「数学的にありえない」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|アダム・ファウアー

数学的にありえない(アダム・ファウアー)

【ネタバレ有り】数学的にありえない のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:アダム・ファウアー 2006年8月に文藝春秋から出版

数学的にありえないの主要登場人物

デイヴィッド・ケイン
元統計学講師

ジャスパー・ケイン
デイヴィッドの双子の兄

ナヴァ・ヴァナー
CIA工作員

ドクター・トヴァスキー
謎の実験をつづける科学者

ジェイムズ・フォーサイス
国家安全保障局〈科学技術研究所〉所長

数学的にありえない の簡単なあらすじ

統計学講師て働くデイヴィッドを襲う突然の神経失調。それが驚異の『能力』に変わった。それを狙う政府の秘密機関と女スパイ。彼らが権力を駆使して追う『能力』とは?幾つもの伏線が絡み合う数学的サスペンス。本書は16カ国以上で翻訳されるベストセラーであり、第1回世界スリラー作家クラブ新人賞受賞。

数学的にありえない の起承転結

【起】数学的にありえない のあらすじ①

偶発的事件の犠牲者たち

数学講師として働いていたデイヴィッドに、ある日体調に異変が起こります。

それは幻覚や悪臭といった神経障害の類であり特効薬の無い病でした。

彼は突発的に起きる病により度々倒れ、講師として働くことができないことを自覚します。

生活費を稼ぐ為として、絶対的に自信がある確率の計算を用いて、ロシアンマフィアが経営するカジノでインディアンポーガー勝負をしますが、負けてしまい借金を背負うこととなります。

ギャンブルで負けた後、倒れ、病院に入院することとなったデイヴィッドを訪ねてきたのは、双子の兄であるジャスパーでした。

ジャスパーは弟に体調を尋ね、心配しますが、デイヴィッドは感謝を伝えるものの、困惑します。

それもそのはず、ジャスパーは統合失調症で入院していたからです。

ドクター・トヴァスキーは今、ある実験に夢中でした。

それは人体の脳に関する研究です。

彼は、今までにあらゆる動物の脳を実験し、脳のどの部分がどのような作用を及ぼすのか研究してきました。

そして彼は禁断の人体実験を、自分の愛人である女性を対象として行うことにしました。

国家安全保障局〈科学技術研究所〉所長であるフォーサイスは、部下を使ってあらゆる情報を掴み、それを基にしてこれまでの地位や金を築いてきました。

しかし、弱みを握っていた上院議員が交代することが分かり、自分の立場が危ういことを感じ、その前に有益な情報を吸い取ろうと画策します。

そして目に付いた情報は、トヴァスキーの研究でした。

ナヴァはCIA工作員ではありますが、彼女が売る情報は誰かの命を救うことになるものと国際的な緊張を緩和させるものだけでした。

しかし、北朝鮮との取引きに失敗し、命の代わりに価値のある情報を持ってくるように脅迫されます。

時間の無い中、CIA所長に呼び出され、〈科学技術研究所〉に出向するよう命じられます。

【承】数学的にありえない のあらすじ②

誤差を最小化せよ

デイヴィッドはロシアンマフィアに金を返すため、学生時代にお世話になった教授にアルバイトが何か無いかと相談をします。

教授にカフェで話している最中、デイヴィッドの頭に警鐘が響きます。

それはイメージと言うにはあまりにもリアルであり、彼は混乱しながらも、条件反射で教授を突き飛ばします。

すると、その後すぐさまカフェにトラックが突っ込んできました。

デイヴィッドと教授が座っていた席は、トラックの衝撃によりぐちゃぐちゃになっています。

その光景を見て、デイヴィッドはデイヴィッドと教授が座っていた席は、トラックの衝撃によりぐちゃぐちゃになっています。

人体実験をしたトヴァスキーは、愛人である被験者の命が尽きたことよりも、実験結果の成功を喜びます。

彼は遺体を事故に見せかけるために実験室のビルから落とした後、すぐにデータを収集し、一目散に退散します。

実験室から誰かが落ちてくるのを見たナヴァは、すぐに駆け寄りました。

〈科学研究所〉に出向したナヴァは、北朝鮮に引き渡す情報を盗もうと画策している時、所長であるフォーサイスが興味を抱いている実験に目を付けました。

そしてトヴァスキーとアルファ実験体という項目を見つけ、フォーサイスやその部下よりも早くアルファ被験者を探し出し北朝鮮に引き渡さなければませんでした。

しかし、やっと見つけたアルファ被験者は、すでに死ぬ間際の状態でした。

フォーサイスは、アルファ被験者の死に憤慨し、部下をは、すでに死ぬ間際の状態でした。

怒鳴りつけます。

トヴァスキーの行った実験結果は、まさに科学の革命でした。

その技術を独占すれば、計り知れない利益が生まれることとなるでしょう。

そんな時、ある男の実験データが舞い込んできます。

デイヴィッド・ケインのデータでした。

【転】数学的にありえない のあらすじ③

ラプラスの魔

ロシアンマフィア、トヴァスキー、〈科学研究所〉、ナヴァらから追われる身となったデイヴィッドですが、彼はとうとう自分の能力に気付きます。

それは〈すべてのとき〉と言うあらゆる可能性が垣間見える能力でした。

しかしあまりに荒唐無稽な能力に、彼は自分が兄と同じように幻覚を見ているだけなのではと疑います。

フォーサイスは実行部隊として、傭兵を雇い、本格的にデイヴィッドを捕獲しようとしますが、デイヴィッドの能力によってことごとく失敗してしまいます。

憤慨していると、トヴァスキーから補助金の要請が届きます。

一笑に付すフォーサイスですが、デイヴィッドの居場所を知っていると言われ、承諾します。

ナヴァは始め、北朝鮮に引き渡すつもりでデイヴィッドを追っていましたが、アルファ被験者の死ぬ間際に言われた、デイヴィッドを守りなさい、という言葉が頭から離れません。

また、アルファ被験者は何時、どこで、デイヴィッドと出会えるかをナヴァに伝えていました。

彼女の言葉通りに、ナヴァはデイヴィッドに出会い、結果的に助けることとなります。

ナヴァやジャスパー、そして教授に手助けをしてもらい、幾度となく危機を脱したデイヴィッドですが、ナヴァが隠れ家としている場所をフォーサイスの傭兵に襲撃され、ナヴァを除く全員が捕まってしまいます。

【結】数学的にありえない のあらすじ④

すべてのとき

〈科学研究所〉内では、デイヴィッドとジャスパーは別々の場所で監禁されていました。

その結果に満足気なフォーサイスは早速実験に取り掛かろうと、トヴァスキーをけしかける。

トヴァスキーは拘束されているデイヴィッドの前に立ち、実験に協力できないものかと、懇願するように頼み込みます。

私と君の仲じゃないかと。

デイヴィッドが懇意にしていた教授がトヴァスキーだったのです。

しかし、〈すべてのとき〉によって知っていたデイヴィッドは断ります。

そしてトヴァスキーに、なぜ自分が捕まっているのか分かりますか、と問いかけます。

大抵の者ならば、ただの強がりだと思い、歯牙にもかけないでしょう。

しかし、トヴァスキーは違いました。

何十年も信じて疑わない実験をしてきた天才の彼だからこそ、デイヴィッドが何者であるかを知っているからこそ、何か仕掛けてあるのではと考えます。

一向に実験を始めないトヴァスキーに業を煮やしたフォーサイスは、トヴァスキーにはアルファ被験者の殺害を、デイヴィッドには兄ジャスパーを、それぞれ脅迫材料として追求します。

デイヴィッドはただ目を瞑り、〈すべてのとき〉に身を任せます。

兄と自分が助かるかは、すべてナヴァ次第だと知っているからです。

彼は〈すべてのとき〉の中で、起こりうる全ての可能性を見ました。

そこで、一番助かる確率が高いものこそが、自分自身が捕まることによる予知でした。

フォーサイスが部下との折り合いが悪く、裏切られること。

更にはスパイ容疑で捕まること。

傭兵との死闘で傷つきながらも、自分と兄を助けに来てくれるナヴァのこと。

そして、トヴァスキーがアイスを買う途中でトラックに撥ねられること。

アルファ被験者が最期にアイスが食べたかったこと。

すべてが樹木から枝分かれした木々のように彼の意識になだれ込みます。

数学的にありえない を読んだ読書感想

本書は上巻、下巻と分かれていますが、それを感じさせないほどスピーディーに読み進むことができました。

その要因としましては、うまく登場人物と伏線が交互に張り巡らされていたことが重要な点だなと思いました。

そして随所で拝見される、歴史上の数学者や知識などにも言葉に重みを乗せて伝えているのですが、著者であるアダム・ファウアー氏自身がMBAを取得しているからこそなせる業なのかなと感嘆しました。

私自身が数学は不得手なので、始めは読み進められるか不安でしたが、そんなことを感じさせずに物語りに引き込まれましたので、あらゆる人にお勧めしたい一作です。

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