれど、この手術をすることを決心します。
手術は成功し、管がなくなった娘はただ寝ているだけに見えます。
娘は「人工呼吸器」をつけることなく帰宅しました。
そして、帰宅しただけではありません。
和昌の会社の技師の力で、「コンピューター」を使用し娘の体を動かす訓練も始まりました。
【転】人魚の眠る家 のあらすじ③
意識は戻らないままですが、「コンピューター」の力で体を動かすことに和昌も賛成していました。
しかし、それがどんどんエスカレートし、最後には「表情」まで動かすことに和昌は嫌悪します。
その頃から、弟「生人」の様子もどんどんおかしくなっていきます。
そして、生人はみんなの前で感情を爆発させるのです。
「お姉ちゃんが生きてるなんて嘘でしょ。
機械を使って生きてるみたいにしてるだけで、ほんとうは死んでいるんだ」その言葉に大きな衝撃を受けた薫子は呆然とするだけでした。
その後すぐ、生人誕生日会が行われました。
しかし、友達を呼ぶことが生人にはできませんでした。
それは友達に「お姉ちゃんは死んだ」と嘘をついていたからです。
お姉ちゃんが生きているといじめられると思ったからでした。
薫子は激怒しますが、和昌は息子の気持ちを汲み取ります。
和昌は「死んでいると受け止めなくていい。
しかし死んだと受け止める人がいるのを否定できない」と薫子の気持ちに寄り添おうとしますが、薫子は錯乱します。
そして、警察を自宅に呼び、警察の前で娘に出刃包丁をかざします。
みんなは娘が死んだという。
じゃあ、私が今この子を刺しても罪にはならないはずだと。
周囲は何もすることはできません。
しかし、いとこの若葉が「殺さないで。
瑞穂ちゃんを殺さないで」と叫んだのです。
事情を聞くと、瑞穂がプールに溺れた原因は、若葉の指輪を探そうとしたからだということが分かります。
「若葉が溺れたら良かった。
若葉が大きくなったら伯母さんの手伝いするから。
だから殺さないで。」
薫子はやっと出刃包丁降ろし、「ありがとう。
その日が来るのを楽しみにしているね。」
と若葉を抱きしめました。
【結】人魚の眠る家 のあらすじ④
和昌は、娘の体調が急変したので薫子が病院へ連れていったとう報告を受けます。
今までも感染症にかかったりしたことがありましたが、全て事後報告だったので、今回は覚悟がいるかもしれないと和昌は病院に急ぎます。
病院で待っていた薫子は和昌に「瑞穂はいきました。
いってしまいました。」
と告げます。
しかし、ベッドで横たわっている娘はまだ息をしているのです。
そこで薫子は夜中三時にあったことを和昌に話します。
不意に目覚めた薫子はそばに娘が立っていることに気付きます。
もちろん姿は見えませんでしたが、確かにそこに娘はいたと。
そして娘から「ママありがとう。
今まで幸せだった。」
と言われたのです。
娘が旅立ったことが分かりました。
「信じられない?」と問う薫子に、和昌は、「君が信じているなら、それこそが真実だ」と答え「ただ正直戸惑っている。」
と今の気持ちを素直に話します。
それから「脳死判定」を受け、娘の「臓器提供」が決まったのです。
エピローグには、プロローグででてきた少年「宗吾」が、家も庭のバラも門も全てなくなった和昌と薫子の家にいます。
もう以前みたバラはどこにも咲いていないのに、宗吾はまたバラの香りを感じます。
「心臓移植」を受けた宗吾は、確信します。
きっとこの命をくれた子は、「深い愛情とバラの香りに包まれ、きっと幸せだったに違いない」と。
人魚の眠る家 を読んだ読書感想
この話の主題の1つは「家族」だと思いました。
「狂気」とも言える母の愛を中心に描かれていますが、「家族とはいったい何なのか」ということを問いているように感じました。
もう1つの主題は「人の死」とは何を指すのか。
「脳死」は「死」であると感嘆に考えていましたが、そんな簡単なものではないと改めて考えさせられました。
「人が生まれ、死ぬ」不変の原理です。
だからこそ、生きられる今を大切にしないといけないと強く感じました。
最後にプロローグとエプローグに出てくる少年「宗吾」に救われました。
命を繋ぐことは未来を繋ぐことでしょう。
素晴らしい構成だったと思います。
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