「平面いぬ。」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|乙一

平面いぬ。(乙一)

【ネタバレ有り】平面いぬ。

のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:乙一 2003年6月に集英社 から出版

平面いぬ。 の主要登場人物

鈴木(すずき)
本作の主人公。女子高生。左腕に犬の刺青であるポッキーを飼う。

山田さん(やまださん)
鈴木の親友。実家で刺青を彫る店を営んでいる。彫師を目指し修行する。

ポッキー(ぽっきー)
鈴木が体表面上で飼う犬の刺青。生きているように動く。

平面いぬ。 の簡単なあらすじ

鈴木はある日、左腕に犬の刺青を入れる。その刺青はやがて生きているように動き始める。鈴木の家族は鈴木以外全員ガンを宣告される。ある日、鈴木は病院でポッキーの活躍で老人を助ける。その老人は実は某有名会社の社長であり、お礼をしたがっていることを鈴木は後に知る。鈴木は彼に手術費を出してもらおうと考えるが、ポッキーを否定されたことで交渉は決裂。結果、鈴木の家族は死んでしまい、鈴木はポッキーとポッキーの彼女、そして子犬と生きていくことになる。

平面いぬ。 の起承転結

【起】平面いぬ。

のあらすじ①

ポッキーとの出会い

来年、高校三年生になる女子高生の鈴木は腕に犬を飼っていました。

身長三センチくらいの青い毛並みの犬です。

名前はポッキーでオスです。

しかし本物の犬ではありません。

皮膚に描かれた小さな絵です。

ポッキーとの馴れ初めは親友である山田さんが用意をしてくれました。

山田さんの実家は彫師だったのです。

鈴木は山田さんといっしょに山田さんの実家のお店で刺青を入れてもらうことになりました。

なかばハプニング的に鈴木とポッキーは出会い、その日から数日間、襲ってくる痒みに耐えなければならなかったのです。

一週間たつと、もう完全に犬の刺青は鈴木と一心同体になっていました。

ある朝、鈴木は犬のうなり声のようなもので目が覚めました。

刺青から発せられるたとえようのない犬の存在感を鈴木は感じていました。

鈴木が山田さんに腕を見せると、犬の刺青がなくなっています。

犬が行方不明になったことで、鈴木はパニックになりかけてしまいます。

しかし、すぐにポッキーは見つかりました。

犬は鈴木のヘソの上三センチメートルのところで居眠りをしていたのです。

 

【承】平面いぬ。

のあらすじ②

ポッキーの活躍

鈴木はポッキーを観察していました。

すると、あまりにお腹をすかせていたのか、まばたきした瞬間、鈴木の腕の小さなホクロを犬が食べてしまったのです。

その話をすると、山田さんは笑いをかみ殺しながら、ポッキーのために大きな肉の刺青を彫ってくれました。

ポッキーは犬らしくがつがつと食べます。

鈴木はしばしば、ポッキーの餌を山田さんに彫ってもらいます。

犬の世話には手間がかかりました。

ポッキーは遊び好きで、よく鈴木の気を引こうとしたのです。

バイト先のコンビニでレジをうっている時や、授業中、急に吠えて驚かせるようなことをしたのです。

肌をつまんでポッキーをつかまえようとしましたが、失敗に終わります。

ポッキーに取り柄はなく、ただ餌を食べ、鈴木に甘えるために吠えるという非常にだらしない生活を送っていました。

しかし一度だけ彼は冴えた一面を見せたのです。

母、ミサエの付き添いで病院に行った時のことです。

突然、ポッキーが鋭く吠え出したのです。

老人が入口付近で倒れており、胸の痛みを訴えたのです。

鈴木は急いで看護婦を呼びました。

 

【転】平面いぬ。

のあらすじ③

希望の光

ある夜、鈴木は父と喧嘩をしました。

些細なことが原因でした。

父シゲオは鈴木の頬をたたきました。

鈴木は家を飛び出し、駅前の中華料理屋で、メンマラーメンを前に座っていました。

お金や携帯電話を持って出てきていません。

店内の公衆電話から山田さんに電話をかけます。

不安と困惑が一気に押し寄せてきました。

犬の世話など無理だということに気づかされたのです。

ポッキーに向かって諭すようにいうと、クーンと悲しそうな声をだしてポッキーは体表面上のどこかへ逃亡してしまいました。

山田さんに代金を支払らってもらい、中華料理屋を出ます。

相談の結果、鈴木は山田さんの家へ泊ることになりました。

次の日、鈴木は山田さんの部屋でパソコンをいじりました。

犬の刺青をもらってくれそうな人を探すため、インターネットに接続したのです。

そこで鈴木はある老人が犬の刺青をしている少女を探していることを知ります。

その老人とは鈴木が以前助けた老人であり、某有名会社の社長でした。

しかもその社長はお礼がしたいといいます。

鈴木は自分が本物の刺青の少女だと証明するために作戦にでます。

 

【結】平面いぬ。

のあらすじ④

肌に飼う犬と共に

次の日、鈴木と山田さんは再度、会社を訪れました。

鈴木は首輪の刺青をしてポッキーが逃げ出さないようにしたのです。

社長室に行くと扉が開いて老人が現れました。

あの時、病院で助けた男の人でした。

彼は心臓の手術で、あの病院に入院していたというのです。

鈴木は家族のことを話しました。

鈴木の家族は全員ガンを患っており、助かる見込みはほとんどないが、手術の費用があればすぐにでも手術を受けさせたいこと、そうしなければ、半年後には確実に鈴木は一人になってしまうだろうことを話しました。

そして手術の肩代わりしてくれることを、彼は約束します。

しかし彼がポッキーを否定したことで交渉は決裂してしまいます。

鈴木はポッキーを捨てないと決心したのです。

半年後、鈴木の家族はガンで死んでしまいました。

本来であれば鈴木も皮膚ガンの一種で死ぬはずだったのですが、ポッキーがそのガンを食べてしまっていたのです。

鈴木は死んでしまった家族に向けて手紙を書きます。

その手紙の中で鈴木は一人で頑張っていること、ポッキーに彼女ができたこと、そして子犬ができたことを報告しました。

 

平面いぬ。 を読んだ読書感想

乙一氏らしい不思議な話となっています。

それにしてもこの想像力は素晴らしいですね。

犬の刺青をいれたはずなのにそれが動き出し、実際生きているように体表面上を駆け回るのです。

しかも肉の刺青をいれると食べるという。

しかし、素晴らしいのは想像力だけではありません。

ストーリーも抜群にいいんです。

この先どうなるんだろうと好奇心をもって読むことができ、ぺらぺらとページをめくってしまいます。

乙一氏らしい「切なさ」は見られませんが、伏線としっかりしたオチがついていて、カタルシスを味わうことができます。

読後は優しい気持ちにつつまれます。

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